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秋篠宮さま、タイ渡航に関するマスコミ誤報に反論! 「週刊誌の方は自分たちはウラを取っている」というが……」

「皇族はスーパースター」と語る歴史エッセイストの堀江宏樹さんに、歴史に眠る破天荒な「皇族」エピソードを教えてもらいます! 

――前回から秋篠宮さまと個人的なお付き合いのある、ジャーナリスト・江森敬治さんのご著書『秋篠宮さま』(毎日新聞社)を堀江さんと一緒に読み解いています。本書の中で宮さまは自らを「インドア系」と称するなど、週刊誌に作られたイメージに反論なさっておられるのですよね?

堀江宏樹氏(以下、堀江) はい。本書のあちこちで、宮さまはご自分を「外出は嫌い」とおっしゃり、インドアの社交嫌いだと主張なさっています。しかし、すべてはこの本の最後に出てくる、“最大の誤報”に反論するためのようですね。

――マスコミの誤報ですか? 詳しく聞かせてください。

堀江 1996年4月、秋篠宮さまは当時アメリカ大統領であったクリントン氏を歓迎する宮中晩餐会を欠席し、タイに渡航なさいました。これを「公」を軽んじ、「私」を重んじた行為と見なしたマスコミから宮さまは激しく叩かれたのでした。

 江森さんの所属する「毎日新聞」でも、「ナマズのためなら」という見出しで記事が出ましたし、この問題のマスコミ対応を担当した宮内庁による「(宮さまのタイに行きたいという)意思を尊重し、熟慮の末、不本意ながら決めた(※要旨)」というコメントも発表されました

――なぜ「そこまでしてもタイに行きたがるのか?」と思ったマスコミが、宮さまの本命はナマズではなく、タイにいる愛人女性なんだろう、と騒ぎだした……という一件ですね。

堀江 しかし、本書ではそれはすべて誤報である、と。たしかに宮さまへのセクハラでもあるし、タイという国や、そこの人々を侮辱したとも受け取られかねないですよね。秋篠宮さまはかなりお怒りで、当時から、真正面の反論をなさっています。

 宮さまご本人が1996年11月の記者会見で語られた内容、それから宮さまの同行者だった、赤城攻大阪外国語大学教授(当時)のコメントをまとめると、私的なナマズ研究が主目的ではなかったようですね。

 タイ国政府農業・協同組合省からの招待を受け、タイ北部のチェンラーイという県で、1年に1回だけ行われる、「プラー・ブック(メコンオオナマズ)」という巨大ナマズの捕獲儀式を宮さまが見学するべく、アメリカ大統領の晩餐会が決まるよりもはるか以前から、タイ・日本の両国で予定を組んで調整してきたことだったのに……というのが事情だそうです。

――へぇー。そうなると報道の見え方も違ってきますね。

堀江 当時の宮さまは皇族という立場から、魚と人や社会の関係を考察する研究をつづけられていました。つまり、その研究を通じて、国際親善に努めるというのが主目的だったのです。

 宮内庁の長官からも、「予定通り、タイに行って問題なし」と判断された案件だったようですが、宮内庁全体でいうと、ローカルなタイの祭事の見学より、アメリカの大統領の訪日の晩餐会に皇室の中心人物として参加してほしかったという“本音”もあったのでしょうね。そのあたりが「(宮さまの)意思を尊重し、熟慮の末、不本意ながら決めた」という言い方につながったのでしょう。

――マスコミがアメリカ大統領よりタイのナマズ、あるいは愛人女性を重んじたと騒ぎ、そのクレームを宮内庁が受けることになったのですよね? その“責任”から逃れたいという宮内庁の本音が「不本意ながら決めた」というコメントだった?

堀江 はい。それにしても宮さまは約束を重んじられる、義理堅いお人柄でいらっしゃるのですね。タイの方々は大いに喜んだそうです。宮さまがおっしゃるように「クリントン米大統領の宮中晩さん会(※原文ママ)に出席した以上に国際親善の役割を果たしたと思っています」というのは正しいのでしょう。

 しかし、「間違えていない」とご自分が感じたことは、誰に何を言われても押し通してしまう傾向が、宮さまにおありかもしれませんね。本書の中では、「あまり社交が得意ではない」とお認めになっておられますが、それは言い換えれば、不器用なところがおありになる、ということでもあります。

――お話から少しズレますが、世間が反対した小室さんとの結婚を断行した眞子さまと被るところがあると感じてしまいました。

堀江 本質的な部分において、秋篠宮さまと眞子さまの父娘には、そういう類似が見られるかもしれません。

 マスコミが作ったイメージとは異なる、というと失礼でしょうが、ご本人はとても真面目で、実直でいらっしゃるぶん、損をなさっているのかも……と感じるところはありますよね。

――世間的な人気を得るため、“賢く”立ち居振る舞いすることを宮さまはお好みにならないのだな、と本書の行間から感じます。

堀江 そうですね。さらには、「公」と「私」の問題が、ずいぶんと前から宮さまについてまわっているのだな、とも……。「公」と「私」という“二人の自分”のせめぎあいに翻弄されるのが、皇族(王族)の宿命ともいえます。しかし「公」の自分を重んじなくてはならないし、そうすべきだというのが、伝統的な皇族のあり方ですし、世間もそれを期待してしまうのです。

 余談ですけど、結婚によって皇族の身分を失う、(眞子さまのような)女性皇族の結婚は、果たして本当に「公」の問題といえるのか、というのは正直なところ、ありますよね。しかし、その結婚が皇室全体に与える余波の大きさを考えると、「公」の問題といわざるを得ない、というのが私の考えではありますが……秋篠宮家の判断は、それとはまた違ったのかもしれません。

――紀子さまのお父様で、先日お亡くなりになった川嶋辰彦さんが、御所に怒鳴り込んで、天皇陛下(現・上皇様)に秋篠宮さまの女性関係を問いただしたというような記事も、当時は出たみたいですね。

堀江 秋篠宮さまだけでなく、天皇陛下(現・上皇さま)がその報道を明確に否定なさったし、川嶋さんご自身も、自分が御所に行ったのは「95年9月以降ない」と認めている。しかし、うわさだけは根強く残る……。

堀江 秋篠宮さまは、本書が刊行された98年6月の時点の話ですが、宮内庁はホームページを作るべきということを主張なさっていますね。今なら「もっと詳細な」ホームページを作るべき、と換言できるかもしれません。

 宮さまが過去に指摘なさったように「報道室というのはありますけれど、広報室というのはない」という事態は、今でも同じようです。「報道室」内に広報担当部署は存在しているみたいですが。

――「いろいろな皇族が出かける先に一人くらい宮内庁職員を派遣して、その様子を紹介してみせるのもいいと思う。宮内庁もアドレスをつけておけば、いろいろな意見だとかが入ってくるのではないでしょうか」とも秋篠宮さまはおっしゃっていますね。

堀江 報道機関ではなく、宮内庁が、皇族の情報をより早く、詳細かつ正確に世間に発するべきという考えですよね。もしこれが眞子さまの結婚問題以前に実現していたのなら、ここまで大炎上もなかったかもしれませんよね。

 本書でも、宮さまは週刊誌の取材姿勢に疑問を強くお感じで、「週刊誌の方は自分たちはウラを取っている。絶対間違いない。有力な情報源がある」というばかりで「まったくないことを書く」のをやめないとおっしゃっています。

――よく似たご発言が、眞子さまの結婚に関する宮さまの談話にもありました。

堀江 はい。お話がまたもやズレるのですが、思い出したことがあります。昭和の頃から、皇室の方々とも交流を持つ芸術家の方が、この連載をお読みくださって、知人を通じて“思い出話”を語ってくださったのです。

 その方のご自宅が、とある女性皇族の方も参加している、いかがわしいパーティの会場になっているとの“誤情報”を書きたてられたそうです。

――それ、大問題じゃないですか!?

堀江 秋篠宮さまの「愛人女性がタイにいる」説もセクハラですが、こっちはさらにアウトですよね。たしかに、その芸術家の方のお宅はサロン化しており、その女性皇族ふくむさまざまな方が出入りしていたのは事実です。しかし、記事にあるような怪しいパーティが行われていたわけではありません。

 この記事でもあきらかなように、ある皇族が出入りしている、という部分までは確かに週刊誌も「ウラは取っている」けれど、家の中で何が起きているかとか「見えなかったこと」については、編集部の推論だけで埋めてしまっているケースが多いのではないか、とも改めて感じました。このお話は、また後日、取り上げる予定です。

 この手の報道に「反論」をすればキリがないから、皇族(王族)は「ノーコメント」を貫くのが全世界で通例になっていますが、もう少し、広報の問題に対して、宮内庁関係者は知恵を絞るべき時期かもしれませんね。