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中森明菜・再始動、取材力低下の「週刊新潮」と肝心なことに触れない「女性自身」

下世話、醜聞、スキャンダル――。長く女性の“欲望”に応えてきた女性週刊誌を、伝説のスキャンダル雑誌「噂の真相」の元デスク神林広恵が、ぶった斬る!

 熊本県議が甲子園の観客席で缶酎ハイを飲み加熱式たばこを吸って問題に。で、それを指摘されるとおかしな言い訳と逆ギレ。しかしSNSが普及した昨今、映像や動画といった“証拠の目”は多く、言い訳の嘘が暴露され、さらに釈明。あるよね、地方議員の横暴ぶりと劣化問題。しかも、こうしたことがあると、いもづる式で類似事例が表面化することが多いが今回も!? しかし膿はなかなか出しきれないのが現状かも。

第617回(9/8〜9/13発売号より)
1位「独占スクープ 中森明菜 LA→東京 隠遁生活から紅白で伝説」(「女性セブン」9月22日号)
参照「家族と断絶20年『中森明菜』謎の再始動の裏に『海外拠点』『NHK紅白』」(「週刊新潮」9月15日号)
2位「聖子と明菜 因縁40年『奇跡の紅白共闘』」(「女性自身」9月27日・10月4日合併号)
3位「シリーズ人間 精神科医・香山リカさん(62)北海道で僻地医療を――『本名・中塚尚子。自分をだますのはやめました』」(「女性自身」9月27日・10月4日合併号)

 5年のブランクを経て再起動を宣言した中森明菜周辺が騒がしい。新個人事務所「HZ VILLAGE」を設立し、Twitterも始めた。そんな明菜について、芸能マスコミももちろん飛びつく。そして女性週刊誌各誌も明菜特集を組む中、「女性セブン」が独占スクープとしてその内幕をレポートしている。

 しかし、そこから浮かび上がってきたのは老舗週刊誌「週刊新潮」(新潮社)の驚くべき取材力の低下だった(笑)。どういうことか。明菜に関しては先週の「女性自身」が明菜を長年支えてきたマネジャー兼恋人と決別し、新事務所を設立したことを報じていた。そして、複数の大物音楽関係者たちが明菜をバックアップする動きがあることも。

 その2日後に発売された「セブン」では、明菜復帰のバックには、元マネジャーに代わって新事務所の監査役に就任した弁護士A氏の存在があることを報じている。

 記事によれば、新事務所は「都心のオフィス街に佇むビルの一室」にあり、「夏前にB氏(元マネージャー)の会社から、明菜さんとの契約を解除したという通達が各レコード会社にあった」という。さらに記事は、明菜のこれまでの軌跡、そしてカムバックと紅白歌合戦出場の可能性、ディナーショー再開などについて言及していく。

 さらに明菜のカムバックをサポートする敏腕弁護士A氏を直撃、前事務所との契約解消、レコード会社との折衝や再始動についてコメントを掲載した。

 つまりこの辣腕弁護士の存在をすっぱ抜いたのが「セブン」であり、そのことがスクープということだ。実際この報道を受け、他芸能マスコミもA氏に接触、コメントをもらうという動きを見せている。芸能マスコミとしては堂々のスクープだろう。

 しかし――、問題は「セブン」と同日発売の「新潮」だ。「新潮」もワイド特集で明菜復帰について取り上げているのだが、それを読むと唖然呆然。まずリードからして「具体的な動静がまったくつかめない」として、どこぞの芸能デスクのこんなコメントを紹介する。

「所属するレコード会社は“なにも聞いていない”と言うし、新事務所について調べても、どこにも登記されていません。偽物説も囁かれる始末で、明菜のサインはあるものの、本物であるという確証すら得ることができないままです」

 この芸能デスク、明菜情報に関し“お手上げ”状態らしいが、本当にこんな芸能デスクは存在するのか? と思ってしまうほど。「セブン」だけでなく、他芸能マスコミも新事務所の場所を特定し登記に基づいた取材も行っている(「セブン」報道後だが)ことから、この「新潮」の記述は誤報、というより取材力のなさを露呈したものだと言っていいだろう。

 会社名はわかっているのに、登記取りさえまともにできなかった。週刊誌記者、芸能記者としてはかなり情けないが、記事では登記が見つからないのは「事務所の登記をロサンゼルス辺りにしたのではないでしょうか」などと推測する始末。登記が見つけられなかったのは自分たちの取材力のなさなのに、なんとも都合のよい発想、妄想だ(笑)。

 かつて「新潮」は週刊誌の中でも圧倒的な取材力、文章力で恐れられた週刊誌だ。「週刊新潮の歩いた後にはペンペン草もはえない」などと言われたほど。だが、次第にその取材力に衰えが指摘され、そして2009年には赤報隊犯人告白という世紀の大誤報事件まで起こしている。

 今回はそれに比べれば、ほんの小さな記事、出来事、間違いかもしれないが、でも悲しい。新潮ジャーナリズムはこのまま萎れてしまうのか。明菜同様、再起を願いたい。

 そして2位も、またしても中森明菜関連だ。彼女の存在感の大きさの表れでもあるが、しかし「女性自身」の特集は切り口があまりにベタで、ひねりがない。しかもあのことに一切触れていない!

 記事の内容は全国ツアーファイナルを迎えた松田聖子と、復帰の動きを見せた明菜との“紅白同時復帰”ストーリーだ。聖子は昨年、娘・沙也加の急死で『NHK紅白歌合戦』出場を辞退し、一方の明菜も14年の以来出演はない。80年代を代表する“2大歌姫”が同時に紅白に出場すれば、大きな話題になる、というもの。

 そして記事では2人の不仲説をアイドル時代の2人と共演したミュージシャンとやらがこう否定する。

「仲が悪いということは決してなく、むしろお2人は楽屋や舞台裏では笑顔で会話されていましたよ」
「時代は令和へと移り変わり。“再共演”に関しては、お二方とも強く願っていると思います」

 そして記事ではその証拠(?)として1983年に2人が『ザ・ベストテン』(TBS系)で共演した際の“仲良し”エピソードまで紹介される。はぁ?? 確かに83年は仲良しだったかもしれない、でも、その後のことはどうなの? 今回の「自身」記事ではなぜか触れられていないが2人の関係を語る際、あのことに触れないといけないんじゃないの? 

 時は89年、当時明菜は人気絶頂のジャニーズアイドル・近藤真彦と4年間にわたる真剣交際していた。が、この年の2月、近藤と聖子のニューヨーク密会写真が「フライデー」(講談社)に掲載される。それから5カ月ほど後の7月、明菜は近藤の自宅で自殺未遂をする。そして年末、だまし討ちのような会見出席と、別離――。

 それから明菜は迷走を続けている、現在に至るまで。そんな強烈な出来事、事実、歴史がある。だからノーテンキに無理やり美談に持っていこうとする「自身」記事には大きな違和感があるのだ。

 誰に忖度した記事だ!?

香山リカが北海道で僻地医療を選んだワケ

 精神科医にしてコラムニスト、テレビコメンテーターもつとめ、社会活動、サブカルにも精通する香山リカ。そんな香山が北海道むかわ町の診療所で副所長に就任し、臨床医“中塚尚子”(本名)として診療を始めたとのニュースを見たのが今年4月。

 そして、その詳細が「女性自身」のシリーズ人間でルポされている。香山がなぜ僻地医療を選び、何を思い、今後何をしたいのか。「地域医療の現場で普通に診察する」香山リカ。ぜひ読んでほしい興味深いルポだ。