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『ザ・ノンフィクション』父親の遺産と、父の厄介な内縁の妻「あの日 僕を捨てた父は ~孤独な芸人の悲しき人生~ 前編」

 日曜昼のドキュメント『ザ・ノンフィクション』(フジテレビ系)。10月23日の放送は「あの日 僕を捨てた父は ~孤独な芸人の悲しき人生~ 前編」。

『ザ・ノンフィクション』あらすじ

 フジタは45歳の「ゲーム芸人」で、レトロゲーム界隈では知る人ぞ知る存在だ。自室には80年代の初代ファミコンソフトがうずたかく積まれている。今のオンライン配信型ゲームと異なり、流通数が限られていた80年代ゲームソフトの中には、数十万円以上のプレミアがつくようなソフトもあり、フジタ自身、そういったレアゲームを積極的に購入しているため、カードローンに頼る生活だという。

 フジタがゲームにはまったのは自身の壮絶な幼少期と関係している。フジタの母親はフジタが幼稚園の時にくも膜下出血で死去。その後、フジタの父・陽人は、フジタの同級生の親でシングルマザーの朱美(仮名)と内縁関係に。陽人は朱美の元で暮らし、フジタには週に一度3万円を渡すだけで、フジタは小学生にして一人暮らしをしていたのだ。

 陽人は朱美の息子をかわいがり、フジタにはきつくあたったそうで、旅行の途中に自分だけ帰らされたこともあったという。朱美の息子の殺人計画まで立てたフジタだったが、クラスメイトの中で難ゲーム「スーパーマリオブラザーズ2」をクリアできたのがフジタしかおらず、みんなからの羨望を集めたことが、フジタに“実行”を思いとどまらせるきっかけになったようだ。そこから、ゲームがフジタの心の支えになっていた。なお、フジタと同世代の著者も同時期にこのゲームをしたが、手も足も出なかった。

 現在82歳の陽人は一人暮らしだが、朱美との関係は続いているようで月に一度3万円を渡しているという。そんなある日、陽人はフジタを呼び寄せ、行政書士の立ち合いのもと、財産をフジタに譲ると言い出す。

 しかし、陽人の様子がそれからおかしくなっていく。自分のお金が盗まれたと交番に行く、買い物したものがスーパーの中で置き引きされたと話す、約束の時間をすっぽかす……。フジタは陽人を物忘れ外来に連れていき、軽度の認知症と診断された。

 2カ月分の年金を1カ月で使い切る、キャッシングを利用するなど陽人の金の使い方が荒くなってきたことを心配するフジタは、金が朱美に流れているのではないかと懸念する。

 一方の朱美も、内縁の夫である陽人が朱美に断りなくフジタに財産を渡したことが気に入らなかったようで、陽人が借金の返済を優先し、それまで朱美に渡していた月3万円を渡せないようなら陽人と別れると番組スタッフに話す。

 そして、陽人は当初フジタに、月3万円だけを朱美に渡していると話していたが、年金支給日にも同額を支払っていたことが発覚。陽人が朱美に渡すであろう金を立て替えるフジタは不満を募らせていく。

 番組を見ていて複雑な気持ちになったのは、フジタは陽人に対しマイナスな感情があるようにはあまり見えず、むしろ父親の世話をかいがいしく焼いている。一方で、父親の内縁の妻である朱美に対して嫌悪感を抱いているように見えたところだ。

 朱美は確かに自分勝手のように思うが、「子どものフジタに寂しい思いをさせながらのうのうと生活してきた」という点で朱美と陽人は同罪だし、陽人はフジタの実父という点で、より罪深いだろう。

 また、陽人について、番組を見ていない人は「とんでもないクソジジイ」を連想するかもしれないが、テレビ画面に映る陽人は、フジタへの所業に反し「愛嬌のあるおじいちゃん」なのがまた複雑な思いにさせられる。そして一方の朱美も「ちゃきちゃきとしたおばあちゃん」という感じで、陽人と朱美と朱美の孫が回転寿司店で食事をする場面は「ほのぼの」としていたくらいだ。そのほのぼの感を、フジタの幼少期に分けてやってほしかった。

陽人が今のフジタにできること

 不実な男と女は老いて、おじいちゃんとおばあちゃんになる。親は「老いる」ことで、子どもに「もうこの人にはなにを言っても無駄」だと思わせ、複雑な感情を子どもに残しつつ逃げることができてずるい。私がフジタなら、遺産がよほどの高額でもない限り陽人とそもそも連絡を取らないと思うが、そんな父親からでも、関心を持たれるとうれしいのだろうか。

 なお、フジタはYouTuberとしても活動している。今回の放送で登録者数も増えたと思われるが、放送日10月23日午後9時の時点でチャンネル登録者は7.55万人となっている。コメント欄は番組を見た人からのフジタへの激励の言葉であふれていた。息子に対して不実であった陽人はせめて、チャンネル登録者数増やしくらいは貢献してほしい。

 次回は今回の後編。フジタの堪忍袋の緒がいよいよ切れて……。