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視聴者は「こじるり型エンタメ」を求めている? 小島瑠璃子の熱愛&破局報道から考える「タレントの好感度」と「テレビ業界」

羨望、嫉妬、嫌悪、共感、慈愛――私たちの心のどこかを刺激する人気芸能人たち。ライター・仁科友里が、そんな有名人の発言にくすぐられる“女心の深層”を暴きます。

<今回の有名人>
「付き合う前にいたしますね。いたさないと付き合えないですね、逆に」小島瑠璃子
『グータンヌーボ2』(関西テレビ)7月6日

 SNSが構築されて、テレビ番組の制作は却ってやりにくくなったのではないかと思うことがある。

 自分たちの作った番組が視聴者にどう受け止められているのかとか、タレントに関するイメージや好感度など、SNSを使えばすぐに調べることができるから、便利であることは間違いない。しかし、その意見を書いた人のほとんどは匿名である。顔や名前のようなパーソナルデータが明らかになっている場合、辛口の意見を言うにしても、おのずと自制が利く。しかし、自分が誰なのか知られることはなく、ある意味、完全にプライバシーが守られた状態での意見は、必要以上に物言いがきつくなる可能性はあるだろう。

 それを制作側が“視聴者の声”と真に受けてしまうと、自分たちの作りたいものが作れなくなってしまうのではないだろうか。これはテレビに出演する芸能人も一緒で、SNSでの声を恐れるあまり、テレビに出ることすら怖くなることもあるかもしれない。

 今はテレビだけがタレントの活動場所ではなく、YouTubeやネット配信の番組もある。これらは「見たくて見る」視聴者が多いため、好意的な意見も出やすい。対するテレビは、一家だんらんの時間にたまたまついていたとかで、「見たくなくても見てしまう」場合もあり、その結果、不満も出やすいと思う。こう考えると、今の時代にテレビに出るというのは、「わざわざSNSで攻撃されるリスクを引き受ける」こととかなり近いといえるのではないか。だとすると、これからの時代にテレビに出る芸能人は「メンタルが強いこと」が必須となるだろう。

 しかし、「何を言われても気にしない」というように、SNSの存在を一切スルーする意味での「メンタルが強い」だけでは、テレビタレントとして不十分だ。視聴者の興味をひきつけてSNSを盛り上げるサービス精神を持ちつつ、SNSでの意見には耳を傾けないという強さが求められるのではないか。

 その際のポイントは、いかに視聴者をイライラさせられるかにあると思う。なぜなら、マジメな話やイイ話よりも、人をイラつかせる話のほうがSNSではコメントが集まりやすいからだ。コメント数が増えれば、その番組や芸能人に注目が集まるだろう。中には明らかに見当違いなコメントもつくかもしれないが、そこで怒ったり、傷ついたりしてはいけないと考える。傷つくことが増えると、テレビでのふるまいに制限がかかってしまうからだ。たとえて言うのなら、たき火に至近距離から油を注いで火を大きくしつつ、自分は決してやけどはしないという、高度で繊細、かつ危険な技を求められているように思う。それをやすやすとやってのけるのが、タレント・小島瑠璃子(以下、こじるり)だろう。

 先月、こじるりは交際していた漫画家・原泰久氏との破局を発表した。小学館が運営するニュースサイト「NEWSポストセブン」が2人の交際を報じたのは、2020年7月。こじるりは原氏の大ヒット漫画『キングダム』(集英社)の大ファンであり、共演したことから交際が始まったというが、基本的には好意的に受け止められるはずの熱愛報道に、イライラ要素を持ち込んでしまうのが、こじるりのスゴさではないだろうか。

 こじるりが振りまくイライラ要素は、主に3つある。

◎イライラ要素その1:「不倫略奪」疑惑

 原氏といえば、彼のツイートなどから愛妻家かつ子煩悩というイメージがあったが、知らぬ間に離婚していた。しかし、「ポスト」の報道が出た時点では、原氏の離婚時期や、こじるりとの交際がいつ始まったのか明らかでなかったために、「こじるりは不倫していた?」「略奪なのでは?」といった臆測が広がってしまった。

◎イライラ要素その2:「略奪の略奪」疑惑

 同年8月に「週刊文春」(文藝春秋)が報じたところによると、実は原氏、前妻と婚姻関係にあった2018年頃から元アイドルAさんと不倫をしており、Aさんは原氏と本気で再婚するつもりで婚約者とも別れ、芸能界も引退したそうだ。原氏は19年に離婚したものの、Aさんと再婚はせず。この後、こじるりと出会って交際がスタートしたとされている。

 原氏は独身になったわけだから、誰と交際しようと自由だが、「鳶に油揚げをさらわれる」ということわざのとおり、こじるりが横入りして、一番おいしい部分を持って行ったというイメージを持つ人もいるだろう。

◎イライラ要素その3:交際順調アピール

 「週刊ポスト」(小学館)に、原氏の体に密着する姿をたびたび撮られているこじるり。何度も言うが、独身者同士の恋愛に問題はない。しかし、不倫や略奪疑惑が完全に払しょくできたわけではないし、原氏にはお子さんもいるのだから、「静かに交際しておけ」と思う人もいるだろう。それでも、今年3月に『ホンマでっか!?TV』(フジテレビ系)に出演した際には、「霊感のある人に見てもらったら、寝室に中国の兵士が奥まで並んでいると言われた」と自ら発言し、司会の明石家さんまに「キングダムだな~!」とツッコませるなど、交際順調アピールともとれる言動をとり、イライラした人も少なくないだろう。

 しかし、ここでまさかの破局。不倫や略奪の疑惑を持たれるような恋愛でついたイメージを拭い去りたいのか、今回の『グータンヌーボ2』(関西テレビ)に出演した際、こじるりは「今はスッキリ」と前向きな姿勢をアピールし、結婚願望があることも明かしたのだが、やはり、ここでもイライラ要素を投下してしまう。

 トーク中、「交際する前にセックスをするか?」という話題になり、こじるりは「付き合う前にいたしますね。いたさないと付き合えないですね、逆に」と発言する。こじるりは現在27歳で十分大人だから、そういう判断もあるだろうし、こういう思い切ったことを言えばネットニュースが飛びつくだろう、というサービス精神を発揮したのかもしれない。

 しかし、「付き合う前にいたしますね。いたさないと付き合えないですね、逆に」と明言してしまうことは、原氏とも「交際する前から体の関係があった」と言っているようなもので、結果的に、不倫の疑いを自ら濃くしていないだろうか。

 原氏は20年9月に自身のTwitterで、離婚の時期を同年3月だったとしている。一方、「ポスト」が2人の交際を報じたのは、同年7月。つまり、20年4月以降にこじるりが原氏と交際を始めたのなら、不倫ではないということになる。だが、「付き合う前にいたしますね。いたさないと付き合えないですね、逆に」という発言を真に受けるのなら、こじるりは20年4月より前に「いたした」疑惑も浮上し、不倫の可能性がゼロとは言えなくなる。

 そもそも2人は、原氏の離婚前から接点がある。19年1月放送の『世界ふしぎ発見!』(TBS系)で、『キングダム』の大ファンであるこじるりは原氏と対談を果たし、彼の仕事場も訪問。この収録のときから、原氏が離婚する20年3月の間に「いたした」可能性もあるだろう。それで付き合うと判断したのなら、こじるりは不倫をしていたことになる。真偽はともかくとして、視聴者にその可能性を感じさせれば、「ほら、やっぱり不倫じゃないか!」とイライラ要素をふりまいてしまうだろう。でも、これがこじるり流の“おもてなし”、もしくは“存在意義”というものだと、私は思うのだ。

 これからのテレビは「ねぇ、あなた、なんで叩かれてるかわかってる?」と問い詰めたくなるくらい、面の皮が厚い、もしくは打たれ強い人でないと出られなくなる気もする。正直なところ、こじるりは視聴者からの好感度は高くないだろうし、今後、劇的にイメージアップする可能性も低い。けれど、「良いイメージを持ち、好感度は高いほうがいい」という発想そのものが、「テレビはメディアの王様で、タレントは好感度を上げてCMに出て稼ぐべき」という旧時代的な考え方ではないかと思うのだ。

 商品の宣伝なら、SNS上のインフルエンサーに頼んだほうが費用も安く、効果も出る時代、イライラするけどつい見ちゃう、そしてまたイライラするという“こじるり型のエンタメ”こそ、今のテレビ業界に求められているような気がしてならない。