今、アメリカでもっとも注目を集めているZ世代。1990年代後半~2000年代に生まれ、「ポストミレニアル世代」とも呼ばれる彼・彼女たちは、ミレニアル世代よりさらにインターネットに慣れ親しんだデジタルネイティブだ。
米コンサルタント会社「マッキンゼー」のレポートによると、Z世代の大きな特長は次のようなもの。
・柔軟でリベラルな思想を持ち、人種やジェンダーの多様性をナチュラルに受け入れている
・固定概念を嫌い、自由を愛する
・個性や価値観を大切にし、プライバシーを重視する
精神的に不安定な気持ちを赤裸々に語る歌手ビリー・アイリッシュ、政治や社会問題に関する発信を積極的に行う女優ゼンデイヤ。「若い子向けの化粧品がないから」と立ち上げたコスメラインが大好評の、女優ミリー・ボビー・ブラウンら、今エンタメ界でZ世代のセレブたちが大活躍。熱い注目を集めているのだ。
今回は、そんな輝きを放つ、Z世代のセレブたちをご紹介しよう。
ローワン・ブランチャード(19)
ディズニー・チャンネルの青春番組『ガール・ミーツ・ワールド』(14~17)に主演し、若い層から人気を得るようになったローワン。5歳から子役するなど、長い芸歴を持つ彼女は歌唱力も抜群だが、ティーンになって力を入れるようになったのは、慈善活動。自分の知名度が役に立つならと、小児病院で闘病している子どもたちを励ますようになった。
ジェンダー平等についても積極的に発言しており、国連組織UNウィメンの会議でスピーチを行い、一目置かれるように。フェミニズムは白人の異性愛者女性だけのものではなく、有色人種やさまざまなジェンダー、障害のある女性たちのものでもあると主張して、「インターセクショナルフェミニズム」という言葉の認知を若年層に広めた。15年には、米誌「タイム」の「最も影響力のあるティーン」にも選出。
16年にカナダで開催された社会問題をテーマにしたイベント「WE Day」では、「インターセクショナルフェミニズムなどの社会問題についてSNSで意見交換をし、互いに学び、理解を深めるのは素敵なこと」「『若いから』という年齢差別をなくそう! 私たちの声も聞いてもらおう!」と呼びかけ、話題に。
メンタルヘルス問題についても発言しており、15年にインスタグラムで、うつ病と闘っていることを告白。自分の弱さもさらけだし、同じ病に苦しむ若者へポジティブなメッセージを発信する「強さ」を持っていると称賛された。
現在、Netflixで配信されている人気SFドラマ『スノーピアサー』に出演中。女優としての今後も期待されている。
映画『ハンガー・ゲーム』(12)のルー役に出演し、演技派子役として世界から注目を集めたアマンドラ。黒人と白人のミックスレイシャルという立場から世の中をより良く変えていこうと活動を開始。2015年に、カイリー・ジェンナーがコーンロウヘアにした時には、「見た目をかっこよくする時にだけ、黒人の文化を利用するのね」「黒人に対する人種差別問題には目を向けないくせに」と批判し、大きな話題になった。
また、「黒人女性の美しさの基準は、ヨーロッパの基準に倣っている」と問題点を指摘。疑問をストレートに発信する、若きフェミニスト活動家として知名度を得るようになった。
大ヒット映画『ブラックパンサー』(18)では、アフリカの架空の王国の王女シュリ役に内定していたものの、自分は半分白人だからと辞退。「人種について高い意識を持っている」と高く評価された。
16年にはバイセクシュアルであることをカミングアウトしており、18年には女性でも男性でもないノンバイナリーであると公言。17年に受けたインタビューでは、「メンタル・ヘルスにネガティブな影響しか与えないから」と、スマートフォンを手放したことを明かすなど、自分らしく生きられる道を模索しているよう。
トニー賞で6部門を受賞した名作ミュージカル『ディア・エヴァン・ハンセン』の映画版(9月に公開予定)にも重要な役どころで出演。演技力にますます磨きがかかってきたと、女優としても注目されている。
13歳だった2011年にモデルデビューし、「VOGUE」など数多くのハイファッション誌に登場。シャネルのコレクションでランウェイを歩いたり、カルバン・クラインのキャンペーンに起用されたりと、順調にキャリアを積み重ね、19歳になった17年に歌手デビューを果たした。
母親はカリスマR&B歌手でローリン・ヒル、父方の祖父は伝説的レゲエミュージシャンのボブ・マーリーという有名人ファミリー。しかしセラは、わずか7歳で「誰かの名声の陰で生きることは絶対にしない」と決意。「音楽、執筆、デザイン、ファッション、インスタレーション、映画……いろいろなものに興味がある。その時々で違うけど」というように、芸術家としても活動している。
母と祖父の存在から、どうしても音楽活動が注目されがちな彼女だが、マイペースをキープ。「自分の作るサウンドは、(商業的ではなく)プライベートなもので、地味、そして未加工」と分析しており、母や祖父とはまったく異なる新しい作品を生み続けている。
映画『エディ・マーフィの劇的1週間』(09)などに子役として出演。14歳の時に、黒人一家の日常を描いた大ヒットコメディ『ブラッキッシュ』(14~)の長女ゾーイ役に抜てきされ、一躍有名になった。
ティーンになった彼女は、ハリウッドの中にさまざまな差別があることに疑問を感じ、ダイバーシティ推進を訴える活動を開始。自分自身がアフリカ系とイラン系のミックスという多様性を表す存在であるがゆえか、女性の地位向上や社会問題にも取り組むようになり、エンターテインメント業界における女性の活躍推進ネットワーク(WEEN)から貢献をたたえる賞を授与された。
2015年にはNGO団体「Young Women’s Leadership Network」とタッグを組み、高校生たちと社会問題などを話し合うオンライン会議「ヤラのクラブ(Yara's Club)」を立ち上げる。ミシェル・オバマ元大統領夫人の教育キャンペーン「Let Girls Learn」にも協力しており、ハーバード大学出願のために必要な推薦状をミシェルが書いたことも大きな話題になった。
現在は『ブラッキッシュ』のスピンオフドラマである『Grown-ish』に主演。作品は今年7月でシーズン4を迎えた。
今年1月、「史上最高のゲイのいとこ」とプリントされたTシャツを、「いとこからもらったの!」とTwitterに投稿し、LGBTQ+コミュニティの一員であることをカミングアウトしたジョジョ。2月には「交際1カ月になる彼女」を紹介し、彼女のSNSには膨大な数の祝福メッセージが寄せられた。
少女ダンサーとステージママたちを追う人気リアリティ番組『ダンスマム』(11~19)で注目されるようになったジョジョは、カラフルなファッションと底抜けに明るい性格が同世代に受け、チャンネル登録者1,000万人を超す、大人気YouTuberに。
好きな動画を作る一方、歌手など興味のあることすべてに失敗を恐れることなく挑戦する彼女の姿は、若い世代を魅了。カリフォルニア郊外に350万ドル(約3億8,000万円)で豪邸を購入できるほどのお金持ちとなった。
お金持ちになっても人気者になっても、性格は変わらず。熱心なファンが多く、キム・カーダシアンとカニエ・ウエストの長女ノース・ウエストも彼女の大ファン。ジョジョ・ファッションで彼女の自宅を訪問した動画は大きな話題となり、キムがジョジョの人間性を絶賛したことも大きく報じられた。