覚醒剤の使用や密売などで逮捕起訴され、通算12年を塀の中で過ごした後、その経験を基にさまざまな活動を続ける中野瑠美さんが、女子刑務所の実態を語る「知られざる女子刑務所ライフ」シリーズ。
清原和博さんがワンコと暮らし始めた
またですか……と言われそうですが、ちょっと書かせてください。清原和博さんがワンコと暮らし始めたそうです。
ペットショップでの衝動買いやなくて、ちゃんとお部屋をワンコ仕様に整えて、ブリーダーさんのアドバイスをしっかり聞いてからのお迎え。まだ赤ちゃんみたいに甘えるボーダーコリーをずっと抱っこしていました。ほんまによかった……。ああワンコになりたい。
YouTubeのプロデューサーのマッコイ斉藤さんに「やっぱり1人で部屋にいると孤独でした?」と聞かれ、「孤独ですよ」と答えていたキヨが気の毒でした。
クスリ(違法薬物)を使う理由は、ほぼ「寂しさ」です。ワンコと楽しく暮らして心が癒やされたら、うつ病もよくなって、クスリとはほんまに縁が切れると思います。
しょせん「きっかけ」は「きっかけ」
ペットの癒やし効果は前から話題ですが、生き物を飼うのはいろいろ難しいですよね。
でも、清原さんの場合は、いろんな人がサポートしてくれているし、もうほぼほぼ更生できてると思います。ワンコのおかげで、ますます心配なくなったちゅうことですね。
更生のきっかけは、ほんまに「小さなこと」ですが、大事なんです。
瑠美の場合は、21年連れ添った旦那さんの「瑠美なら絶対やり直せる。信じてるよ俺は」の一言でした。あと、最後の出所もきっかけになりましたね。この時にふと「二度とムショには戻らへん」と心の底から思えたんですよ。まあ、きっかけはしょせんきっかけに過ぎませんけどね。
ずっとクスリをやめたいとか、悪い仲間と縁を切りたいとか思い続けて、ある日ふと「降りて」くるちゅうか、「もうやめよ……」と思えるんです。こうゆう「ふと気づく」感じは待つしかないです。少なくともクスリを使いながら「これで最後にしよ……」とか思てるうちはムリですね。
更生のきっかけが、「言葉」のこともあります。見逃してしまいましたが、暴走族だった東大阪の牧師さんの野田詠氏(のだ・えいじ)さんの更生物語の舞台化がニュースになってました。なんと法務省後援。うらやましいです。
野田さんの逮捕は4回。最後の逮捕の時の裁判で、お母さんが裁判官に「私を代わりに刑務所に入れてください」と泣き叫ぶ声を聞いたことが、更生のきっかけになったそうです。
このことを書いた本『私を代わりに刑務所に入れてください』(いのちのことば社、2015年)が舞台化されてたんですね。
その後に少年院に入った野田さんは、お兄さんから差し入れてもらった聖書を読むようになって、牧師さんへの道を歩んだそうです。ちなみに野田さんのほか吉田芳幸さんや進藤龍也さんなど、キリスト教と出会って更生される方はけっこう多いですよね。
お坊さんになる人もけっこういてます。瑠美がテレビで知り合った竹田淳子さんは、病気と息子さんの言葉が更生のきっかけやったそうです。
「きっかけ」は、抜け出したいと思っている人たちには「降りて」くるんですよね、きっと。何も考えてない人には、更生は難しいです。ムショには、瑠美が看守やったらどついたろかと思う人たちも多かったです。罪を反省しないから、出所して、また戻って……の繰り返しです。
まあ瑠美も懲役通算12年でやっとですから、他人様のことは言えませんが、やり直せるかどうかは、ほんまに自分次第です。毎回同じ結論ですんません。