「ベタつく汗で体中がかゆい」「あせもがひどくて、半袖を着るのが恥ずかしい……」みなさんは、こんな悩みを抱えていませんか?
暑い夏に吹き出す汗は、スポーツや温泉などでスッキリかく汗とちがって不快ですよね。夏場の汗はさらに、「あせも」などの肌トラブルを引き起こす原因にも。そこで今回は、あせもの原因と対処法について薬剤師が解説します。
1.ひどいあせもで引きこもりがちに……周囲の目線も気になる!
これからご紹介するのは、“大人のあせも”に悩むみのりさん(仮名)42歳のエピソードです。ここ数年、夏場にあせもができて困っているというみのりさん。もともと汗っかきな体質だといいます。
「保育士の仕事をしているので、天気がいい日はほぼ毎日、子どもたちと汗だくになって一緒に園庭を走り回っています。保育室は室温を下げすぎてはいけないので、部屋に戻っても汗はなかなか引きませんし、最近はウイルス対策の室内換気のため、窓を開けて過ごすことが多い。そのため、室内にいても滝のような汗が止まらず、最近、ひどいあせもができてしまったんです」
子どもたちの世話でバタバタしているから、自分のことは後回しになりがちですが、拭いきれなかった汗は、そのままあせもの原因に……。特に首元や腕といった目につくところのあせもは、周囲の視線も気になってしまい、大きな悩みを抱えてしまったそうです。
「外に出て汗をかきたくないから、休日はエアコンのきいた部屋に引きこもるようになりました。肌を出していると、無意識にボリボリとかいてしまうため、長袖や首元の隠れる洋服を選ぶようになったんです。しかし、ますます体内に熱がこもって、汗が出るようになった気がします」
皮膚科から塗り薬を処方されたものの、汗で流れ落ちてしまうためか、あまり効果を感じなかったそう。かゆみ止めの薬を飲んでも、あせも自体が治ることはなかったといいます。
「これ以上、あせもがひどくなるかもしれないと思うと、仕事中もなかなか外に出られなくなってしまいました。暑い夏だって、大好きな子どもたちと思いっきり触れ合って遊びたいのに……何かいい方法はありませんか?」
あせもは、汗腺から汗がスムーズに排出されないことで起こります。
汗は体の熱を冷まし、体内の老廃物を外に出す大切な役割を担うものです。しかし、大量に汗をかいてそのままにしておくと、アカやホコリが汗腺の出口に詰まってしまうことがあり、汗が汗腺にたまって炎症を起こしてしまいます。これが「あせも」の原因です。
3.「あせも」には漢方がおすすめ
「塗り薬以外の方法で、あせもを治すことができないものか」と考えていたみのりさん。偶然、テレビで「猛暑であせもが増えている」というニュースを目にします。そこでは、薬剤師が塗り薬以外に漢方薬を勧めていたそう。
さっそくネットで検索し、漢方薬をネットで頼めるサービスを発見。「これは便利!」と試してみると、「桂枝加黄耆湯(けいしかおうぎとう)」という漢方薬を勧められました。飲み始めてみたところ、次第に大量の汗をかくことがなくなり、あせももできにくくなったそうです。
「気持ちがかなりラクになって、子どもたちと気兼ねなく遊べるようになりました。今はより積極的に、保育に関われています」
漢方薬であせもが改善したという、みのりさんのエピソードでした。
3-1.「あせも」ができにくい体質を目指すには?
漢方医学では、皮膚トラブルの主な原因は、気候や環境変化などによる原因(外因)や身体の不調などによる原因(内因)と考えます。また、「皮膚は内臓の鏡」という考えから、皮膚トラブルは体質的な素因に左右されやすいとされているのです。
あせも、じんましん、皮膚疾患などの根本改善には、医療現場でも使われている漢方薬がおすすめ。漢方薬は体質に合ったものを服用することで、効果を発揮しやすくなります。
みのりさんの場合、風邪をひきやすく、寝汗やのぼせが多い体質なのだそう。特に上半身に汗をかきやすく、色白なタイプ。漢方医学では、こうした個人の特徴も、漢方薬を選ぶ際の重要なポイントとなります。体質に合った漢方薬を飲むことで、今起こっている不調の改善だけでなく、根本的な体質の改善を目指すことができるでしょう。
それでは以下に、あせもによく使われる漢方薬の例をご紹介します。
・桂枝加黄耆湯(けいしかおうぎとう):あまり体力がなく、汗をかきやすい方に
皮膚の締まりをよくし、体内に溜まった水気を取り去ります。
・消風散(しょうふうさん):かゆみが強く、温めるとさらに症状が増す方に
かゆみを抑え、熱感を落ち着かせます。蕁麻疹や水虫にも使われます。
漢方薬は、ご自分の状態や体質にうまく合っていないと、効果を感じられないだけでなく、場合によっては副作用が生じることもあります。しかし、たくさんの漢方薬から、ご自分に合った漢方薬を見つけるのは大変ですよね。
そんな時は、「あんしん漢方」などのオンライン漢方サービスに、一度相談してみるのもいいでしょう。漢方に精通した薬剤師とAI(人工知能)が、あなたに効く漢方薬を見極めて、お手頃価格で自宅に郵送してくれる「オンライン個別相談」が便利です。
4.暑い夏も“サラサラお肌”でさわやかに!
あせもにならないようにするには、汗をかいたまま放置しないことが重要。こまめに汗を拭いたり、着替えたりするのはもちろん、高温多湿の環境では、エアコンをうまく活用しましょう。
しかし、このような対策が難しい場合や、体質から見直したい方には、根本から改善するのがベスト。この季節に予想されるあせも対策として、漢方を試してみるのもいいかもしれません。まずは専門家に相談し、夏でもサラサラな肌を目指しましょう!