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「生理の貧困」当事者が直面した、金銭だけではない“知識の不足”

ByAdmin

7月 29, 2021

 7月16日、「#みんなの生理」は厚生労働省で生理用品への軽減税率の適用を求める記者会見を行った。

 今年の春頃からようやく可視化され始めた日本における「生理の貧困」をきっかけに、自治体による防災用の備蓄からナプキンを無償配布する試みが始まるなどの動きが起きた。しかし、まだ自治体により対応は異なり、いまだ支援を必要とする人は多くいる。

 生理の貧困の当事者は、どのような状態に陥り、どんな問題に直面しているのか。この問題への解像度をあげるためにも、今回紹介する生の声に、ぜひ耳を傾けてみてほしい。

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 現在32歳の大阪府出身のあみさん(仮名)は、中学1年生の時に両親が離婚。母はギャンブル依存症で、離婚時に総額5000万円の借金があったそうだ。そこで父に引き取られ、弟との3人暮らしが始まる。

 そんな矢先に、初潮を迎えた。

「父親には言えなくて、学校の先生にナプキンをもらった記憶があります。」

 家にナプキンやサニタリーショーツ、サニタリーボックスなどはなく、ここからあみさんの苦労が始まる。父親が母親の借金を一緒に返済していたため、家は慢性的な貧困状態だった。決まった額のお小遣いは無く、お使いを頼まれた時に出たお釣りや、食事代としてもらったお金を残しておいたものを貯めて、それでナプキンや鎮痛剤を買うようになった。

「母親から虐待を受けており、それから大人への不信感がありました。先生をはじめ、誰かを頼ることは無かったし、思春期だったので父親にも言えませんでした」

 ナプキンは一番安くて多く入っている昼用のものだけを買った。経血が漏れてショーツや布団に付くこともあった。また、少ないナプキンを持たせるために、1枚を、真っ赤になっても2日間使っていたという。

「直に経血が付く感じがあり、不快でしたが当時は必死でしたし、こうするしかない、と思いました。今だったら絶対にできません」

 また、困ったのはナプキンが無かったことだけではない。

「一番は情報が手に入らないことでした。生理痛が酷かったのですが、最初はお腹を温めるとよい、鎮痛剤を飲むとよい。そんなことすら知りませんでした。血が付いたショーツの洗い方すらわからず、数少ないのに捨ててしまったこともあります」

 生理の貧困の大きな要因、問題の一つに、知識の不足、がある。小学校高学年に1度だけ受ける簡単な授業では、実用的な知識は身につかない。また、父子家庭の場合、誰にも相談できない環境だったという場合が少なくない。

 中学2年生の時に、叔母とたまたま会うことがあった。その時に、「そういえば生理どうしてるの?」と心配してくれ、大量のナプキンとサニタリーショーツを買ってくれたそうだ。それにずいぶん助けられたという。

 幼い頃から、貧困状態のなか、生理用品や婦人科の受診料、薬代などの負担が重くのしかかった経験をもつあみさん。幼かったころ、どんな支援があれば良かったと思うか尋ねてみた。

「生理用品の無償配布があったらすごく良かったと思います。単純に物資の提供が必要というのもありますが、配布される時に、生理についての知識も一緒に教えてもらえるといいと思います。生理に関して話すキッカケになると思う」

 誰かに困っていることを話せること、知識を手に入れるきっかけがあることも、生理の貧困の当事者に必要なことだ。

「貧困家庭で育つと、自分の置かれている状況の異常さに気づくことができません。ナプキンが買えなくても、生理痛に対処できず学校を休まざるを得なくても、我慢するしかない。それが正しいと思い込んでしまうんです。とにかくまだ思春期の時は、情報がなかったり、だれとも生理について話せない孤独感がありました。もっと教育の中で、生理についての情報が欲しかったです」

 たとえ同性どうしでも、生理について互いの事情を話す機会はすくないだろう。自分の状態が、支援が必要な状態なのか、認識することも容易ではない。

 その後、高校入学と同時にアルバイトを始め、ナプキンや鎮痛剤に困ることはなくなった。そして、初めての給料で向かったのが婦人科だった。生理痛があまりに重く、検査をしてもらいに行ったのだ。しかし、異常はなく、漢方を処方されただけだった。しかし、その後もひどいPMSや生理痛は続いた。

「PMSが酷く、イライラや精神不安定、食欲不振などが続きました。生理痛の時は寝込み、学校を休みました。月の半分は生理で調子が悪く、正常な時が少なかったです」

 専門学校を卒業後、社会人になると、生理の不調で仕事に支障が出るようになる。そこで24歳で初めて、ピルの服薬を始める。そうすると、今までが嘘のように、症状が軽くなったという。ただ、毎月2800円ほどの出費はやはり痛かった。

「高校でバイトしていた時や、社会人になって給料が入ると、母がお金を無心してくることがありました。社会人になって自分で稼ぐようになってからも、生理用品やピルなどにかかる固定費の負担は小さいものではありませんでした」

 月経困難症などから、ピルを必要とする人は多い。生理用品に加え、鎮痛剤やピルは毎月の“固定費”として生活を圧迫する。

 そして、7年間ピルの服薬を続けたあと、夫との間に子どもを授かりたいと考えるようになり、婦人科でピルを休止するように言われた。

「ピルを休止すれば、またあの痛みや精神不安定が来るかと思うとこわくてこわくて仕方無かったです」

 ピルを休止したあみさんだが、その後、一向に生理が来なかった。婦人科で検査すると、無排卵の状態であることがわかる。そこから不妊外来に通い始め、多胞嚢性卵巣症候群の治療が始まった。排卵誘発剤とタイミング療法で、3カ月後には妊娠することができた。

 不妊治療としては比較的短期間で終えられたが、排卵誘発剤には保険適用外のものもあり、3カ月の治療でも10万円ほどの出費になったという。

「共働きだったので捻出できましたが、正直金額には驚きました」

 夫にも、包み隠さず生理の貧困を経験したことや、ピルの服薬を続けていることなどを話しているという。

「夫は裕福な家庭で育ったので、その大変さをあまり理解はできないようですが、大変だったね、と受け止めてくれます」

 なんでも話し、共有できる存在がいるからこそ、体の不調を一人抱え込んでいたときのような孤独感は今はないという。

「女性特有の出費が、あまりに多いと感じます。国がもっと支援してくれたら」

 生理用品に始まり、生理痛や生理不順の治療費、さらには不妊治療費、出産……生涯、子宮があるがゆえの出費は数え上げればキリがない。生理用品の軽減税率化はその不平等を是正する、第一歩だといえよう。

 そして、生理による不調は、勉強や仕事はもちろん、日常生活に大きく影響を与える。あみさんのように、月の半分が不調に見舞われ、その中でさらに「生理用品が手に入らないこと」で起きる不快感を感じ続けながらの生活は、健康で文化的な最低限度の生活といえるのだろうか。

 生理の貧困への対応が、一過性のムーブメントで終わることなく、人間の尊厳を守るための恒常的な課題として認識され、これからも議論が深まっていくよう、発信を続けていきたい。


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