宇宙、オカルト、宗教、アートなどの情報を扱うウェブサイト「TOCANA」によるバラエティ番組『ほんトカナ!? ケンドーコバヤシの絶対に観ないほうがいいテレビ!』が、Amazon Prime Videoなどの動画配信サイトで公開されている。お笑い芸人・ケンドーコバヤシがメインMCを務め、グラビアアイドル・橋本梨菜、「TOCANA」編集長・角由紀子がアシスタントとして出演。人生に役立つかもしれない“何か”を学んでいく、超刺激的バラエティー番組だ。
現在配信中のエピソードを見ても、「極度のマゾ気質の男性」「宇宙人と濃厚接触した女性」など、トンデモない世界の住人ばかり。そんな彼らと向き合ったケンドーコバヤシさんに、印象に残っている人物や、自身の“ほんトカナ!?”な思い出話を聞いた。
――番組出演のオファーが来た時、まずどう思われましたか?
ケンドーコバヤシ(以下、ケンコバ) 本当の話していいですか? 「こういう仕事ありますけど」とマネジャーに言われた時、たいして詳細を聞かずに「あ、了解です」って言うただけです。「いいよ、やるよ」って言うたあとに、マネジャーが企画書を読みながら、番組内容を説明してたと思うんですけど、その時にはもう、晩ご飯のことを考えていたような(笑)。そんなもんなんですよ僕は、いっつも。まあでも、やったことない仕事をやるほうが楽しいんで、今回も面白かったです。
――お笑い界の中でも“博学”として知られるケンコバさんですが、番組で扱うテーマで知らないことはありましたか?
ケンコバ 知らないこと、いっぱいありましたね。僕は世の中のすべてを知ってるわけじゃないんですけど、「知らないことのほうが少ない」とは言われてるんですよ(笑)。そんな僕の知らないところを、うまいこと持ってきてくれましたよ、この番組は。
――第3話の「宇宙人“濃厚接触者”大集合!『プロフェッショナル 宇宙人の流儀』」では、宇宙人とセックスしたという女性の話を聞いて、ケンコバさんは「ほかの現場にも持っていける話」と言っていましたね。その後、この“ウンチク”をどこかで披露されましたか?
ケンコバ そんなこと言うてました? 今の今まで忘れてました(笑)。まだどこでも言うてないから、これからですね。でもあの話、実際どうなんでしょうね? 宇宙人は人間と交尾をする必要がないじゃないですか? 妊娠や出産のシステムって、染色体の数が一緒じゃなかったら、無理って聞いたことがあるんです。だから、子孫を残すためでもないのに、なんで人間とセックスするんやろう……と疑問に思ってましたね。
――たしかに、動機が謎ですね。
ケンコバ そうなんですよ。しかも、お互い見た目が全然違うということは、美的感覚も大きく違うわけじゃないですか。まあでも、人間でもヤギとセックスする人おるし……。いろいろと考えさせられる回でした。
――結構カオスな状況でしたが、かなり冷静に考えごとをしていたんですね(笑)。
ケンコバ はい、収録の間、そんなことを考えてたような記憶があります。僕は基本的に、オカルトを真正面から全部信じるタイプではないんですが、小さい時の記憶で、猫が犬に犯されているのを見たことがあるんですよ、公園で。まあ、それは“性欲のはけ口”として犬が猫を使っただけだと思うんですけど、その後、数カ月後にその猫のおなかが大きくなっていたんですよね。
これを人に話した時に、さっきの染色体の話を聞いたんですよ。「染色体の数が違うから、絶対に犬の子は産まれない」と、学がある方に言われて。あれは僕の不思議体験の一つというか……。今でもたまに、その時の猫の“あきらめた顔”がフラッシュバックするんですよ。完全にあきらめた顔してたんですよね、無抵抗で。あの猫、一体どうなったんやろ? ……って、この話は必要やったんかな(笑)?
――すでに全12話分の収録が終了しており、今年11月までに順次配信される予定です。これから番組を見る人のために、ケンコバさんの「おすすめ回ベスト3」を教えてください。
ケンコバ 第8話の「セックスで絶頂するのは時代遅れ!『オーガズムの果てまでイッてQ』」が一番面白かったかなあ。第1話の「超絶怒涛のM男たちの宴開幕!『M 〜マゾと呼ぶべき人たちがいて〜』」がその次ですかね。これはなかなか上級者向けだったんで……。
――第1話は、“性器ピアスマニア”のM男・クニオさんが、尿道に長い管を入れるという衝撃回ですね。
ケンコバ 管を入れるより、抜く時のほうがすごいなと思いましたね。女王様が“シャーッ!”って勢いよく管を抜いてたんで。あと、クニオさんのスキンヘッドに女王様が赤いロウソクを垂らして、最終的にそのロウソクを頭の上に立ててましたけど、あれは芸術的でした。あとは先ほども話しましたけど、第3話の「宇宙人“濃厚接触者”大集合!『プロフェッショナル 宇宙人の流儀』」も好きでしたね。
――その3つがベスト3なんですね。第5話の「格闘王・前田日明があの超有名事件の真相を暴露!!『格闘王・前田日明のヤバすぎ!都市伝説』」はケンコバさんが特にイキイキしているように見えましたが、ベスト3に入らないのは意外です。
ケンコバ 前田さんはね、昔から大ファンなので、あの回は「前田日明の歴史を紹介するお手伝いをさせてもらった」という感覚なんです。僕は昔から、新日本プロレスや前田さんに関する本を読んだりしてるので、結構知ってる情報が多くて。だから、お話を聞いて驚くというよりは、“事実確認”といった感じでした。今まで文章やほかの人の証言なんかで知っていた情報を、本人の口から聞けたのはうれしかったですね。あれは僕の単なる個人的な趣味回です。
――前田さんがオカルトやスピリチュアル方面に詳しい方だというのも、ご存じだったんですか?
ケンコバ 番組の中で、「幽体離脱中に乱交パーティをした」とかおっしゃってましたね(笑)。そう、オカルトやスピリチュアルとかにも明るい方だというのは調査済みでした。
ちなみに、前田さんとは初対面じゃなくて、別の仕事をしたこともあります。あと以前、西麻布の銀行ATMでお会いしたことがありました。でも、その時は前田さん、電話で誰かに怒鳴ってたんで、近寄らないように……(笑)。あいさつに行こうとしたんですけど、「あ、やめとこ……」と思って、違う銀行に向かいました。
――全12話のうち、女性視聴者におすすめの回を教えてください。
ケンコバ そうだなあ、第8話の「オーガズムの果てまでイッてQ」は興味あるでしょうね。
――体の筋肉反射を使ってオーガズムに導く緊縛師・鵺神蓮(やがみれん)さんの“技”はすごかったですね。鵺神さんが弟子の女性のツボを押したら、すさまじい痙攣を起こしたあとに、イってしまったという……。
ケンコバ あれを見たら、ぜひ体験してみたいと思うんじゃないですか? でも、鵺神さんも仰ってましたけど、気持ちよくてイってるわけじゃなくて、「反射でイってるだけ」だそうですね。女性の気持ちが高ぶっているわけではないようですが、一度は体験してみたくなるのでは。女性の“性”については最近、わりとオープンになってきている感じもありますよね。
――たしかに、大手百貨店がTENGAの開発した女性向けプレジャーアイテム「iroha(イロハ)」のポップアップストアをオープンさせるなど、長年タブー視されていた女性の“性”をオープンにできる場や機会が増えている印象はあります。
ケンコバ でもね、そこまで需要があるということは、オーガズムまで到達してない女性が多いんだな、と思ってね。本来、もうちょっと男性が頑張らなあかんねんな、とも思います。でもこれは本当に難しいもので、やっぱり男性が女性にオーガズムを感じてほしいと思う年齢は、30歳を超えてからなんですよ。
――男性に余裕が出てくるのは30歳から、ということでしょうか。
ケンコバ 包容力に近いものですかね。大人になればなるほど「最悪、自分は果てなくてもいい!」という“侍精神”が育ってきますからね。自分が血気盛んな頃はそんなこと、考えてなかったですもん。
でも、オーガズムについては女性が訴えにくいというかね。「こうしてよ」と、パートナーになかなか言いにくい部分もあるでしょうし。難しいところですよ、これは。うまくできてないな、人間社会は……と思います。
――包容力の話だと、どんなに個性的なゲストが登場しても、ケンコバさんが優しさで包み込んで、円滑に進行していた印象を受けました。
ケンコバ 「お笑い界のMISIA」とも言われてますからね、僕は。「つつみ込むように…」(1998年)をコンセプトに、僕の“MISIAイズム”が爆発したのでしょう。
実際に僕、MISIA好きなんです。おじさんでMISIA好きな人って珍しいと思うんですが、僕は好きな歌手を聞かれたらサラッと「MISIA」と答えるタイプです。特に「BELIEVE」(99年)という曲が好きですね。
――すみません、どこまで本当のお話なのか、急にわからなくなってきました(笑)。
ケンコバ ハハハハ! これは昔から言うてる、ホンマの話ですよ!
(取材・文/木森さえ)