覚醒剤の使用や密売などで逮捕起訴され、通算12年を塀の中で過ごした後、その経験を基にさまざまな活動を続ける中野瑠美さんが、女子刑務所の実態を語る「知られざる女子刑務所ライフ」シリーズ。
有期刑のマックス懲役30年より長い懲役41年の判決
ごっつい判決が出ましたねー、「懲役41年」。しかも殺人ではなく強姦と強盗。こんだけ長いのは、珍しいのとちがいますかね。
ニュースには、福岡県内で7人の女性が強制わいせつ致傷や強盗・強制性交等の被害に遭った事件とあります。被告人は44歳無職。事件ではいいトシの「無職」の人をよう見かけますが、こゆ人ってナニで食ってるんですかね。余計なお世話やけど。
いきなり話がそれましたが、有期刑のマックスは懲役30年(刑法第14条第2項)です。それより10年以上も長い「41年」。意味がわからないです。
実は、被告人は別の事件で確定判決を受けてるそうで、今回の判決は、この確定判決より「前の事件」と「後の事件」で、別々に審理されてるんですね。普通はまとめてやるんですが、「確定判決の前後で審理が分けられる」と。ようわからんですが、裁判長のお怒りが伝わってきますね。
判決でも、「(被害者の)肉体的・精神的苦痛は想像を絶する」「刑事責任は極めて重い」と指摘しています。まあレイプしてお金も盗んでるそうですから、同情の余地はないですね。
それにしても44歳からの41年……。被告人は「暴力団員」ではないようですから、仮出所の望みはないわけではないのと、いわゆる「未決通算」ちゅうて、判決確定まで拘置所で過ごした日数のうち何日かを「ムショにおつとめした」としてもらう制度もあります。
もらえる日数は裁判官の裁量で、判決の言い渡しの時に言われますが、この裁判長はお怒りのようですから、ゼロかもしれませんね(苦笑)。いずれにしろ、生きてれば80歳までは確実でしょう。
ちなみに検索したら、女性9人をレイプした35歳は「懲役50年」、幼女100人強姦して無期懲役判決を受けた26歳とかの例もありますね。
強姦の犯人が長い懲役を務めるということは、獄中(なか)で年を取れば体力や性欲が落ちるから被害者が減る、ちゅうのもあります。
前からヤクザの重罰化はいわれてますが、最近はカタギの犯罪についても厳罰化していることは、あんまり喜べないです。理由は、更生にはならへんから。
そもそもムショは、「罪を反省しに行く場」と違います。厳しい規則や懲役(受刑者)同士のいじめなどムショでの生活がツラすぎるので、「次はバレへんようにやる」と決意することはあっても、罪を悔いて更生する人は、まあ1割もいてません。瑠美も時間がかかりました。
最近は、「昔のムショみたいな陰惨ないじめはない」といわれるようですが、どうですかねえ。懲役は新聞や雑誌は読めるので、すぐに「サイテーの強姦魔が来た!」と知れ渡ります。そもそも刑務官がみんなに教えてますしね。
もちろん男子刑務所のほうがイジメはえぐいし、強姦犯はいちばんいじめられるそうです。殴ったり蹴ったりするとすぐにわかってしまうので、寝ている間に顔におしっ〇をかけられるとか、ごはんにウン〇をのせられるとかもアリです。あとはフェラチ〇の強制とかですね。「跡」にならない暴行なんですよ。
いじめのほかに、病気の問題もあります。「タダで手術が受けられる」とか喜んでるのはシロートですね。まず具合が悪うても診てもらえるのは「3カ月先」とか普通ですし、がんとか重大な病気が見つかったら、かなり大変です。
たとえば元弁護士の田中森一さんは、大阪医療刑務所でがんの手術を受けていますが、痛み止めももらえず、手術の翌日なのに医務室まで歩かされ、フラフラしてると「しっかり歩かんか!」と怒鳴られたそうです。
ムショで悠々自適なんかありえないです。入らないようにしましょうね。けど、最近は「ムショに入りたくて」事件を起こす人が目立ちますよね。「ムショに入ってやり直したい」から女性をレイプしようとしたり、「刑務所で自分を飼ってほしい」からレンガを持って小学校に侵入する人とか、「無期懲役」判決を受けて喜ぶ人とか、大丈夫かなと思いますね。
懲役は甘いもんやないです。壮絶ないじめが待ってますし、独居房なら死ぬまで誰とも話せませんよ。