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宋美玄先生に聞く「妊娠中でも、新型コロナ(mRNA)ワクチンは接種すべき?」

ByAdmin

8月 18, 2021

■産婦人科医・宋美玄先生の妊娠・出産Q&A
Q.妊娠中でも、新型コロナ(mRNA)ワクチンは接種すべき?
A.妊娠前でも妊娠中のどの時期でも接種したほうがいいとされています

 まず、「新型コロナ(mRNA)ワクチンを打つと不妊症になる/流産する」などという恐ろしい説が広まっているようですが、これは根拠のない悪質なウワサ話なので安心してください。そして人の命がかかっていることですから、ワクチンに関しての根拠のないウワサ話は広めないようにしましょう。

 現在、日本で接種することのできる新型コロナ(mRNA)ワクチンは、ファイザー・ビオンテック社製とモデルナ社製の2種類で、いずれもウイルスの設計図(遺伝情報)を用いて作られた新しいタイプのもので、生ワクチンではありません。ですから、接種することで感染する可能性はありません。

 それでも、お腹の赤ちゃんに影響がないかどうか、とても気になると思います。すでに10万人以上がmRNAワクチンを接種している米国で、妊娠中に接種した約3万5千人の追跡調査をした結果、発熱や倦怠感などの副反応の頻度は妊娠していない女性と同じくらいで、胎児や出産への影響はみられなかったそうです。そして、妊娠中にmRNAワクチンを接種した人の臍帯血(胎児の血液と同じ)や母乳を調べたところ、新型コロナウイルスの抗体が存在したという報告もあります。その抗体が、もしかしたら新生児を感染から守ってくれるかもしれません。一方、妊娠中に新型コロナウイルスにすると大変であることは、先々週この連載でお伝えした通りです。

 よくわからないことは怖く感じるものですから、確実な情報をしっかり確認してみてください。以下の2つのサイトがおすすめです。

厚生労働省 新型コロナワクチンQ&A

コビナビ ワクチンQ&A:みなさんへ

 当初、新型コロナウイルス(mRNA)ワクチンの接種は、妊娠12週以降にしたほうがいいとされていました。器官形成期である妊娠11週までは胎児異常との判別に混乱をきたすかもしれない、その時期までは流産の確率も高いことから、安全性が不確実だと考えられていたのでしょう。しかし、現在では、日本産科婦人科学会が、妊娠中のどの時期でも接種することができるとしています。

 もちろん、新型コロナ(mRNA)ワクチンの中長期的な影響というのは、まだはっきりとはわかっていません。それでも妊娠中に新型コロナウイルスに感染するリスクと比べ、ワクチンを打ったほうが明らかにリスクは低くベネフィット(利益)が高いことから、様々な国で妊娠中の女性にもワクチン接種がすすめられています。ゼロリスクがない以上、どちらの利益が大きいのかを冷静に判断することが大切なのです。

 現在の知見からは妊娠前(妊娠の計画中)でも妊娠中のどの時期でも、新型コロナワクチンを接種したほうがいいというのが大方の見立てです。それでもどうしても不安がある場合は、妊娠12週以降にする、または他の家族がワクチンを接種したうえで感染対策を徹底するなどしてみてください。

<今回のポイント>
○根拠のないウワサに振り回されない
○妊娠中のどの時期でも接種できる
○リスクの大きさを冷静に比較することが大切

※この記事は2021年8月1日現在の最新情報をもとに作成しています。

宋美玄『産婦人科医ママの妊娠・出産パーフェクトBOOK-プレ妊娠編から産後編まで! 』(内外出版社)
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