アメリカの人気スポーツ雑誌「スポーツ・イラストレイテッド」(以下、SI)。毎年水着特集号を発行しており、近年では人種、体形、職業、年齢を問わず“多様な美”を追求していると高い評価を受けている。
2021年の「SI」水着特集号は、7月22日に発売された。表紙を飾ったのは、女子プロテニス選手の大坂なおみ、女性ラッパーのメーガン・ジー・スタリオン、俳優のレイナ・ブルームの3人。大坂は日本人として、メーガンは女性ラッパーとして、レイナは有色トランスジェンダー女性として初めて表紙を飾り、大きな話題になった。
毎年表紙と同じぐらい水着特集号で注目を浴びるのが、誰もが応募できるオーディション「モデル・サーチ」を勝ち抜いた女性たち。15人前後まで絞られたファイナリストの中から、5人前後が選ばれるというもので、17年からはインスタグラムで気軽に応募できるようになったことから、参加者は年々増加。美しいだけでなく、個性的な女性が採用されるようになり、モデルの登竜門ともいわれている。
今年4月、そのモデル・サーチのファイナリスト15人が発表され、「6人が雑誌のモデルに採用される」と報じられた。誰が選ばれるのか、期待が高まる中、「SI」は「今年は13人を採用した」と発表。大量採用にネット上は大盛り上がりした。
今回はそんなモデル・サーチで選ばれた13人の女性たちを、彼女たちが米芸能誌「People」に語った「若いころの自分へのアドバイス」と共に紹介しよう。
アマンダ・ケイ
カーヴィーモデル(プラスサイズモデル)として活動しているアマンダは、カナダ出身。1歳の時に両親と共に中東に移住し、ヨルダン、エジプト、イギリス、アブダビ、ドバイと、異文化の中で育った。8年前に大学進学のため帰国。以来、トロントで暮らしている。
彼女が最初に同誌を知ったのは高校生の時。最初は興味が湧かなかったそうだが、自分と似たような体形のアシュリー・グラハムが表紙を飾ったのを見て、「“どんなサイズの女性も美しい”というメッセージを感じた」「自分に自信が持てるようになった」と好感を持つようになったんだとか。
若い頃の自分にアドバイス:自分を偽らず、自分自身を愛し続ければ、なんだってかなう
アリー・ コートナル
アリーはカリフォルニア出身。モデルとして活動しており、程よく筋肉がついた健康的な体形である。
サッカー経験者の彼女は、女子サッカー選手のアレックス・モーガンがモデルとして採用された「SI」水着特集号をみて、「自分と同じタイプの体形だ!」と興奮したとのこと。スポーツ選手が登場するのを楽しみにしており、また、健康美を売りにしているクリッシー・テイゲンが表紙を飾った14年の特集号は「ガール・クラッシュ(女性として女性に惚れる憧れること)」だったと告白している。
若い頃の自分にアドバイス:自分に価値があると決めるのは自分自身。自分を愛し、メンタルヘルスの維持・ケアを最優先させて
ガブリエラ・ハリケス
少なくとも200着は水着を持っているという、カリフォルニア州出身のカーヴィーモデル。10万近いインスタグラムのフォロワーを持つインフルエンサーとしても知られている。
自分には無縁だと思っていた「SI」だが、2016年に自分と同じ体形のアシュリー・グラハムが表紙を飾ったことで、「自分にもできる」と興味を持つように。モデル・サーチに参加したことで、「誰かのために変わる必要はない。そのままの自分に自信を持つことが美しい」と悟ったそう。
若い頃の自分にアドバイス:みんなそれぞれが唯一であり、美しいということに気づいてほしい。この世に自分は1人だけなの
フロリダ州マイアミ出身。モデル体形でもカーヴィー体形でもない、リアル体形の彼女は、小さい頃から「SI」水着特集号に出ることを夢見ていたそう。
彼女が最も印象に残っているという水着特集号のモデルは、スーパーモデルのタイラ・バンクス。街中に彼女の写真があふれていたことが深く記憶に残っているとか。2012年にモデルのケイト・アプトンが表紙を飾った水着特集号は購入したといい、以来、彼女の熱狂的なファン。
若い頃の自分にアドバイス:自分の中の醜いと思っている部分は、醜いのではなくユニークなの。そのユニークな部分は大きなパワーとなり、自分を大胆にセクシーにさせてくれるの
ナタリー・ ゲージ
ロンドン出身、ニューヨーク在住。イギリスで生まれ育った彼女は、長らく「SI」の存在を知らなかったが、モデル活動を開始した2009年にメキシコで水着特集号の、アリエル・メレディスの写真を見て大興奮。アリエルだけでなく、「SI」に登場するモデルたちから、たくさんの力を与えてもらったと明かしている。
カーヴィー体形の彼女は、キャリア初期、なかなか仕事を得ることができなかったそう。しかし、自分で積極的に行動し、フレンドリーでユーモラスな性格を最大限に使い、仕事を得るチャンスを作っていったとのこと。
若い頃の自分にアドバイス:大胆になること、おずおずしないこと、自分の力を信じ、そして笑顔でいることが大切
サマー・ウィルソン
ノースカロライナ州出身の医療販売者。イースト・カロライナ大学時代はチアリーダーとして活躍していた。卒業後は5年間、NFLボルチモア・レイブンズのチアリーディング・チームに所属。軍の活動にも参加したことがある彼女は、30歳になりモデルの夢を追いかける決心をして、モデル・サーチに応募した。
自分で自分を勇気づける「セルフ・ヘルプ、セルフ・エンパワーメント」を提唱するサマーは、夢を追いかけるのに「年を取りすぎているから無理、なんてことはない」と断言。みんなのロールモデルになりたいと抱負を語っている。
若い頃の自分にアドバイス:自分には無理だなんて決めつけない。挑戦してみなければわからないのだから
ルイジアナ州出身、俳優兼パーソナル・シェフ。シンガーソングライターのハンター・ヘイズの「I Want Crazy」MVに出演したことで注目されるようになり、テレビや映画に出演。
2000年代前半に「SI」水着特集号の常連だったモデル、モリー・シムズの子どもの誕生日パーティの副料理長を務めた時、子どものころの夢を思い出し、モデル・サーチへの応募を決心したそうだ。
若い頃の自分にアドバイス:楽ではないけれど、やる気を持ち続ければ夢はかなう
アレックス・アウスト
プロのラクロス選手でフィットネスインストラクター。「SI」の児童版「Kid SI」に掲載されていたアスリートたちをお手本に育ったという彼女は、水着特集号でテニスのセリーナ・ウィリアムズ、アルペンスキーのリンゼイ・ボン、サッカーのアレックス・モーガンら、各界のトップ選手たちが自信に満ちあふれる姿を披露したのを見て、強い影響を受けたとのこと。
「モデル・サーチほど、解放感と自信を与えてくれるものはない」「『SI』は、美しいビキニ写真以上の、内面的な美しさを求めているため、自分をよく知ることができた」そう。
若い頃の自分にアドバイス:夢は大きく持ち、努力し続ければ、素晴らしいことが待っている
ケイティ・オースティン
バージニア州出身、ロサンゼルス在住。フィットネス・インストラクター、起業家、アプリ・クリエイターで、「Austin AF」というYouTube番組の司会者も務める、多彩な才能を持つ。著名なフィットネス・インストラクター、デニス・オースティンが母親で、親子で水着をシェアするほど仲が良いそうだ。
ポジティブな性格の母の影響か、ケイティは、「スポーティでアスレチックな女子は強くてセクシーなのだ」とアピールするビデオで、今回のモデル・サーチに応募した。
若い頃の自分にアドバイス:他人が考える標準体形に自分を当てはめる必要はない。あなたは唯一の存在で、ありのままの自分に誇りを持つべき
オクラホマ州出身。細かなサイズを展開する水着ブランド「Bissy Swim」の創設者でCEO。モデル/モデル・コーチとしても働いており、“リアルな美しさ”を追求しているとのこと。
中学生の頃、リアリティ番組『アメリカズ・ネクスト・トップモデル』に出たいと思い、司会者でスーパーモデルのタイラ・バンクスを調べたことから、「SI」水着特集号にはなじみがあったとか。自分と同じような体形のリアルサイズモデル、マイラ・ダルベシオを見て、自分もモデルになれると自信がついたそう。
若い頃の自分にアドバイス:成功は、他人が作った型に合わせるときではなく、自分に自信を持つ方法を身につけたときに起こるものよ
クリステン・ルエラ
カリフォルニア州サンディエゴ出身。母でありモデルであり、インフルエンサーでもあり、ワークアウトグッズを取り扱う「Zeno Gym」のブランド責任者という顔も持つ。
子どもの頃、幼なじみの父親が持っていた「SI」水着特集号をこっそり見て、自信に満ちあふれているセクシーなモデルたちに憧れるように。10歳にして「(水着特集号に出ていたモデルの)レベッカ・ローミンのようになる」と目標を掲げたという。おなかには妊娠線があるが、隠すことなく堂々とポーズをとる。
若い頃の自分にアドバイス:人の目など気にせず、大胆に夢を追うことが大事。あなたは文字通り、なんでもできるわ。夢に制限なんてない
テイラー・ シャープ
テキサス州ダラス出身、10歳の時に移住したノースカロライナ州シャーロットを“地元”と呼んでいる。モデル・サーチに参加したことで、「『夢はあるけど、大きすぎて絶対に無理。自分の人生が良くなることなんてない』などと思っている人たちに『あきらめないで!』というメッセージを送りたい」と思うようになったそう。
思春期に友達よりも早く女性らしい体つきになった彼女は、カーヴィーなおしりが大嫌いだったが、「SI」水着特集号の表紙を飾ったブルックリン・デッカーを見て「自分と同じ!」とうれしくなったそう。美しい彼女を見て、自分もモデルになりたいと憧れ、フルタイムモデルとして活躍するようになった。
若い頃の自分にアドバイス:常にあなたらしくいて、あなたは世界でただ一人の存在よ。経験した困難を受け入れつつも、決して夢をあきらめないで。逆境を通して、強さ、思いやり、謙虚さ、優雅さを学ぶはず。それらを使って学び、成長しながら、夢への旅を続けて
カリフォルニア州で生まれ育った。モデル・サーチを共に競い合った仲間のことを、「ポジティブで、とても励みになる」「毎日のように刺激してくれて、本当にラッキーだったと思っている」と語っている。
スーパーモデルのイリーナ・シェイクが表紙を飾った2011年の「SI」水着特集号に、大きな影響を受けたとのこと。表紙を切り取り、学校で使うバインダーに貼って毎日見ていたそうで、自然とイリーナみたいなモデルになりたいと目指すようになった。
若い頃の自分にアドバイス:他人がどう思っているのかなんて考えず、自分が情熱を持てること、目標は何なのかを探すことに時間を費やすべき