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小倉優子、「旦那さんとデートしなきゃ」発言に思う“反省”と“努力”の限界――「頑張ってもうまくいかない」こともある

羨望、嫉妬、嫌悪、共感、慈愛――私たちの心のどこかを刺激する人気芸能人たち。ライター・仁科友里が、そんな有名人の発言にくすぐられる“女心の深層”を暴きます。

<今週の有名人> 
「子ども預けてデートとかしなきゃ」小倉優子 
『今田耕司のネタバレMTG』(読売テレビ、8月21日) 
 
 芸能人が破局や離婚をすると、世間では“原因”が取り沙汰される。そうなると芸能人側は、何らかの原因を提示しないと「本当は浮気していたのでは?」といったマイナスイメージの臆測を呼びかねないので、イメージの低下を恐れる場合は、とりあえずオチをつけようとする人もいるだろう。 
 
 「うまくいかなかった原因」を明かすことはビジネス上の判断としては理解できるが、個人的には「なぜうまくいかなくなったのか?」と内省的になることに意味はあるのか疑問に思う。 
 
 世の中に完璧な人間がいないのだとしたら、破局や離婚の際、“落ち度”は男女問わずどちらにもある。ということは、うまくいかない理由を考え出せば無数に見つかってしまうだろうし、その分析が正しいのかジャッジできる人もいないだろう。なので、「うまくいかなかった理由」を探すことは、単なる「自責」や「他責」に終わるのではないだろうか。“ゆうこりん”ことタレント・小倉優子を見て、そんなことを思った。 
 
 ゆうこりんといえば、初婚時の夫の不倫が「週刊文春」(文藝春秋)に報じられて、2017年に離婚。その時ゆうこりんが妊娠中だったこと、不倫相手が彼女の事務所の後輩(当時)だったこともあって、世論はおおむねゆうこりんに同情的だったように思う。彼女のようなママタレにとって、離婚はビジネス上のダメージに当たると思われるが、2人の幼い子を抱えて仕事をしながら、家事育児に手を抜かないシングルマザーぶりが評価されたのだろう。同年にオリコン社が主催・発表した「第2回 好きなママタレント」で1位を獲得している。 
 
 そのゆうこりん、18年に歯科医師と子連れ再婚を果たし、妊娠する。めでたしめでたし、かと思いきや、20年、再婚2年目にして離婚危機だと報じられる。同年3月11日付の「サンケイスポーツ」によると、夫は結婚1周年を前に、身重の妻を置いて家を出て行ってしまったそうだ。夫の弁護士を通じて、2人の息子との養子縁組解消と、離婚を求められたという。 

  ゆうこりんは夫との復縁を望んでいるが、いまだに動きはなさそうだ。8月21日放送の『今田耕司のネタバレMTG』(読売テレビ)に出演した彼女は、「私の悪いところはあれ(改善)するし、落としどころが見つかればいいなと思ってます」と、離婚の意志はないことを主張した。

 さらに「急に2人のパパにもなってくれたじゃないですか。芸能人の旦那さんにもなってくれた。それってすごいプレッシャーがあると思うんですよ。で、今度子どももできる。いろんなものが大きくなるじゃないですか。そのときに私がもっとサポートというか、できてればよかったのに、『私もつらい』みたいな。だから『私が、私が』って思っちゃったし、そういうのが原因だなと思って」「子どもたちが小さいからといって、全然旦那さんとデートも行かずに……。そうなんです、デートも全然行ってなかった。子ども預けてデートとかしなきゃ。旦那さんにとっては、新婚なわけじゃないですか」と、長々と“反省の弁”を述べた。 
 
 「どちらが悪い」と白黒つけたがる外野には、「どんな理由があろうと、身重の妻を置いて家を出て行く夫はひどい」と言う人もいるだろうし、ゆうこりんの言い分通り「夫への気遣いを忘れたゆうこりんが悪い」と言う人もいるだろう。しかし、私に言わせるのなら、「うまくいかなかった理由」を探っても、ゆうこりんはすでに「自責」で終わっているので、意味を持たないのではないか。それにこの2人の場合、どちらが悪いというより、すごく「人生の相性が悪い」気がするのだ。 
 
 恋愛結婚を「好きな人と結婚する」というイメージで捉えている人は多いだろうが、「好き」という気持ちは「嫌い」に転じることもある。そういう意味で「好き」という感情は、結婚生活においてはリスクでもあるだろう。「嫌い」になったから別れるという選択もありだが、もしもある程度の期間、安定した関係を育みたいと思うのなら、好き嫌いを超えてお互いに「結婚してよかった」と思えるものを共有する必要があるのではないか。私はそれが「人生の相性」だと思う。

 そう考えると「人生の相性がいい」というのは、「自分のためにしたことが、結果的に相手のためになること」だろう。「旦那さんとデート」のようなタスクを増やすのではなく、お互いがフツウに生活することで、自然と相手のためになっていればベストなわけだ。そのためには、お互いの人生にとってメリットのある相手を伴侶とするのがよいのではないか。

 歯科医夫はゆうこりんを愛しており、だから交際期間が短くても、なさぬ仲の子どもがいても結婚を決意したのだろう。しかし、いきなりなさぬ仲の子どもの父親になるというのは、そう簡単なことではない。とはいえ、ゆうこりんとて、仕事もして2人の小さいお子さんの育児もして妊娠までしていたら、いつまでも夫の前でかわいい顔ばかりしていられないのではないか。 
 
 「子ども預けてデートとかしなきゃ」発言は、ゆうこりんが自分を責めている、もしくは自分にタスクを強いているかのようにとれるが、仕事と育児とデートをしたら、忙しさのあまり心身ともに追い詰められることは目に見えているし、これでは「旦那さんとデート」したことによって、ゆうこりんに不利益が生じることになってしまう。お互い頑張っているのになぜかうまくいかない、まさに「人生の相性が悪い」状態だと思う。 
 
 ゆうこりんは「親の受験」とも言われる小学校受験で、お子さんを有名小学校に「合格させた」母としても知られている。おそらく合格を勝ち取るために「あそこが悪かった、ここが悪かった」と反省し、二の轍を踏まないように努力したのだろう。しかし結婚においては、悪かったことを反省するよりも、最初から「頑張らないでも、お互いに一定量のいいことがある人」を探したほうが、自分も相手もラクだし、結果として長続きするのではないだろうか。
 
 努力して何かを手に入れてきた女性に「努力をするな」と言うのは、一番難しいことだと思う。しかし、あえて「頑張らないように頑張って」とエールを送る次第だ。