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『ザ・ノンフィクション』高卒の元キャバ嬢、昼職を目指す「夜の街に別れを告げて~人生を変えたい彼女たちは・・・~」

日曜昼のドキュメント『ザ・ノンフィクション』(フジテレビ系)。8月29日の放送は「夜の街に別れを告げて~人生を変えたい彼女たちは…~」。

あらすじ

 中卒・高卒者限定で就職支援を行う「ヤンキーインターン」。6カ月間の研修生活中は食事と住まいが提供されるが、その期間は厳しい研修があり、有名企業に転職を果たした卒業生もいる一方で途中で脱落していく人も多い。この就職支援に参加し、「夜の街」から昼職に変わろうとする二人の女性を見つめる。

 静岡で暮らす真莉佳、21歳。18歳の頃からやガールズバーやスナックで働いてきた。昼職を希望する理由として、新型コロナウイルスの感染拡大による収入減を挙げていたが、子どもができたときに夜の仕事をしていたと言えるだろうか? という思いもあったようだ。

 もう一人は瑠花、24歳。18歳でキャバクラに入店以来、夜の仕事を転々としてきた。高校の時に「イケイケグループ」にいたというが、可愛い子が多く、顔を比較され、つらい青春期を過ごしたという。整形費用を捻出するため大船のキャバクラで働き、50万円を貯めて3カ月後に整形、その後ナンバーワンになるも、横浜の繁華街にあるキャバクラに移ると、自分よりもきれいで気の利くキャバクラ嬢を大勢目の当たりにしてしまう。番組内でも自分に自信がないと話し、6カ月のインターンで自信をつけたいとヤンキーインターンに応募する。

 2020年11月から始まったインターンでは早速電話セールスの研修が始まる。美容室やネイルサロンに向け、店を自動で紹介するシステムを売り込むというものだ。勘がよく、物おじしない真莉佳は流暢なセールストークを繰り出し講師も感心する。

 一方、瑠花のトークは押しに欠ける。1日200本の電話を来る日も来る日も繰り返すのだが、なかなか成約には至らずで、1週間後、余裕すら感じさせる真莉佳の横で瑠花はマスク越しでもわかる浮かない表情で電話をしていた。

 瑠花は「メモ魔」であり、どうしたらよりよいセールスになるのかを事細かに書き留めていた。キャバクラ時代から客の特徴をつけていたという。瑠花のこういった努力や細やかさを、ヤンキーインターンの講師や瑠花の母も評価していた。

 ようやく契約を1件取れると、瑠花は外部企業への出向を依頼される。出向先でも電話セールスを行うが、インターン会場とは異なり、実際に働く男性社員ばかりの雰囲気に瑠花は気圧され気味で、昼食も一人公園で食べていた。

 21年3月、真莉佳がヤンキーインターンを辞めてしまう。子育てなどでブランクがあっても復職できる仕事をしたいと、IT系の通信大学への進学を決めたという。

 一方の瑠花はインターンも終盤を迎え、希望するITベンチャー企業への面接に挑む。面接では過去のホステス時代にメモで客の特徴を覚え、ナンバーワンを取ることができたとアピールするなど、当初の自信なさげな態度は一変していた。

 5月、ヤンキーインターンは卒業式を迎え、7人いたインターン生は3人になっていた。真莉佳は無事希望企業に採用され、8月、笑顔で働いている様子が伝えられていた。

 ヤンキーインターンで研修として課せられていたのは電話営業という仕事だ。さらにその内容は、美容系サロンに対し、サロンを紹介するウェブサービスを提供する、といったもので、コロナ禍で厳しい業界のはずで、コロナ以前に電話営業をするよりさらに厳しかったのではないかと思われる。

 そんな状況の中で、ほぼ半年間も1日200本もの営業電話をかけていたのは、「ガッツがある」ことの根拠に十分だと思う。瑠花は自分に自信がないとひたすら言っていたが、大抵の人は持ち得ていない「コツコツやる」「諦めない」ができていて、また、それは客の特徴を事細かにメモするホステス時代からすでにできているように見えた。

 私もどんな人が「できる人」なのだろう、と社会に出てからさまざまな人を見てきた。弁が立つ人、人とうまくやれる人、頭がいい人、ハートが強い人など、いろいろあると思うし、それらも大切な要素だと思うが、その根っこに「コツコツできる」がないと結局、長続きはしないのではないかと思っている。

 「コツコツ」は全てのベースだ。瑠花はそれができていて、講師や母親に評価もされているのに、なぜいつまでも自信がないと悩んでいるのか、とやきもきするほどだった。

 しかし「コツコツ」の能力はぱっと見目立たない。特に華やかなものに目を引かれがちな若い世代だとさらにそうだと思う。ただ番組終盤の面接では、自分がホステス時代に客の特徴をメモしていたことなどをアピールするなど、自分のコツコツという強みを自覚し、一皮むけたように見えた。

 ヤンキーインターンは中卒、高卒を対象にしたものであり、こちらを運営しているハッシャダイは「選択格差を是正し、すべての若者が自分の人生を自分で選択できる未来をつくる」ことを目的に一般社団法人HASSYADAI socialを設立している。

 社団法人では予算の限られている公立高校へ向けた、学生が就職や進路を考えるためのプログラムの無償提供や、児童保護施設、少年院などでの講演を行っているという。

 「そもそも大学進学なんてうちの経済的にあり得ない」ことを幼少期から悟ってしまった子どもは、あまり勉強する気も起きないだろうし、それは格差の世代連鎖へとつながる。そこで、「大学に行きたい学生に進学支援」もあると思うが、「大卒じゃなくても職業選択の幅を広げる」というアプローチもあるのだ。

 文部科学省令和3年度学校基本調査(速報値)によると、大学生の数は291万8,000人とのこと。文科省ページで確認できる平成12年(20年前)の大学生の数は274万人だった。少子化でも大学生は増えているのだ。

 進学の理由として、学びたいことがある人はもちろんいるだろうが、大半の学生の動機は有名だったり高給な企業の採用基準のほとんどが大卒以上であることに起因すると思う。それゆえ、「就職のため大学に行っとかないとまずい」あるいは「いきなり就職するのは嫌だから大学へ」という心理が働というのが実情ではないだろうか。

 しかし大学に行くことがそもそも家庭の経済的な事情でかなわない人もいるのだ。奨学金という選択肢もあるが返済に苦しむケースは社会問題にもなっている。ヤンキーインターンはそんな今までの「なんとなく大学」という暗黙の了解に風穴を開けていると思う。