「婦人公論」(中央公論新社)の9月14日号が発売中になりました。沢口靖子が表紙を飾る今号の特集は「『夏バテ』放置は危険がいっぱい」。
冷え、脱水、不眠……といった、婦人公論おなじみの不調への助言が盛りだくさんですが、それ以外の読み物もバラエティーに富んでいます。さっそく中身を見ていきましょう!
<トピックス>
◎読者体験手記 ああ、エアコン狂騒曲
◎みのもんた パーキンソン病を得た今も女性と連れ立って歩きたいね
◎江原啓之 災害から身を守るために私たちに必要な心構え
エアコンについて2,400字もつづる読者の熱意
最初に見ていくのは、読者から寄せられる体験手記のコーナー。今回のテーマは、夏のエアコンをめぐるひと悶着にスポットを当てた「ああ、エアコン狂騒曲」。なんとピンポイントなお題でしょうか。
今回、採用されているのはお二人。一人目は美術館の監視員として働く方。貴重な美術品を劣化から守るため、展示室の室温は常時18度に保たれているそうで、冷え症のこの方にとっては大変つらいとのこと。そのつらさについて、約2,400字を使って表現しています。すごい。“職場が寒い”というたったそれだけのことを両親、亡き祖母、同僚、自らの性格などのエピソードを挟みながら、こんなに熱くボリューミーに書ける人は、そうそういません。
もう一人は家電量販店に勤めて18年という方。主にエアコン売り場が担当だそうで、店頭で見たエアコンをめぐる家族ゲンカあれこれを紹介。各家族の人間模様を写し取っています。「婦人公論」の読者手記にかかると、どんな出来事もドラマチックかつエモーショナルになりがちですが、エアコンという一家電さえも胸に迫るモチーフに変換する読者の手腕、恐るべしです。
みのもんた、久々の“お嬢さん転がし”芸
次に気になったのは、みのもんたのインタビュー「パーキンソン病を得た今も女性と連れ立って歩きたいね」。昨年春に『秘密のケンミンSHOW』(読売テレビ系)を降板し、「現在、テレビの仕事はゼロ」という彼が、ひさびさに読者の前に登場しています。
77歳にしてTシャツ、ジーンズ、素足にローファーというシンプルなファッションを着こなしているみのもんた。昨秋、「週刊文春」(文藝春秋)でパーキンソン病であることを公表していますが、見る限り元気そうです。
読者に向けては、「男はみんな若い女性が好みのように言われるけれど、そんなことはないですよ」「素敵な歳の重ね方をしている女性は、僕にとって『お嬢さん』です」とメッセージ。「あらためて、みなさんに言いましょう。『あなた、男たちに見られていますよ!』『狙われていますよ!』」と呼びかけています。若干うさん臭いのも相変わらずですが、やはり「お嬢さん」がたの潜在的ニーズを汲むのが上手いようです。この“お嬢さん転がし芸”、テレビでもう見られないのかと思うと一抹の寂しさも感じました。
最後に見ていくのは、スピリチュアリスト・江原啓之の「災害から身を守るために私たちに必要な心構え」。昨年、静岡県熱海市に本格移住した江原は、今年7月に熱海で発生した記録的豪雨に遭遇。その経験から「災害から身を守るために私たちに必要な心構え」を語るという趣旨のインタビューです。
災害の専門家ではないのに、なぜ江原が……? という疑問も浮かびつつ読んでいくと、江原が呼びかけているのは主に“テレビは土砂崩れの映像だけでなく現地の人に必要な情報を伝えるべきだった”という苦言、あとは“普段から防災意識を高めておきましょう”“被災地に寄付を”という提言でした。熱海在住のみなさんが言いたいことを江原が代表して話した、ということなのでしょうか。
熱海移住といえば、江原は今年1月26日号で「新型コロナウイルス感染拡大の時期と私の完全移転が重なった」「『熱海』『熱海』という文字がお告げのように私の頭に浮かんだ」「『熱海』というメッセージは霊界の導きだったのだと思います」と語っていました。まるで“コロナを予知し、霊界のお導きで熱海に移住していた”と言っているよう。
そんな力を持つ江原でも自然災害は予知できないんだな、それほど怖いものだからこそ、地道に防災意識を高めることが大事なんだな……と納得しかけたのですが、江原は最後の最後で、次のように語っています。
「7月22日に沼津市・熱海市復旧支援チャリティとして講演会(ライブ配信)を行いました。また10月に発売予定のCDの売上げも寄付する予定です。どちらも災害が起こる前から決まっていた講演会やアルバム制作ですが、まるで『お役に立ちなさい』と霊界の力が働いたかのようです」
いやこれは霊界、関係ないんじゃ? こじつけすぎでは? と違和感。もし本当であるのなら霊界も霊界で、もっと早い段階で江原に働きかけてほしいものだと感じました。