2,200万超のTwitterフォロワーを持つ女性ラッパーのニッキー・ミナージュが、新型コロナウイルスワクチン接種には慎重になっているとツイート。情報収集をして納得した上で接種するかどうか決めたいと明かしたのだが、米メディアは、彼女が「いとこの友達はワクチン接種後にEDになり、婚約者に逃げられた」という一部のツイートだけを報じたため、大騒動に発展。デマを流す反ワクチン派呼ばわりされたニッキーは「ホワイトハウスに乗り込む」と息巻き、全米を騒然とさせている。
事の始まりは、現地時間9月13日に開催されたファッションイベント「METガラ」直前に、ニッキーが欠席するというニュースが報じられたことだった。
ニッキーの不参加を悲しむファンに、ニッキーは「あたしには赤ん坊がいるの。コロナ禍でナニー(住み込みの子守)もいないし」と、息子の感染リスクを下げるために人の集まるガラを欠席すると説明。「まず、親である自分がワクチンを打たなきゃね」というファンからのコメントに、先日ミュージックビデオ撮影をした際に自身が感染したことを示唆し、「1週間も自分の赤ん坊を抱けなかった。息子はママっ子なのに」と嘆き、ワクチン接種した歌手ドレイクもブレイクスルー感染したのだし、打っても意味がないとツイートした。
これには、「コロナ感染を防ぐためにワクチンを打つのではない。重症化しないために打つのよ。未接種者の死亡率は、接種者より11倍も高いのだから」という反論が寄せられたが、ニッキーは「それは事実じゃない。ワクチンを打った人たちと同じ程度の症状だったし」と反論。「METガラのためにワクチンを接種してくれと言われた。ワクチンはMETガラのために打つものじゃない」と接種を強要する人たちに反発する姿勢を見せ、「あたしは満足するまで情報収集して、納得した上で打つわ」「今、情報収集している真っ最中なのよ」と明かし、ファンにはコロナ感染予防のためにマスクを着用するように呼びかけた。
この投稿がきっかけで、彼女のTwitterにはワクチンへの賛否をめぐるコメントが寄せられるように。ニッキー自身も、「トリニダード・トバゴ共和国に住むいとこは、ワクチンを打った友人がEDになったから絶対に打たないと拒否してる。睾丸が腫れ上がったんですって。数週間後に結婚式を控えていたのに、相手の女性に白紙に戻されて」と、ワクチンの副作用にはEDも含まれるようだという情報をシェアした。
その後、ニッキーは「ワクチン接種しないと働けない国がたくさんある」「家族を養うためにワクチンを打つ人はたくさんいる。自分もツアーに行くためにワクチンを打つと思う」と、ワクチンを拒否するわけではないと改めてツイートした。
翌日、ニッキーは「どの製薬会社のワクチンがおすすめかな?」とアンケートをとり、その結果をTwitterでシェア。その後も、息子がぐずる様子を録音した約1分間の音声を投稿するなど、穏やかにツイートしていた。
しかし、ニュース番組で黒人女性ジャーナリストから、SNSで偽情報を流す「反ワクチン派」呼ばわりされたことを知り、一転大激怒。時を同じくして米国の各メディアが一斉に、「ニッキーは、ワクチン接種を義務付けられたからMETガラに参加しなかった」「ニッキーはいとこの友人がワクチンを打ってEDになったから、反ワクチン派だ」というニュアンスで報じたため、ネット上は大炎上した。
ニッキーは、「あたしのツイートを全部読まずに、一部だけ取り上げて騒ぐいつものパターン」「(裏では)白人男性が仕掛けてるんだよね」と憤慨。いとこから「友人が、自分のことがニュースになっていると知ったらどうするんだ! 秘密だったんだぞ!」と怒られたことも明かし、彼女を反ワクチン派のように報道する大手メディアに対して、「METガラに行かなかったのは子どものため。そうツイートしてるでしょ」と反論した。
その大手メディアだが、「トリニダード・トバゴ共和国の保健相は、そのような(EDなど)ワクチンの副反応は報告されていないと発表した」と報道。ニッキーのTwitterアカウントではワクチン接種に関する意見が飛び交い、「国連はあなたを招待して、国連総会で話をさせるべきだわ」という意見も出た。
これにニッキーは、「すでにホワイトハウスからオファーが来てる」「もちろん行くわよ。たくさん質問するわ」とツイート。米政治史に残る政治事件「ウォーターゲート」ならぬ、「金玉ゲート(#BallGate)」というハッシュタグをつけて怒りをあらわにし、フォロワーに対して、何か聞きたいことがあったら、コメント欄に書いて」と、リアルタイムで包み隠さず発信することを約束した。
複数のメディアによると、誤情報を広めたと理解したホワイトハウスの関係者がニッキーに直接連絡をとり、ワクチンの有効性と安全性について医師に説明させる機会を設けるとオファーしたとのことだ。
アメリカでは変異株が猛威を振るっており、一度は減った感染者数が再び増加。ニューヨーク市では、屋内の活動を行う際にワクチンパスポートの提示を義務付ける制度を導入。これは罰則を伴う制度で、ワクチンを打たない選択をしている人たちの間から強い反発の声が上がっている。