夏のうだるような暑さも落ち着き、夕暮れ時に聞こえる虫の音からは、秋の気配を感じますよね。そんな季節の変わり目には、お肌が不安定になりがち。特に、夏の疲れをため込んだ肌には、秋の寒暖差や乾いた空気から受けるダメージが想像以上にこたえます。今回は、肌荒れに悩む女性の体験談をもとに、原因と対処法を解説します。
1.「恥ずかしくてマスクが取れない」肌荒れでストレスMAX!
今回、お話しいただいたのは、経理事務所で働く加奈子さん(仮名)30歳。毎年、季節の変わり目になると肌荒れに悩まされているそうです。
「夏から秋に季節が変わるこの時期は毎年、小鼻やあごにはニキビができるのに、目の周辺はカサカサの状態。口周りや頬も、つっぱるような乾燥を感じ、かゆみもあります」
ニキビや保湿のスキンケアをあれこれ試すも改善せず、次第に鏡を見るのも、肌に触れるのもイヤになってきたそう。
加奈子さんの仕事は、エアコンが効きすぎて激しく乾燥した事務所でのデスクワークが中心。また、ミスが許されないシビアな作業が多いうえに、繁忙期には業務量が増えるので、残業も珍しくありません。さらに今年の4月から新人教育係になったため、責任が増し、50代上司からのプレッシャーがかかっているとか。肉体的にも精神的にも、ストレスの多い職場だそうです。
「先日、社内報で部署を紹介するため、写真を撮ったんです。コロナ禍なのでもちろん強制はされませんが、カメラの前ではマスクを取るのが暗黙の了解……。でも、私はブツブツ、カサカサの顔を見せるのが恥ずかしくて、マスクを取れなかったんです」
できあがった写真には、1人だけマスク姿の加奈子さんが……。「これじゃ他部署に知ってもらえないじゃない」と上司に吐き捨てられた言葉が加奈子さんの胸に刺さり、心までも荒らしてしまったそう。毎年繰り返す肌荒れは、どうすれば改善できるのでしょうか?
肌は一定のサイクルで新しく生まれ変わっており、この肌代謝を「ターンオーバー」といいます。肌荒れは、ターンオーバーのサイクルが乱れることで起こるのです。
特に、夏から秋へ移り変わる時期には、寒暖差による油分と水分のバランスの乱れや、急激な外気の乾燥による肌ダメージに注意が必要。さらに、外環境だけでなく、ストレスや生活習慣の乱れなどの内的な要因も、肌のターンオーバーが正常に行われなくなる原因になります。
季節の変わり目は外部からの刺激が多いからこそ、内的要因はできる限り取り除けるよう、体の中から整えることが大切。それでは、肌荒れ改善のためのポイントをご紹介しましょう。
2-1.美肌によい食材を取り入れる
肌に栄養とうるおいを与えるような食事を心がけましょう。油物や甘いもの、酒類のとりすぎはNG。反対に、肌によいといわれている白キクラゲ、緑豆、ドクダミ茶などがおすすめです。
2-2.睡眠を十分にとる
肌のターンオーバーは、睡眠中に活性化します。健やかな肌を保つためには、ターンオーバーが活発に行われる午後10時から深夜2時までに寝るようにしましょう。
2-3.ストレスをためない
大人のニキビは思春期と違い、ストレスが原因になりがち。趣味や軽い運動など、自分なりのリフレッシュ方法を見つけ、上手に発散してくださいね。
このように、普段の生活の中で少し意識を変えるだけでも、体の内面から健康な肌を保つことができます。
日々の生活に気をつけたり、化粧品を変えたりしても、なかなか肌荒れが改善されなかったという加奈子さん。美容皮膚科を受診しようと考えましたが、なんとなく敷居が高い気がして、足を踏み入れられずにいたそうです。
そんなとき、雑誌で「漢方での体質改善が、さまざまな季節の変わり目症状を緩和する」という記事を発見。その中で、ネットで漢方薬を頼めるサービスが紹介されていたので、「これなら気軽に始められそう」と利用してみることに。
そこで勧められたのは「温清飲(うんせいいん)」という漢方薬でした。飲み始めてしばらくすると、肌にツヤやハリが出てきて、乾燥とかゆみが収まったそう。不思議なことに、ニキビも出なくなったといいます。
これは、肌の乾燥が改善され、皮脂の過剰分泌が抑えられたため。それだけではなく、漢方薬が体の内面から働き、肌の新陳代謝を高めることで、正常なターンオーバーが機能したのだと考えられます。加奈子さんの目元からは、以前の乾燥による赤みは消え、マスクごしでもその透き通るような肌が見てとれました。
3-1.漢方でオトナの肌荒れ改善を目指そう
忙しい女性にとっては、肌によい食材を使って料理をする時間や、十分な睡眠時間を確保すること、ストレスを溜めないように息抜きの時間を作ること自体が、簡単ではないかもしれません。そんな方には漢方薬がおすすめです。
漢方医学は、体のバランスを整えて自然治癒力を高めることで、体の内側から健康を目指すための学問。漢方薬は皮膚科の肌荒れの治療薬としても使われており、ニキビやシミなどの症状にも効果が認められている医薬品です。自然の素材が体に優しく働くため、一般的に副作用が少ないといわれています。
今起こっているニキビや乾燥といった不調を抑えるだけでなく、根本的な原因・体質の改善を目指すため、毎年の肌荒れに悩んでいる方にも最適。また、漢方薬なら毎日飲むだけなので、忙しくても無理せず続けられるはず。漢方医学を日々のヘルスケアに取り入れてみてはいかがでしょうか?
・清上防風湯(せいじょうぼうふうとう):頭部や顔面に強いかゆみ、赤みのある肌に
顔の熱や炎症を鎮める働きがあり、特にニキビの治療に用います。
・温清飲(うんせいいん):皮膚が乾燥して色つやが悪く、かゆみを伴っている肌に
体内にこもった熱を冷まし、栄養やうるおいを補うことでかゆみを止めます。
・桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん):皮膚疾患が慢性化し、血流が悪くなっている肌に
全身の血流をめぐらせるだけでなく、シミや月経周期にあらわれる皮膚トラブルの改善にもよく用いられます。
漢方薬は、ご自身の状態や体質にうまく合っていないと、効果を感じられないだけでなく、場合によっては副作用が生じることもあります。しかし、たくさんの漢方薬からご自身に合った漢方薬を見つけるのは大変ですよね。
そんなときは、薬剤師に気軽に相談できる「あんしん漢方」などのオンライン漢方サービスを利用するのもいいでしょう。あなたに合った漢方薬を見極めて、お手頃価格で自宅に郵送してくれます。
4.肌の調子をととのえ、季節の変わり目を乗り越える!
漢方薬による内面のケアだけでなく、肌を清潔に保ったり、十分に保湿したり、外からのケアも忘れてはいけません。肌は「内臓の鏡」ともいわれるように、外側と内側、両面からのケアが必要なのです。
毎日ご自身の肌と対話しながら、今、心や体は何を求めているのかを探り、補ってあげることが大切。もうしばらくマスク生活は続きそうですが、肌のお手入れを欠かさず、明るい気持ちで季節の変わり目を乗り越えましょう!