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櫻井翔・相葉雅紀の結婚発表でネタ化された「同性婚かと思った」 “笑えることが特権”に気が付けない人々

ByAdmin

9月 30, 2021

 9月28日、「嵐」の櫻井翔さんと相葉雅紀さんが、公式ファンクラブサイトにて結婚を発表したと、複数のメディアで報じられた。有名タレントのW結婚報告とあって、世間は祝福ムードに包まれている。

 一方で、本題とは別に注目を集めたのが、櫻井さん & 相葉さんの二人が結婚したように捉えられる報道があったことだ。

 たとえば、筆者のスマートフォンに入ってきたYahoo!ニュースアプリのプッシュ通知では<嵐の櫻井翔 & 相葉雅紀が結婚 公式ファンクラブサイトでダブル発表>、「日テレNEWS」のYouTubeチャンネルでは<【速報】櫻井翔さん & 相葉雅紀さん 結婚を発表>といった表記が用いられている。

 こういった表記を見て、ネット上では「櫻井くんと相葉くんが結婚したのかと思った~(笑)」といった書き込みが散見され、一時期「同性婚」がTwitter上でトレンド入りした。

 だが、こういった“ネタ”は本当に笑えるのだろうか。

 多くの人がご存知だろうが、日本ではまだ同性婚はできず、各自治体でパートナーシップ制度があるにとどまっている。パートナーシップ制度の導入も自治体でバラつきがあり、7月1日時点で110自治体、人口カバー率は37.8%となっている(※)。

※出典:渋谷区・認定NPO法人虹色ダイバーシティ 全国パートナーシップ制度共同調査
https://nijibridge.jp/data/1574/

 今年5月には、LGBT理解増進法案に関する自民党の会合にて、出席した議員から「道徳的にLGBTは認められない」「人間は生物学上、種の保存をしなければならず、LGBTはそれに背くもの」といった差別発言があり、問題視されたのは記憶に新しい。その後、法案提出は見送られた。

 そして、ここ連日注目を集めていた自民党総裁選では、候補者の4名中、誰も同性婚に賛成している人はいなかったのだ。(河野太郎氏・岸田文雄氏が賛否を留保、高市早苗氏・野田聖子氏が反対)

※参照:https://mainichi.jp/articles/20210926/k00/00m/010/146000c

 こうした背景を踏まえると、同性婚を“ネタ”として消費することの残酷さが見えてこないだろうか。「同性婚かと思った」と笑っている人がいるのと同時に、今も愛する人と結婚できず苦しんでいる人がいる。

 「笑えることが特権なのではないか」「“ネタ”として笑うことで傷つけている人はいないか」——私たちは考え直す必要がある。

男性同士の親密な関係への“イジり”
 本件でもう一点気になったのは、メディアにおけるホモフォビア(同性愛嫌悪)だ。

 2017年に『とんねるずのみなさんのおかげでした 30周年記念SP【タモリたけし&みやぞん】』(フジテレビ系)にて、番組初期のキャラクター「保毛尾田保毛男(ほもおだほもお)」を復活させ大炎上して以降、露骨にLGBTQを笑える存在として扱ったり、「お前ホモかよ」といった嘲笑する表現をテレビで見かけることはめっきり減った。

 しかし、最近でもテレビを見ていると時折、男性同士が仲良しであることを「怪しい関係」といった表現をしたり、男女だったら恋愛イジりをしないような場面で、男性同士の関係をイジるといった場面を何度か見かけた。こういった“イジり”の根っこにあるのは「同性愛はネタにしていい」というマインドだろう。

 今回、「櫻井さんと相葉さんの二人が結婚するのだと勘違いした」という芸能人や一般の声を取り上げるメディアが複数あった。これはメディアも、同性愛をネタ化することに便乗しているのではないか。

 そもそも、たとえばNHKの<「嵐」の櫻井翔さん 相葉雅紀さん それぞれ結婚を発表>といったように、誤読を招かないようなタイトルをつけているメディアもいくつかあった。強烈なタイトルをつければクリック数が上がることから、「同性婚だと思った」といった反応を狙いタイトルをつけたメディアもいるのではないか——これは筆者の邪推だろうか。

 ここ数年でLGBTQの認知度は高まり、一般社会においても「差別してはいけない」という認識が広まりつつあるのを感じる。一方で今回のように当事者の存在が見えなくなってしまうのは、「なぜ差別をしてはいけないのか」という人権問題としての理解が不足しているからだろう。

 私たちの社会に染み付いた同性愛をネタ化する思考は、まだ解毒されきっていない。今回改めて「無意識に傷つけていないか」「差別していないつもりでも、差別しているかもしれない」という意識は筆者も含め、一人ひとりが定期的に振り返る必要があるのではないかと感じた。

 そしていずれ、芸能人の同性婚の発表が“ネタ”になるのではなく、「自然である」時代になることを望んでいるし、そのために、今後も違和感には声をあげていきたい。

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