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氷川きよしことkiiちゃんが「婦人公論」で語る! “演じてきた別人格”と“私”の2つの表現と覚悟

 「婦人公論」(中央公論新社)の10月12日号が発売中です。表紙を飾るのは、萬田久子氏。リーゼントにしか見えない萬田氏が振り返りざまにガンを飛ばすかのような構図の写真で、書店でとても見つけやすくなっています。

 そんな今号の特集は、リーゼント・萬田と特に関連なさそうな「認知症 発症させない、悪化させない」。コロナ下で長引く自粛生活は「『認知症リスク』を高める」とし、予防法、症状との向き合い方、認知症介護のストレスとの付き合い方など多岐に渡って特集しています。ためになる内容ではありますが、ここでは主にそれ以外のページの中身を見ていきましょう!

<トピックス>
◎カータン×村井理子 親の介護ストレスは書いて吹き飛ばせ
◎横尾忠則 肉体が衰えた今こそ自由に描ける
◎氷川きよし 迷わないと決めたら世界が大きく広がった

“介護もネタに!”の軽やかな覚悟

 まずは特集から、ブロガーのカータン氏×ライターの村井理子氏の対談「親の介護ストレスは書いて吹き飛ばせ」。認知症特集の中でも、こちらの企画は“介護する側”に目が向けられています。カータン氏は発売中のコミックエッセイ『健康以下、介護未満 親のトリセツ』(KADOKAWA)で、村井氏は認知症の義母目線でつづったエッセイ『全員悪人』(CCCメディアハウス)で、ともに“親の介護ストレス”をテーマにしていることから対談が実現した模様。

 タイトルに「親の介護ストレスは書いて吹き飛ばせ」とあるとおり、対談から立ち昇るのは、二人の“表現する覚悟”のようなもの。義母の介護についてつづった村井氏は、「『よくこんなのを書いたな』と散々言われましたけど、ネタに昇華したほうが勝ち」と堂々。カータン氏も「描くことで発散できるし、笑いにも変えられる。親に対して、『新しい経験やネタを提供してくれてありがとう』という思い」と前向きに語っています。元祖(?)インフルエンサー・はあちゅう氏の座右の銘「人生全部コンテンツ」に通ずる、軽やかな覚悟が感じられます。

 読者手記コーナーが充実し、自己表現が好きなイメージがある「婦人公論」読者に、この“ストレスは書いてネタにして発散!”というアドバイスは響きやすいのではないでしょうか。

 高齢化社会が進む今、カータン氏や村井氏の後を追う人気“介護インフルエンサー”が読者から続々と誕生する日も遠くないかもしれません。

 続いては、85歳の世界的美術家・横尾忠則氏のインタビュー「肉体が衰えた今こそ自由に描ける」を見ていきます。こちらにも、先ほどの「親の介護ストレスは書いて吹き飛ばせ」に通じる“表現する覚悟”に触れられた部分が見られました。

 「今ではほとんど耳が聞こえません。目もよく見えないんです」と言う横尾氏ですが、「初めて、『アートが始まった』という感覚があります」と語り、現在もほぼ一日アトリエで創作と向き合っているそう。「ものを創造する人間にとっては、毎日が地獄です」「僕も毎日ダンテの『神曲』を生きているつもりです」と言い、交友のあった三島由紀夫についても「晩年はそれこそ毎日、切腹するような気持ちで生きておられたのではないかと思います。毎日が切腹」と回想する横尾氏。

 毎日が地獄、毎日が切腹! “表現することで発散されるものと、犠牲になっていくもののバランス”を取る力が必要なのかもしれないと考えさせられます。はあちゅう的な生き方も、軽やかそうに見えて実は「毎日が切腹」な心境なのでしょうか。

 最後に見ていくのは、氷川きよしのグラビア&インタビュー「迷わないと決めたら世界が大きく広がった」。“表現する覚悟”という、今号の裏テーマ的なものを統括するかのような内容になっています。

 最近では演歌だけでなくポップスにも挑戦し、園芸番組『趣味の園芸』(Eテレ)、料理番組『氷川きよし kiiのおかえりごはん』(ポッドキャスト配信)など活躍の幅を広げている我らがkiiちゃん。いわく、「ずっと演歌を歌ってきましたが、『男の生きざま』みたいなものをテーマにした楽曲も多く、私は歌の主人公になりきることでその世界を表現してきたつもりです。以前は、『歌の主人公のように自分も生きなければ!』と思い、男らしくあろうとさまざま努力もしました。(中略)でも、今は違います。歌の主人公になりきって歌うけれど、現実の私は、お料理と園芸、ファッションが好きな『私』であり、歌の主人公とは別人格なのだとはっきり分けて考えられるようになりました」とのこと。

 「自分を肯定したら、臆さず自己表現することができるようになり、同時に、世界が大きく柔らかく広がり始めた」と話していて、よかったねkiiちゃん……! という思いがあふれます。

 kiiちゃんでさえ、それができるようになるまでに歌手デビューから約20年が必要だったように、簡単なことではないのは百も承知ですが、“自分ではない何かを演じる表現”と“ありのままの自分で行う表現”の2つを、半々にバランスを取ってできるようになってやっと、kiiちゃんのように柔らかな世界を手に入れることができるのかもしれません。