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「料理が得意」な和牛・水田信二の面倒くささがあらわに? 「作ってくれた人への感謝」を訴えるほどに増すこだわりと威圧感

羨望、嫉妬、嫌悪、共感、慈愛――私たちの心のどこかを刺激する人気芸能人たち。ライター・仁科友里が、そんな有名人の発言にくすぐられる“女心の深層”を暴きます。

<今週の芸能人>
「料理得意な男性はどうなんやろな?」和牛・水田信二
『人志松本の酒のツマミになる話』(10月8日、フジテレビ系) 
 
 『家事ヤロウ!!!』(テレビ朝日系)という番組がある。その名の通り、家事初心者のバカリズム、KAT-TUN・中丸雄一、メイプル超合金・カズレーザーが、料理や収納術などの家事を学び、実践する番組だ。

 男性が家事をやることを番組にするアイデアは、今の日本において「画期的」と言えるのではないだろうか。この3人に限らず、人気の男性芸能人が家事をする姿をテレビで見せることは本人のイメージアップにつながるし、仕事の幅を増やせるかもしれないという意味でチャンスだと考えられる。しかし、料理や掃除など家事への強いこだわりから、その人の面倒くさい一面が露呈する可能性もあるので、注意が必要だろう。

 10月8日放送の『人志松本の酒のツマミになる話』(フジテレビ系)に出演した和牛・水田信二。彼は芸人になる前に料理人として働いていて、料理に関して相当自信があるようだ。その水田が“ツマミになる話”として、「料理得意な男性、どうなんやろな」という話題を提供したが、この話に私は水田の面倒くささを感じた。

 水田は元料理人だったため、「味への興味がすごくあるし、作ってくれた人への感謝もすごい感じる」とのこと。若手の頃はファンから手作り料理をプレゼントされることもあったが、何か問題があったら大変なので、事務所からは「食べないように」と指導されているらしい。しかし、水田はせっかく作ってくれたものをみすみす捨てられないので、「ひとくち、口に入れて味を見てゴミ箱に吐き出す」ということをやっていたそうだ。

 水田が元料理人だと知った上で付き合った女性は、「まぁ、料理作ってくれない」「この10年で手料理(を食べたの)って2〜3回しかない」らしい。彼女が料理を作ってくれる数少ないケースのときも、何か言われるのではないかと緊張した様子で、水田も「絶対に喜んでいるのは伝えたいけど、大げさに言ったら気を使わせる」と考えてしまい、全然食事が楽しめないのだという。そんな経験から、水田は「料理が得意な男性はどうなんやろな?」と疑問に思うようになったそうだ。

 要するに、水田は自分の料理がうますぎるため、彼女の負担になっていると考えたらしい。「料理ができて、気を使える男性」のように思えなくもないが、どうもそんなに簡単な話ではなさそうだった。 

 水田の質問に対し、ゲストでタレントの井上和香は、料理が得意な男性と交際していたとき、自分の作った料理を相手が「すごくおいしかったけど、ここにもうちょっと緑があったらきれいだったよね」と“採点”してくるのが嫌で、「料理ができる人、本気で苦手」と思ったことがあると話した。

 水田は井上の経験談を受け、「料理人の人って(そういうことを)家で言ってないと思う」「男性で女性の料理に文句を言う人って、料理人じゃない料理得意な人」「料理人の人は絶対言ってない、作る大変さをわかっているから」と持論を展開。仮に水田が女性の作った料理に彩りが足りないと思ったとしても、「よく料理人の自分に対して作ってくれた、ハードルを越えてきたくれたということに感謝」するそうで、井上が「苦手」とする男性と自分は違うと主張したいようだった。

 「感謝」という殊勝な言葉にごまかされがちだが、水田は結構序列にこだわるというか、マウントを取りたがるタイプなのではないかと思う。 
 
 水田の「料理人じゃない料理が得意な人」や「料理人の自分に対して作ってくれた」発言からは料理が得意な人より料理人のほうが“上”、料理人である自分は彼女より“上”という序列にこだわっているように私には感じられた。そもそも、料理人だからといって、シロウト(彼女)の作った料理を褒めてはいけない決まりがあるわけでもないのに、なぜ「大げさに言ったら気を使わせる」と思うのかよくわからない。

 彼女がプロの料理人になりたい、店を出したいというのなら、厳しめに評価をする必要があるかもしれないが、単にカップルで食事を楽しむのであれば、多少思うところがあっても、深く考えずに「おいしい」と言えばいいだろう。「よく料理人の自分に対して作ってくれた、ハードルを越えてきたくれたということに感謝」という言い方も、感謝をしているように見せかけて「プロの料理人であるオレに、シロウトのお前ごときがよく料理を食べさせようと思ったな」と威圧感をにじませていないか。

 それに、腕に自信があるのなら、つべこべ言わずに水田自身が料理を作ればいい。「オンナは料理(家事)をするもの」という考えまで透けて見える。

 ちなみに私の周りで、プロの料理人と結婚した友人が2人いるが、寿司職人と結婚した友人は夫に「自分がすべて作りたいから、料理は何もしないで」と言われたそうだ。実際、家族の食事もお弁当もクリスマスもおせちも全部夫が作っている。もう一人の友人の夫は逆に「家では料理を一切したくない」タイプで、友人が料理をしているが、たとえスーパーのお惣菜でも文句は言わないし、すべての料理を「おいしい」と褒めてくれるそうだ。このように、料理人とシロウトのカップルでも、緊張感が漂うとは限らない。

 水田の彼女が手料理を作りたがらないのは、水田の料理がうますぎるからではなく、水田の発する「俺のほうがすごいけど、お前が料理を作れ」という圧がすごすぎるからではないだろうか。「料理がうまい男性」というのは、今の時代にウケそうなキャラだが、水田の場合は威圧感ばかりが前面に押し出され、私には「ただの面倒なオトコ」だと感じられた。

 経済力を笠に着て「誰のおかげでメシが食えているんだ」と配偶者を精神的に威圧することなどは、「モラルハラスメント」と呼ばれている。モラハラを働く人は日ごろから、学歴や職業、年収などの社会的ブランドにこだわったり、それらに「上下」「勝ち負け」をつけがちだったりするという。日本は男女の賃金格差が大きい国なので、一部の高収入女性を除くと、多くの女性は“モラハラ被害者”になる可能性を秘めているといえるし、実際にパートナーからモラハラ的発言を浴びた経験のある人も多いのではないだろうか。 

 そのせいか、ある編集者から「モラハラは数字が取れる」と聞いたことがある。確かに、女性向けの読み物では、モラハラ夫やモラハラ彼氏を描いたものが多い。モラハラ男への嫌悪から、女性たちがついクリックしてしまうのだろう。しかし、テレビに出ている人がモラハラ気質だと嫌悪感が先に立って、その人の本業について興味を持つ人が減るかもしれない。そう考えると、たとえ家事の話をしたとしても、マイナスに働く可能性が高そうだ。

 少し前は「クセがあってこそ芸人」のような言われ方をしていたが、時代は変わっていく。芸を磨くよりも前に、“人柄”を時代に合わせて好感度を上げることが、水田をはじめとした芸人の仕事の幅を広げる方法なのかもしれない。