■小児科医・森戸やすみ先生の子育てQ＆A
Q.子どもがアトピー性皮膚炎になりました。ステロイドは怖いと聞き、どうしたらいいか悩みます。
A.ステロイドは有用な薬です。アレルギーを専門とする小児科医か皮膚科医に相談を。
「アトピービジネス」という言葉があるほど根拠のない民間療法が多いためか、アトピー性皮膚炎については、恐ろしいデマがたくさん広まっています。たとえば「アトピー性皮膚炎は脱保湿で治る」「ステロイドは危険だから使ってはダメ」「自然治癒力や免疫力を高めたらいい」などはすべて根拠がありません。適切な治療を受けられなくなると危険なので、決して耳をかさないようにしましょう。
そもそもアトピー性皮膚炎は、様々な要因によって皮膚が乾燥してバリア機能が低下し、そこから異物が入り込み、炎症が起こる疾患です。そのため、保湿をしなければ治るということはなく、基本的には保湿をすることが大切です。また、ステロイドは、アトピー性皮膚炎の標準治療で使う薬であり、適切に使えば効果的で怖いものではありません。さらにアトピー性皮膚炎は、免疫反応が過剰になるために起こるため、免疫力を上げたら治るという理屈はあり得ません。
アトピー性皮膚炎の症状は、主に皮膚が盛り上がって赤くなる、じくじくする、症状が左右対称に出るなどが特徴で、乳児は頭や顔から始まって全身に広がり、幼児では首や肘や膝などの関節の内側に多くなります。こういった症状が慢性的（１歳未満なら２か月以上、それ以上の年齢の場合は６か月以上）に続く場合に診断され、治療を受けることになります。炎症が軽い場合は、肌を傷つけないようこまめに洗って、朝晩しっかり保湿するだけでもよくなりますが、それでは治らない場合はステロイドを使います。
その昔、ステロイドが不適切に使われたせいで未だに誤解が広まっています。発端は、間違った情報を元にしたテレビ番組でした。アトピー性皮膚炎の治療においてステロイドはとても効果的な薬です。なぜなら、アトピー性皮膚炎の炎症を鎮めることができるからです。しかも、今では副作用を少なくするための安全な使い方もわかってきています。また、ステロイドに加えて、免疫抑制剤であるタクロリムス軟膏が処方されることもあります。このタクロリムス軟膏を適切に使えば、ステロイドを減らすことができるのです。
詳しくは、以下のページも見てみてください。漫画なので読みやすくわかりやすいと思います。
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ただ、確かに重いアトピー性皮膚炎の治療には時間がかかります。また、専門家に診てもらったほうが安心です。できれば、アレルギーを専門とする小児科医、または小児の治療にも詳しい皮膚科医に診てもらいましょう。不安に思うことがあれば、ぜひ非専門家や誰かわからない人ではなく、専門医に聞いてみてください。
＜今回のポイント＞
○アトピー性皮膚炎に関するデマはとても多い
○ステロイドは適切に使えば効果的
○アレルギーを専門とする小児科医、または小児も診られる皮膚科医がおすすめ
森戸やすみ『小児科医ママの子どもの病気とホームケアBOOK ~いつものケアから不調のときの対処法まで』（内外出版社）
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