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毒親体験の吉川ひなの、“わが子に与えたいもの”とは? 毒母の連鎖を「終わりにする」と「婦人公論」で決意

 「婦人公論」(中央公論新社)の10月26日号が発売になりました。特集は「母が重い、娘がこわい」。母娘問題は最近の流行、かつ婦人公論の得意分野とあり、熱が入っています。さっそく中身を見ていきましょう!

<トピックス>
◎吉川ひなの 家族は一心同体という呪縛から子どもたちが救ってくれた
◎ルポ いつまでも甘えてくる娘にうんざり
◎読者体験手記 親心を無視されて

毒母告白の吉川ひなの、“わが子に与えたいもの”とは

 まず見ていくのは、ハワイ在住・吉川ひなののインタビュー「家族は一心同体という呪縛から子どもたちが救ってくれた」。今年5月に発売したエッセイ『わたしが幸せになるまで 豊かな人生の見つけ方』(幻冬舎)で、毒母に育てられた生い立ちをつづって話題になった彼女。今回のインタビューでも改めて母親にかけられたという「呪縛」を語っています。

 13歳から家計を支え、母親に搾取され続けていたという吉川は、母親について「『家族は一心同体。私とあなたの人生に境目はない』『私が産んだ子だから、すべて私に権利がある』と本気で思っている人でした」「彼女の言うことは絶対で、何をされても我慢するのは当たり前」と振り返り、「10代から20代まで傷つくことだらけ」「自分を幸せだと思ったことは一度もありませんでした」と告白。

 さらに「環境破壊が進んだこんな時代に子どもを産んでも、苦しみを与えるだけ」とも刷り込まれてきたそうで、「産まないのが当然なのだと思っていました」と語っています。

 その後、20代半ばで夫となる男性に出会ったことが転機となって、「幼い頃から持ちえなかった自分への自信を、少しずつ取り戻すことができた」とのこと。現在は3児の母に。

 エッセイでは毒親体験のほかにも、“洗わない育児”や“おむつ無し育児”、肉は食べない(食べると“殺された動物の気持ちが人体にイラつきなどの悪影響を及ぼす”と感じているそう)、電磁波を避ける(寝る前にテレビのコンセントを抜くなど)といった独自の子育て・生活術をつづり、すっかり“自然派ママ”のカリスマに君臨しています。

 今年6月に誕生した第3子は、西洋医学に基づいた妊婦検診は受けずに自宅水中出産、生後約2週間から「おまる」トレーニングをスタートしたことをインスタグラムで明かすなど、ナチュラリストぶりはエスカレートしているように見えますが、インタビューでは「親子関係の呪縛から逃れられず、わが子にも同じことを繰り返すという話をよく聞きますが、悲しみの連鎖はここまで。『私のところで終わりにするからね』という感じです。私は、母から与えられなかったものを子どもたちに与えたい」と、毒母の連鎖を終わらせる決意表明も。

 「与えたい」の気持ちが高まったあまり、実母とは“わが子のためを思って”の方向性が変わっただけ……という結果になりませんように、との思いが胸をよぎりました。「親子関係の呪縛から逃れられず、わが子にも同じことを繰り返す」。本人がそれをわかっているにもかかわらず、完全に逃れることは難しいのだろうか……と、考えさせられるインタビューでした。

 次はノンフィクションライター・島内晴美氏によるルポ「いつまでも甘えてくる娘にうんざり」。母親側からの娘に対する思いを取材した記事です。

 「知らず知らずのうちに母を支配する娘」「いくつになっても反抗し続ける娘」「親をあてにして自立できない娘」などに対する母親の思いが語られていますが、中でも気になったのは、“コロナワクチンの陰謀論にハマった娘(34歳)”を持つクミコさん(72歳)のパターン。

 「しょっちゅう孫を預けに来るんだから、ワクチンを打ってちょうだいとお願いしても、『ママはワクチンで大勢が死んでること知らないでしょ。私が死んでもいいと思ってるわけ?』と真顔で言う」とのこと。「専業主婦の私のことを馬鹿にしていたくせに、自分は仕事を辞めて今は趣味のダンスに夢中」「コロナ下でも子どもを私に預けてレッスンだの、お茶だのと出かけてばかり。それでワクチン拒否だからいい加減にしろと思います」と怒りは頂点に。今後の金銭的援助は断ち切ることにしたそうです。

 なんと現代的ないざこざでしょうか。コロナは母娘の溝をも深くする、やはり恐ろしいウイルスです。

読者の本音「生まれ変わったら子どもなんか生むものか!」

 最後に見ていくのは同誌名物の読者体験手記のコーナー。テーマは「親心を無視されて」。こちらも親側の目線で、娘への愚痴がつづられます。

 一通目の83歳女性は、無農薬・有機栽培で育てた野菜を娘(60歳)に送っていましたが、娘にとっては迷惑だったらしく、あるとき娘から「これ以上嫌がらせはしないでください」と激昂メールが届いたそう。なぜ娘が「こんな怖い娘」になったかを延々振り返る手記の結びは、「今度生まれ変わったら(中略)子どもなんか生むものか。楽しい恋だけいっぱいするのだ」。なんと潔い。この83歳女性の心の叫びに共感する人もたくさんいるはず。

 二通目は64歳女性。出産した娘から孫の名前候補を聞いてネットで姓名判断をしたところ、どのサイトでも良くない結果が出たことから、「たまらず婿を訪ね、『姓名判断がすべてではないが、字画は変えたほうがいいのではないか』と懇願」して名前を変えさせたり、娘の湿疹を心配して「部屋の絨毯が原因かもしれないから引っ越してはどうか?」などと提案したりなどを繰り返していたところ、娘から「もう私に関わらないで」と縁を切られたつらい経験をつづっています。

 いずれにしても、“わが子のためを思って”の気持ちがあった上でのいざこざ。今号の対談記事で作家・桜木紫乃氏が語っている「子どもにとって薬ばかりで毒にならない親なんていない」という言葉に、すべて集約されるのかもしれません。