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松居一代にとって「いい距離感の人間関係」を考える――思い込みが激しく、情が濃い一面と投資家の冷静さを生かすには?

羨望、嫉妬、嫌悪、共感、慈愛――私たちの心のどこかを刺激する人気芸能人たち。ライター・仁科友里が、そんな有名人の発言にくすぐられる“女心の深層”を暴きます。

<今週の芸能人>
「小室さんとお姫様の眞子さまに貸してあげたい心境ですが、家賃が高いですよ 」松居一代 
松居一代オフィシャルブログ、10月13日

 「婦人公論」2021年10月26日号(中央公論新社)の特集「<歳を重ねた親子のホンネ>母が重い、娘がこわい」が面白かった。数年前に起こった毒親ブームの頃は、母親の仕打ちがいかにひどかったかを娘の側から語るものが多かったが、今号では「娘がこわい」という母親側からの反論も載っている。同誌にコメントを寄せた臨床心理士の信田さよ子氏は、どちらの肩を持つわけでもなく、それぞれに精神的な距離を保つことを勧めており、これは「大人になったら、母と娘はどちらも必要以上に干渉するな」という意味だと私は解釈した。

 アジア人は血のつながりを重視する傾向があるといわれている。親族やきょうだいでいさかいがあると、「血がつながっているのだから、いつかはわかりあえる」といさめてくる人がいるのはその表れだろうが、実際は親子間で殺人が起きることもあるし、介護や遺産相続をきっかけにしてきょうだいが絶縁するという話もよく聞く。みんながみんな、円満でわかりあえる家庭ではないということだろう。

 もう一つ思うのは、実は「家族という存在が必要でない人」もいるのではないか、ということだ。

 17年、タレント・松居一代と俳優・船越英一郎の離婚騒動が世間を騒がせた。松居は船越の不貞の証拠をYouTube上で暴露するなど、前代未聞の事態となったが、後に2人の離婚は成立し、松居はテレビの世界を去った。もともと投資家としての腕に定評がある松居だが、現在はニューヨーク・マンハッタンに活動の拠点を移している。

 女の細腕でたいしたものだと思う一方で、松居の周囲には家族にまつわるトラブルが多いことにも気づく。21年10月16日付のブログで、松居は「私は残念ながら、実の家族には恵まれていません。バツ2で世間様を巻き込んでの派手な離婚劇場」と、家族運の薄さを嘆いている。離婚だけでなく、松居は最初の結婚でもうけた一人息子とも揉めているようだ。息子は船越と養子縁組をして「船越」姓を名乗り、会社を経営しているが、松居は息子に養子縁組を絶つことを条件として資金を貸与したものの、その約束は守られていないとブログ内で明かした。

 実母や妹たちとの関係も、あまりうまくいっていないようだ。松居は今年2月に実父を亡くしているが、3月30日のブログには、実父の危篤時や四十九日法要の連絡がなかったこと、通夜や葬儀の際は松居の席が用意されていなかったことが書かれている。何が原因なのかは詳しくわからないが、実家側にとって、よほど腹に据えかねる出来事があったのだろうと推測する。

 生きていれば対人トラブルは付き物とはいえ、松居のブログを読んでいて感じるのは、彼女の思い込みの激しさ、もしくは情の濃さである。

 たとえば、松居はホームレスの男性に家の掃除などの用事を頼んでいたことがある。この男性を相当信用していたようで、1月28日のブログでは、自宅のセキュリティーナンバーを教えていたことを明かしている。「家が無くて、外で寝起きされていても、誠実な方だと松居は判断していました」と書いており、実際に、この男性はトラブルを起こしていないようだ。

 勘の良さは投資家にとって重要な資質だろうから、誠実な人柄を見抜いたのはさすがというべきだろうが、もし私がこのホームレス男性なら、セキュリティーナンバーを教えてもらってもうれしくないと思う。なぜなら、もし松居家の中で何かなくなったとしたら、それが勘違いであったとしても、最初に疑われるのは自分の可能性が高いからである。100%善意で行った行為が、相手にとっては“ありがた迷惑”かもしれないと思うセンスが、松居にはないのかもしれない。

 直観力だけでなく、松居は行動力にも優れている。船越と結婚していた当時、彼が主演するドラマの視聴率アップのために、松居が自分でチラシを作り、街行く女子高生に配っているのをワイドショーで見たことがある。正直なところ、チラシを配ったくらいでドラマの視聴率が上がるとは思えないが、「好きになったら命がけ」になるのが松居なのだろうと思う。

 しかし、この濃すぎる情は、一歩間違うと仇になるかもしれない。松居はご近所さんや解体工事の業者など、自分が「これ」と思い込んだ人には、大金をつぎ込むクセがあるようにも見える。赤の他人でもこうなのだから、家族となるともっと濃密に付き合うのではないか。松居は経済力があるので、大金を援助することも可能かもしれない。こういう付き合いはうまく行っているときはいいが、相手が自分の思う通りに動いてくれないと、「あんなにやってやったのに」と恨み骨髄に徹する可能性も秘めている。息子と揉めている裏に、こうした不満がないとはいえないだろう。

 さらに松居は、顔も名前も知らないブログ読者のことも“家族”と呼ぶが、彼女にとってこれくらい距離感のある人間関係のほうが、トラブルにならなくていいのかもしれない。一緒に住んだり、毎日顔を見て愛しあうという意味の家族と付き合っていくのは、松居の負担が大きく、そもそも向いてないと思うのだ。

 愛しすぎて、相手が窒息するまで抱きしめてしまうようにも思える松居だが、いい距離を保ち続けているものもある。それはお金だ。

 投資上手な松居の元からお金が逃げることはなく、松居もお金に敬意をもって接しているように思う。10月13日のブログで、マンハッタンのミッドタウンに立つ超高層ビル・One57の一室を「破格の安さで買い逃げた」と最安値で買ったことを明かし、今は売るか賃貸に出すか悩んでいるという。その流れで、「小室さんとお姫様の眞子さまに貸してあげたい心境ですが、家賃が高いですよ」と冗談めかして書いている。

 松居といえば、三重県の伊勢神宮へ頻繁にお参りしていることでも知られているが、7月4日のブログによると、天皇陛下がお使いになる特別室で表彰を受けたという。眞子さまは結婚して民間人になられても、皇族の一員であったことに変わりはない。スピリチュアル好きで「ご縁と感謝」をたびたびブログにつづり、大切にしている松居だけに、格安で貸してあげればいいのに……と思わないでもないが、そこまでの情はないようだ。松居はお金(ビジネス)に関しては、常に冷静である。お金を愛するように、人を愛すれば何事もうまく行きそうだが、天は二物を与えなかったのかもしれない。

 アメリカのフリーペーパーに松居が掲載された際、自身を「ジャパニーズ・マム」と紹介していた。その肩書に異論はないが、松居のスゴさは「身内と良好な関係を築いているか」というような、既存の「マム=母親」像を基準にした平凡な尺度では到底測れないと思う。家族から遠く離れたニューヨークで、お金の神様、投資の女王として、ますます活躍していただきたいものだ。