「おいしいごはんが食べたい、でも自炊するのはめんどくさい!」そんなズボラ女子の救世主といえば、コンビニ・ファミレス・ファストフード! 毎日の食事をおいしく楽チンにするため、管理栄養士・猪坂みなみ先生に、さまざまなテーマに合わせた「おすすめメニュー」を聞いちゃいます。
人気ファミレス、「本当にコスパのいいランチ」はどこで食べられる!?
おいしく&安く昼食を済ませたい時に便利なのが、ファミリーレストランのランチセット。メインディッシュとサラダ、スープなどのセットがワンコインで食べられる店舗もあるので、ファストフードよりも“コスパがいい”といえそうです。
そこで今回は、管理栄養士の猪坂みなみ先生に「サイゼリヤ」「ガスト」「ジョナサン」の人気ファミレス3店から、「本当にコスパのいいランチメニュー」はどれなのか、栄養面から比較してもらいました。
――ファミレスにはいろいろなメニューがありますが、栄養を意識した「コスパのいいメニュー」とは、どんなものなのでしょうか?
猪坂みなみ先生(以下、猪坂) 栄養的なコストパフォーマンスを考えるときのポイントは2つあります。まず一つ目は「メニューのバランス」。ご飯やパン、麺などの「主食」、メインとなる肉、魚、卵、大豆製品などの「主菜」、そして野菜、キノコ、海藻、こんにゃくなどが使われることの多い小鉢や付け合わせの「副菜」、この3つが揃っていると栄養バランスを整えやすく、コスパのいいメニューだといえます。なので、カレーや丼もの、パスタのような単品系メニューよりも、定食タイプの食事がおすすめです。
二つ目のポイントは、野菜類が多いこと。2019年版「国民健康・栄養調査」の結果によると、日本人女性の平均的な野菜摂取量は1日/273.6gで、目標とされる1日/350gに対して76.4gも足りていません。そのため、野菜やキノコ、海藻類などをしっかり摂れるメニューを意識的に選んでみてください。
ランチの際は、350gの約3分の1である120gを摂れると理想的。生野菜なら「両手に山盛り」、加熱された野菜なら「片手に山盛り」をイメージして、量をチェックしてみましょう。
――それではまず、「サイゼリヤ」のおすすめランチメニューを教えてください。
猪坂 サイゼリヤのランチは、全品500円(税込み、以下同)でいろいろなメニューが選べてうれしいですね。ただし、パスタやカレー、ドリアは単品系のメニューなので、前述した通り、栄養バランスは整えにくいといえます。
その上で一番のおすすめは、「鶏肉のトマトソース煮込み(チーズのせチキンカチャトラ)」。脂質の少ない鶏肉をトマトなどの野菜ソースで煮込んだメニューで、「主食(ライス)」と「主菜(鶏肉)」、「副菜(サラダや付け合わせのコーンなど)」の3点セットをバランスよく取り入れられそう。
しかし、チーズやポテト、コーンもついていてボリューム感があるため、ダイエット中や少食な方は、ライスを小盛にするなどして調整しましょう。
――続いて、「ガスト」はいかがですか?
猪坂 ガストは定番メニューと日替わりメニューが用意されていて、頻繁に利用する方でも飽きないようになっていますね。特に日替わりメニューはすべて549円で「主食」「主菜」「副菜」の3つが揃う、バランスのいいメニューです。おかずはどの曜日もお肉料理と揚げ物がセットになっているため、脂質を抑えたい場合は、鶏肉が使われているものを選びましょう。
これを踏まえると、日替わりメニューのうち火曜日の「チキンバジルチーズ&カボチャコロッケ」、金曜日の「鶏の西京焼き&カボチャコロッケ」がおすすめ。普段、お魚を食べる機会が少ない人は、水曜日の「ハンバーグトマトソース&白身魚フライ」を選ぶのもいいですね。ただし、「白身魚フライ」は油で揚げている分、脂質は多めなので、タルタルソースをつけすぎないように気をつけてください。
――最後に「ジョナサン」のおすすめランチメニューを教えてください。
猪坂 ジョナサンもガストと同じく定番・日替わりメニューが用意されています。日替わりは全品659円と、3店舗の中では高めの価格設定ですが、こちらも「主食」「主菜」「副菜」が揃っているのはうれしい。内容としては、チキン南蛮やコロッケ、フライなど、油で揚げているメニューが多め。ライスを十三黒米に変更することによって、血糖値の急上昇を予防できるのでおすすめです。
ジョナサンも、日替わりメニューから水曜日の「チキングリル トマトソース&白身魚フライ」がいいですね。比較的低脂質なチキングリルがメインなことと、不足しがちな魚を摂れる点もプラスポイント。
魚を食べる機会が少ない人は、木曜日の「ハンバーグてりやきソース&あじフライ」もよさそう。あじのような青魚には、魚特有の成分であるDHAやEPAが豊富に含まれていて、動脈硬化や血栓を防ぐ、血圧を下げる、悪玉コレステロールを減らすなどの作用が期待されています。
――それでは、3店舗の中で「ランチコスパNo.1」だと思うファミレスを教えてください!
猪坂 甲乙つけがたいですが、いろいろな野菜が摂れるメニューがある点で、サイゼリヤがNo.1でしょうか。ほかの2店もサラダがついていますが、野菜の種類と量が少なめであったのと、ほぼすべてのメニューに揚げ物が入っている点が気になってしまいました。
今回、栄養面から見て一番よかったと思うメニューは、サイゼリヤの「鶏肉のトマトソース煮込み(チーズのせチキンカチャトラ)」です。トマトソースや付け合わせのコーン、サラダなどで豊富な野菜を摂取できる点と、メインが揚げ物ではない鶏肉で、低脂質な点が高ポイントでした。これが税込500円で食べられるとは、さすがサイゼリヤですね。
とはいえ、ガストとジョナサンもきちんと「主食」「主菜」「副菜」が揃っていて、タンパク質やエネルギー源となる糖質をしっかり摂れますし、500円前後で食べられるのもうれしい。特にジョナサンでは、ライスをサラダに変更するオプションもあるので、野菜の摂取量を増やす工夫もできます。
ランチで野菜が少なかったときは、その分、夕食や翌朝にしっかり食べるようにすればOK。1日の中でバランスを考えながら、ランチメニューを選ぶといいでしょう。
(文:佐藤真琴)
猪坂みなみ(いのさか・みなみ)
管理栄養士。大学卒業後、大手食品メーカーにて商品企画や研究開発などに従事。ダイエットアドバイザー、料理研究家助手、医療ヘルスケアベンチャー企業の商品企画職等を経て、現在はLINEで気軽に取り組めるパーソナルダイエットプログラム「ダイエットナビ」の運営や、ヘルスケア領域の新規事業開発アドバイザリー、法人向けの健康経営サポート等を行う。
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