「些細なことでイライラしてしまう」「気が立って眠れない……」
生理前のこのような症状にお悩みの方はいませんか? 特に、月経の3日〜10日前からイライラに振り回されてしまう女性が多いようです。そこで今回は、「PMS(月経前症候群)によるイライラ」に焦点を当てて、その原因と解決策について解説していきます。
1.小さなミスにもイライラ……「人の上に立つ人間として失格」!?
PMSのイライラに悩む麗奈さん(仮名)34歳のエピソードをご紹介します。食品会社の製品開発部でバリバリ働く麗奈さんは、月経の数日前から得体の知れないイライラが襲ってくることに悩んでいるそうです。
「普段は気にも留めないようなことに激しい怒りの衝動がわいて、自分で抑えようとしても抑えられません。ちょっとした物音を立てる人、特徴のある笑い声、部屋の散らかり具合なども気になり、自分が仕事中にしてしまった小さなミスにもイライラして、顔や態度にそのまま出てしまうため、周りの人たちもビクビクして、気を使っているのがわかります」
そんなある日、麗奈さんは上司から呼び出され、こう叱責されたそうです。
「若い子たちから私に相談があったの、『仕事がやりづらい』って。何が原因か、思い当たる節があるんじゃない? この仕事はチームワークが大切なの。感情の波を仕事に持ち込んでいるようじゃ、人の上に立つ人間として失格よ」
麗奈さんは、このイライラがPMSのせいだと自覚していましたが、20代の頃からずっと感じていた症状だったので“仕方ないこと”だと考え、病院を受診するほどではないと思っていたそう。しかし、上司の言葉を聞いて、自分の不調が周囲に大きな迷惑をかけていたことに気づき、この衝動的な怒りやイライラをどうにかしなくては、と真剣に考えるようになったといいます。
「“生理前はイライラして当然”だと自分で決めつけていました。でも、この症状が治るなら、治したいです。一体どうすればいいのでしょうか?」
PMSは、月経前の3日〜10日間続く精神的あるいは身体的症状です。月経が始まると軽快したり、消失したりする特徴があります。
実は、PMSの原因ははっきりとわかっていません。女性ホルモンの変動が関わっていると考えられていますが、それだけではなく、食事や生活習慣といった多くの要因が合わさって起こるともいわれています。PMSと上手に付き合うための基本は、ライフスタイルの改善。なかでも、PMSのイライラに対処するための簡単な秘訣を3つご紹介します。
2-1.「症状日記」をつける
自分の月経のリズムを知り、どのタイミングで、どんな症状が現れるかを理解することで、PMSへの対処もしやすくなります。気分転換やリラックスする時間をつくり、自分が心地よいと思えるようなセルフケアを探してみるとよいでしょう。
2-2.バランスのよい食事をとる
食事が偏っていると、体重増加やむくみ、乳房痛などが起こる原因となり、PMSの症状を悪化させる可能性があるので、栄養バランスを意識しましょう。また、次のような食材を積極的に食卓に取り入れるのもおすすめです。
<生理前のイライラ改善におすすめの食材>
・ナッツ類
・海藻類
・かつお
・レバー
カルシウムやマグネシウムを豊富に含むナッツ類や海藻類をとることで、イライラを抑える効果が期待できます。また、ビタミンB6は神経の興奮を鎮めるため、これを多く含むかつおやレバーもおすすめです。
2-3.カフェイン、アルコール、塩分を控える
カフェイン、アルコール、塩分を多く摂ることは、緊張感を高めることにつながります。さらに、これらはイライラやむくみなどの原因となり、PMSの症状を悪化させる可能性も。月経前はこれらの摂取をできるだけ控えましょう。
先日、麗奈さんは久しぶりに友人と会い、近況報告で盛り上がりました。そこで、友人もPMSに悩んでいたことを知り、「漢方薬を飲み始めたら、以前より症状が軽くなった」と教えてもらったそう。
家に帰ってネットで調べてみると、漢方薬を頼めるサービスがありました。そこで麗奈さんは「抑肝散加陳皮半夏(よくかんさんかちんぴはんげ)」という漢方薬を勧められ、飲み始めてしばらくすると、月経前にわけもなくイライラすることが少なくなったといいます。
「今では生理周期に関係なく、いつでも落ち着いて仕事ができます。後輩からは、仕事以外のプライベートな相談までされるようになり、信頼されていると感じます」
ちょっとした不調の改善で、これまでうまくいかなかった仕事がスムーズになった麗奈さんのエピソードでした。
3-1.漢方医学が考える「イライラ」のメカニズム
漢方医学には、体全体をめぐる要素に「気(き)」「血(けつ)」「水(すい)」という考え方があります。なかでも、情緒不安定のイライラは、「気」の滞りが原因であることが多いです。
さらに「血」が不足していると、ストレスに対する耐性が低くなってしまうため、ちょっとしたストレスでも「気」のめぐりが阻害されやすくなり、イライラなどの症状が出てしまいます。
また、漢方医学には「肝」という考え方があり、「肝臓」を指すだけでなく、精神や自律神経の機能のはたらきも含めた幅広い概念として考え、精神がたかぶることを「肝がたかぶる」と言います。この状態になると、怒りやイライラがあらわれやすくなると考えられているのです。
・柴胡加竜骨牡蛎湯(さいこかりゅうこつぼれいとう):体力が中程度以上で、イライラして眠れない方に
疲労やストレスで滞った「気」のめぐりをよくして心を落ち着かせます。
・抑肝散加陳皮半夏(よくかんさんかちんぴはんげ):体力が中程度以上を目安に、神経がたかぶってイライラしがちな方に
「肝」のたかぶりを抑え、「気」のめぐりをよくします。胃腸が弱い方にも用いられます。
・加味逍遙散(かみしょうようさん):体力が中程度以下で疲れやすく、イライラなどがある方に
「気」や「血」を全身にめぐらせるとともに、不足している「血」を補うことで体のバランスを整えます。
このように、「イライラ」という症状は同じでも、使われる漢方薬はさまざま。漢方薬は、体の状態や体質にうまく合っていないと効果を感じられないだけでなく、場合によっては副作用が生じることもあります。
たくさんの種類の漢方薬の中から、どれが自分の症状や体質に合ったものなのかを見つけるのは、難しく感じるかもしれません。そんなときは、「あんしん漢方」などのオンライン漢方サービスに、一度相談してみるのもいいでしょう。漢方に精通した薬剤師とAIが、あなたに効く漢方薬を見極めて、お手頃価格で自宅に郵送してくれます。
4.「イライラ」を抑えて心に安定を!
日々の生活が忙しいと、ちょっとした不調は軽く見過ごしがちです。特に、精神的なものの場合、病院への受診はハードルが高いと思われる方もいるかもしれません。しかし、毎日の生活を少し丁寧に過ごすだけで、驚くほど症状が改善されることもあります。
「PMSによるイライラ」の悩みには、まず今回お伝えした3つの秘訣を試してみてください。それでも改善されない場合は専門家に相談して、漢方薬を取り入れることもおすすめですよ。