• Thu. Jan 20th, 2022

『二月の勝者-絶対合格の教室-』成績下位の生徒を「できない子だと思ったことはありません」と語る黒木の理論

 中学受験をリアルに描く連続ドラマ『二月の勝者-絶対合格の教室-』(日本テレビ系、土曜午後10時~)。第1話では、中堅中学受験塾「桜花ゼミナール吉祥寺校」の新校長に赴任したスーパー塾講師の黒木蔵人(柳楽優弥)が、「全員を第一志望校に合格させる」と高らかに宣言。黒木の「合格のために最も必要なものは、父親の経済力と母親の狂気」という強烈で過激な言葉は、圧巻だった。

あらすじ

 桜花ゼミナールでは、成績順・3クラス別で授業が行われるが、下位のRクラスはやる気のない生徒が多い。黒木はRクラスを担当する新人塾講師の佐倉麻衣(井上真央)に、Rクラスは「お客さん」で「不良債権」だから、「一生懸命にならなくていい」「楽しくお勉強させてください」と指導する。

 「できない子どもの気持ちがわからないのか」と納得のいかない佐倉は、成績が振るわず、授業中もぼんやりしているRクラスの加藤匠(山城琉飛)を気にかけ、マンツーマン指導を行うが匠の反応はイマイチ。しかし、匠がいつも電車が通る時刻に窓の外を見ていることを知った黒木は、匠と彼の両親との面談をセッティングする。

 面談で黒木から気持ちを聞かれ、「自分の時間がほしい」と答えた匠は、黒木に鉄道の動画を見せられると急に顔つきが変わり、目を輝かせて見入った。さらに動画に映る鉄道ジオラマを作ったのがある私立中学の鉄道研究会だと知ると、学校のパンフレットにも目を通し、「この学校東海道線で通えるじゃん! こっちは下北乗り換え、やばすぎだよ!」とテンションを上げ、両親に「鉄研のある中学校に行きたい!」と宣言。

 匠の偏差値を知る両親は難色を示すが、黒木は匠の答案を見せ、客観的事実から匠の「できるところ」を挙げていく。点数自体は平均点に及ばないが、鉄道好きの匠は地理分野や旅人算など鉄道に関係する問題は点数が取れているのだ。

「そもそもこれだけ記憶力があればほかの科目でも飛躍的な成績の伸びが期待できる」
「匠さんが受験に向いていないというのは皆さんの不安が作り出した幻想。単なる誤解にすぎません」
「匠さんは決してできないお子さんではありません」

 また、入塾してからの2年間、弁当作りや健康管理やプリント整理等のサポートを続けてきた母親にもねぎらいの言葉をかけた。面接に訪れた段階で両親は、匠に受験は向いていない、これ以上無理をさせたくないと退塾の意向だった。

 しかし黒木の手腕により、この親子を取り巻く状況は180度変わった。「鉄研のある学校」が存在するという情報を知ることで目標を得た匠は、授業をしっかり受けるようになった。子どもは情報弱者なのだと痛感するエピソードでもある。

 Rクラスの生徒たちを「お客さん」「不良債権」と称していた黒木だが、成績下位の子を切り捨てる意図ではなかったようだ。黒木は佐倉に「勉強が楽しくなければ中学受験は成功しない。あなたは子どもたちに勉強の苦しさだけを伝えていたのではないですか」と問いかけ、さらに、こう続けた。

「あなたは私に、できない子の気持ちがわからないのかとお尋ねになりましたが、私は誰一人として『できない子』だと思ったことはありません」
「子どもを切り捨てることはできないと言いながら本心は無理だと思っている。違いますか?」

 黒木のこれらの言葉には、佐倉のみならず、普段の生活で子どもと関わることのある視聴者もハッとさせられたのではないか。

 元中学教師で良心的な人柄の佐倉は、「できない子」に寄り添い、励まし、応援する。それらは佐倉の善意なのだろうが、しかし、そもそも自分のことを「できない子」扱いする大人になんて、子どもは心を開かない。

 大人が子どもとの関係構築に行き詰まった時、大人はまず、自分がその子を「どんな子だと思っているのか」を自問するべきなのかもしれない。

 第1話に続いて、鋭い言葉を投げかけた黒木。塾は「営利目的の企業」とも言う黒木だが、どうやら「お客さん」である生徒の将来をぞんざいに考えているわけではないと見られる。30日放送の第3話では、成績上位のΩクラスに在籍する「できる子」にスポットが当てられる。