2015年のスタートから6年、Hey!Say!JUMPの冠番組『いただきハイジャンプ』(フジテレビ系、一部地域遅れネット)にわずかな変化が生じているようだ。「土曜午前の番組ながら、企画の“確度”が強固なものになっている」(テレビ関係者)と評判だという。
もともと、この番組は14年12月30日の深夜にフジテレビで単発放送されたのが始まり。オンエア翌日にはレギュラー化を望む声が1,000件以上も殺到したという。ドッキリ企画に挑戦したメンバーの素の表情が好評で、平日(水曜)の深夜ながら30分番組としてレギュラー化が決定した。
「Hey!Say!JUMPにとっては、『ヤンヤンJUMP』(テレビ東京系)以来のメンバー全員での冠レギュラー番組。『ヤンヤン』のほうは、放送から半年でレギュラー出演者が薮宏太と八乙女光の2名だけになってしまったので、今回こそは……とメンバーの鼻息も荒かったことでしょう。『いただきハイジャンプ』の番組のコンセプトは、『メンバーが世の中の“一大事”を解決するためにさまざまなロケに挑戦する』というもので、レギュラー開始から2年を経て深夜から土曜昼過ぎに移行。その後、午前中に変わりました」(芸能ライター)
“一大事”ロケで扱うネタは、子どものピーマン嫌いを克服させたり、人気がないご当地ヒーローの救済、「富士見坂」という場所で本当に富士山が見えるのか検証するなど、幅広いジャンルが対象で、しかし「どこかで見たような企画も多く、正直統一感はなかった」という。
だが、現在の軸になっているのは「gスポーツ」というコーナー。ゲスト(guest)の“g”を取ったコーナー名で、ゲストの特徴に合わせたオリジナルバトルをメンバーで繰り広げるというものだ。例えば、マヂカルラブリーの出演回では、村上が好きな「地雷系女子」にメンバーが扮し、一番を競い合った。また、高橋真麻の回では「オリジナルカクテル作り」として、高橋の口に合う一杯を目指して創作した。
「このカクテル作りは、メンバーがバーテンダーの衣装で登場するところもポイント。『gスポーツ』になってからは、メンバーそれぞれのキャラクターが生かされつつ、彼らのことを知らない人でも楽しめるような作りになっている。また最近は、日本語ラップの歌詞当てバトル『クイズ 韻トロドン』の出来が良い。直前の歌詞をヒントに、韻を踏んだフレーズをメンバーがトラックに乗ってライミングするというものですが、スタジオセットの雰囲気も変えたり、正解するとHIPHOPではおなじみの『リスペクト!』との文字が表示されるなど、細かいギミックが目を惹きます。つまり、コーナーが“完全に立っている”。現行のフォーマットのまま、そのままゴールデンに持って行けるような仕様になっています」(前出・関係者)
思い切った評価が聞かれたが、実際のところ、人気バラエティが軒を並べるフジテレビでその可能性はあるのだろうか?
「5年前の16年12月29日、各局が強いコンテンツを持ってくる年の瀬に、フジテレビは英断を下しました。『いただきハイジャンプ 年末人助け大放出SP』と題し、1時間の拡大版及び全国放送に踏み切ったのです。そのちょうど1年前の15年末にも、同じような拡大SP&全国放送をしていましたが、そのときは昼枠。16年はいわばゴールデンということで、彼らの真価が試されたのです」(同)
裏の番組といえば、TBSは明石家さんまMCの特番、日本テレビは『損する人得する人SP』、テレビ朝日は池上彰の時事ネタものと強力な布陣で、『いただきハイジャンプ』は世帯視聴率4.1%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)と爆死に終わった。
しかし、今と当時とでは視聴率の評価軸が変わったため、「4.1%でも世代別に計測すれば第2弾、第3弾のゴールデンも考えられましたが、それ以降、同じような特番はありません。一度、同局の『VS魂』の枠ででも実験的に放送してほしいですね。迷走が続く『VS魂』の次を狙える可能性が見えます」(同)と、再度のチャレンジに期待も寄せられている。
デビューから14年のHey!Say!JUMP。6年前には『24時間テレビ』(日本テレビ系)のメインパーソナリティをV6とともに務める大役を果たし、ネクスト嵐との声も高まっていたが、現在までに大ブレークに至っていない。
「『いただきハイジャンプ』では山田涼介がそれなりに仕切ってはいますが、彼もどちらかというと天然気質。SMAPでいう中居正広、TOKIOでいう国分太一、嵐でいう櫻井翔、関ジャニ∞でいう村上信五がいないのが現状です。また、そんな山田は知念侑李、八乙女とともに『スクール革命!』(同)に出演。また八乙女は有岡大貴とともに『ヒルナンデス!』(同)の火曜レギュラーを務めるなど、バラエティで安定したポジションを獲得していますが、グループとしていまいち跳ねない。たとえて言うと、グループ自体、小回りが利く車なのですが、突進する重装備の装甲車のようなダイナミックさが欠けている」(同)
では、SMAPや嵐のような一時代を築いていくグループに成長するには、どうしたらいいのだろうか?
「先輩グループが“国民的”と呼ばれたのは、バラエティ・歌・ドラマというエンターテインメントの三本柱を制してきたから。そのどれが欠けても難しいというわけです。山田は映画『燃えよ剣』、中島裕翔も主要キャストでフジ系ドラマに出演したり、売れてはいます。歌も名曲は多いのですが、『ファンは知っている』域から脱し切れていない。また、伊野尾慧が数年前業界でその“可愛さ”がうわさを呼んで『メレンゲの気持ち』(同)のレギュラーに抜てきされたまでは良かったのですが、その後が続かなかった。何でもいいので発火点が欲しいところです」(同)
番組のタイトル通り、いただき(頂)を目標に、まずはゴールデン昇格を目指してほしいところだ。
(村上春虎)