「おいしいごはんが食べたい、でも自炊するのはめんどくさい!」そんなズボラ女子の救世主といえば、コンビニ・ファミレス・ファストフード! 毎日の食事をおいしく楽チンにするため、管理栄養士・猪坂みなみ先生に、さまざまなテーマに合わせた「おすすめメニュー」を聞いちゃいます。
1人飲みには焼き鳥がおすすめ! サイドメニューで選ぶ“No.1チェーン店”はココ
緊急事態宣言が解除され、飲食店も通常営業に戻り始めました。「仕事終わりの一杯」ができるようになったとはいえ、大人数での飲み会にはまだ抵抗がある……という人も多いのでは。そこで今回は、管理栄養士の猪坂みなみ先生が「1人飲みにおすすめ」だという焼き鳥チェーン店に注目! 人気が高い「鳥貴族」「とり鉄」「大吉」の3店から、栄養面を見たおすすめサイドメニューを教えてもらいました。
――焼き鳥店が1人飲みにおすすめの理由を教えてください。
猪坂みなみ先生(以下、猪坂) 焼き鳥店は好きなものを1本から頼めるお店が多いので、1人飲みに向いていると思います。もちろん、お店によって2本から注文可能という場合もありますが、それでも少量ですし、いろいろなメニューをバランスよく楽しめるでしょう。また、鶏肉は高タンパク・低脂質な食材ですので、ダイエットや健康が気になる人にもピッタリ。夜に食べることを考えても、焼き鳥は“ちょうどいい”といえます。
――焼き鳥店はサイドメニューも豊富です。焼き鳥&アルコールに合わせて選ぶなら、どんなものが良いですか?
猪坂 まずは、タンパク質の摂取を助けてくれる「ビタミンB6」が摂れるメニューを選びたいですね。レバーや大豆製品、さつまいもなどから豊富に摂れます。また、タンパク質から効率よくコラーゲンを作るためには「ビタミンC」が必要。健康的なお肌を維持したい場合には、ビタミンCを含むおつまみを積極的に食べましょう。鉄分の吸収率を高める働きもあるので、貧血が気になる女性にもおすすめです。
脂質や糖分などの摂りすぎが気になる人には、「水溶性食物繊維」を意識してほしいところ。野菜や海藻に含まれますので、一緒に食べるようにしましょう。なお、水溶性食物繊維は腸内でドロドロになって、食物の移動をゆるやかにしてくれるので、なるべく食事の最初に摂取してください。
お酒好きの方は「メチオニン」の摂取もおすすめ。アルコールを分解する肝臓の機能維持に役立つアミノ酸で、カツオやマグロ、牛肉、鶏肉、枝豆などに含まれます。また、 肝臓の働きを助けてくれる「タウリン」は人の体内でも作り出すことができますが、それだけでは不十分。イカ、タコ、エビ、貝類、魚などに含まれるので、魚介類のおつまみを見つけたら、一緒に頼むことをおすすめします。
――まずは、すべてのメニューが327円(税込み、以下同)と低価格の「鳥貴族」についておすすめサイドメニューを教えてください。
猪坂 居酒屋の定番おつまみである「枝豆」をおすすめします。どこの居酒屋でもかなりメジャーなサイドメニューですが、ビタミンCや水溶性食物繊維、メチオニンなどの成分が含まれているので、実はとても理にかなっているのです。また、さやに入っている豆を一粒ずつ取り出して食べることになるため、早食いを予防できるのも優れた点だといえます。
鳥貴族ならではのお得なメニューは「キャベツ盛」。おかわり無料なので、コスパ良くビタミンCやビタミンB6、水溶性食物繊維などの栄養を摂ることができます。 その他、野菜系メニューは「塩だれキューリ」「超!白ねぎ塩こんぶ」も良いですね。特にねぎは、香り成分である「アリシン」が疲労回復に役立つビタミンB1の吸収率を高めてくれるので、仕事終わりの一杯にピッタリではないでしょうか。
――続いて「とり鉄」はどうですか?
猪坂 とり鉄にも「茹でたて枝豆」「ピリ辛たたき胡瓜」(どちらも430円)「バリバリつまみキャベツ」(390円)など、ビタミンCや食物繊維を摂れるメニューがあります。特におすすめなのは、「一人に一皿ずつの小さなとり鉄サラダ 和風」(430円)と「しみうま なすの揚げびたし」(290円)の2つ。
「一人に一皿ずつの小さなとり鉄サラダ 和風」は、ビタミンCや水溶性食物繊維を含む水菜やミニトマトが入っていますし、何より1人前の少量タイプなので、1人飲みにピッタリです。
「しみうま なすの揚げびたし」は、なすに含まれる色素成分「ナスニン」がポイント。強い抗酸化作用があるだけでなく、余分な塩分(ナトリウム)を体外に排出して、むくみを解消してくれる「カリウム」も含まれているので、濃い味のメニューを選びがちな人に食べてほしい一品だといえます。
――最後に「大吉」のおすすめサイドメニューを教えてください。
猪坂 ほかのお店と同じく「枝豆」「たたききゅうり」(どちらも275円)はおすすめですが、同店は「おさつスティック」(330円)が気になりますね。
さつまいもには、ビタミンB6やビタミンC、水溶性食物繊維などが含まれているので、栄養面から見るとおつまみにピッタリ。ただし、油で揚げていて脂質が多めなので、「おさつスティック」を頼むときは、つくねや鶏皮など脂質の多いものは避けて、むね肉やささみなど、あっさり系メニューを中心にすると良いと思います。
その他、「野菜サラダ」(440円)「甘酢ピクルス」(275円)なども、ビタミンや食物繊維豊富な野菜を摂れる良いメニューですね。
――最後に、「おすすめサイドメニュー」「1人飲みにピッタリの焼き鳥チェーン店」のNo.1をそれぞれ発表してください!
猪坂 含まれる栄養が異なるので、一番を決めるのは難しいですが、コスパを考えると、おかわり自由な鳥貴族の「キャベツ盛」は素晴らしい。また、どのお店にもある「枝豆」はお酒のお供に最適ですよ。
「1人飲みにピッタリの焼き鳥チェーン店」を選ぶなら、メニューの豊富さを評価して「大吉」でしょうか。ただ、栄養バランスを意識してメニューを選ぶことができれば、どのお店でも大丈夫。一番大事なことは、栄養が偏らないように、いろいろなものを食べることです。
焼き鳥はヘルシーなメニューが多いですが、鶏皮やぼんじり、つくねなどを選ぶと、どうしても脂質の量が増えてしまいます。なので、今回ご紹介したような野菜中心のサイドメニューを最初に2~3品食べて、脂肪蓄積を抑えるテクニックを実践してみてください。
(文:佐藤真琴)
猪坂みなみ(いのさか・みなみ)
管理栄養士。大学卒業後、大手食品メーカーにて商品企画や研究開発などに従事。ダイエットアドバイザー、料理研究家助手、医療ヘルスケアベンチャー企業の商品企画職等を経て、現在はLINEで気軽に取り組めるパーソナルダイエットプログラム「ダイエットナビ」の運営や、ヘルスケア領域の新規事業開発アドバイザリー、法人向けの健康経営サポート等を行う。
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