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森戸やすみ先生に聞く「子どもが風邪で発熱したとき、体を温めて汗をかかせると早く治ると聞きました。」

ByAdmin

11月 8, 2021

Q.子どもが風邪で発熱したとき、体を温めて汗をかかせると早く治ると聞きました。
A.温めて汗をかかせたら治るのではなく、治ってきて熱が下がるときに汗が出ます。

 私たちは、体内にウイルスや細菌などの病原性微生物、その他の有害な異物などが侵入すると発熱します。これはウイルスなどは高温に弱く、また私たちの免疫は体温が高いときによりよく働くためです。つまり、身体は自らを守るために熱を出しているわけですね。具体的には、体を温めたくなるような寒気を感じたり、汗の分泌量を減らしたり、末端の血管を収縮するなどして熱が逃げないようにすることで、体温をあげる仕組みになっているのです。

 ですから、熱が上がる前や上がり始めたときには寒気を感じることが多いでしょう。子どもが震えていたり、手足が冷たかったり、寒いと言っていたら、温めてあげてください。着衣を増やしたり、寝具を厚くしたり、エアコン等で室温を上げたりするといいでしょう。熱の有無に関係なく、そうすべきでもありますね。

 しかし、いったん熱が上がりきると、今度は暑くなってくるはずです。子どもが汗をかいていたり、暑がったりしていたら、今度は少し室温を下げたり、薄着にしたり、寝具も薄くしたりと調整してあげましょう。冷やすときは、タオルで巻いた氷枕や保冷剤などを頭や首の後ろ、脇の下などにあてるといいと思います。よくある市販の冷却シートは、ひんやりして気持ちがいいとは思いますが、冷やす効果は少ないです。小さな子どもの場合、自分で位置をずらしてしまい、口や鼻などをふさいでしまう窒息事故が起こっているので、保護者が目を離すときはとっておいたほうがいいと思います。

 たまに子どもの熱が上がり切って暑がっていても、早く治すためにと毛布でつつんだりして温め続ける人がいますが、脱水や熱中症にもなりかねませんから絶対にやめましょう。「しっかり汗をかけば熱が下がって風邪が治る」のわけではなく、「風邪が治ってくると汗が出てきて熱が下がる」のです。

 なお、病原菌などと戦うために発熱すると説明したら、「平熱を上げれば、免疫力が高まる」といったふうに曲解されることがあります。人によって平熱は違いますし、平熱を上げることはできませんし、平熱が高ければ免疫力が高いということはありません。

<今回のポイント>
○ 寒がるときは温め、暑がるときは冷やす
○ 冷却シートは、窒息に注意が必要
○ 汗をかいても熱が下がるわけではない
○ 平熱が高いほうがいいわけではない

森戸やすみ『小児科医ママの子どもの病気とホームケアBOOK ~いつものケアから不調のときの対処法まで』(内外出版社)■連載「小児科医・森戸やすみ先生の子育てQ&A」一覧ページ

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