11月13日放送のテレビ番組でマツコ・デラックスが泣いたとして話題を呼んでいる。しかも「どのタイミングで身を引こうかなって、ずっと考えている」「結構、追い詰められている」など、引退を連想させる弱音も飛び出したから穏やかではない。
マツコが泣いたのは『マツコ会議』(日本テレビ系)。この日はヒップホップユニット・Creepy Nutsとともに、日本のヒップホップの行く末について語り合っていたが、そこで話題に上がったのがラッブバトルの番組『フリースタイルダンジョン』(テレビ朝日系)。DJでトラックメイカーのDJ松永は、この番組で日本のヒップホップに限界を感じたと話し、マツコに意見を求めた。
『フリースタイルダンジョン』のヒットについて、マツコはヒップホップの“根っこ”にある本来のスタイルではなく、「瞬発力でラップできてすごい」という即興性の部分がもてはやされたのだと分析。DJ松永が懸念するように、日本のヒップホップが「これ以上大きくならない」とは思っておらず、あくまで「テレビだからダメ」だと話していると、DJ松永がハラハラと涙を流し始めたのだ。
「マツコに異変がおきたのは、この直後。松永の涙を見て『何、泣いてるの? どうしたのよ!? なんでよ!?』と慌てると、松永は『分かってくれすぎててうれしい』とさらに観劇の涙。これにマツコが『ちょっとやだアタシ! 不意だったから涙出てきちゃった』と、もらい泣きし、『まあね、難しいですよ、テレビでやるっていうのは』と、人目もはばからず涙を流していました」(芸能ライター)
そこからのマツコはせきを切ったように、テレビにおける自身の身の振り方について「いろいろ考えているのよ。どのタイミングで身を引こうかなってずーっと考えている」「ほんとの大事な魂まで売りだしたら、アタシは死ぬまでテレビにすがって、哀れな姿を晒し続けなければならない」と吐露。さらに「自分も結構、追い詰められているから」とも打ち明けた。
これまで何度となくマツコはテレビで引退をほのめかしてきた。
「『月曜から夜ふかし』(同)や『マツコ&有吉 かりそめ天国』(テレビ朝日系)、さらには『週刊さんまとマツコ』(TBS系)でも折に触れて、リタイアした後の生活や住まいについて語っています。終の棲家を隅田川周辺に決めたと述べたり、さんまが構想する芸人専門老人ホームに入りたいと口にしたり、新宿3丁目でスナックを細々とやる、はたまたオーストラリアといった国外に移住したいと言うなど、その時々で語る内容は違いますが、常に“終わり”を考えているようです」(同)
だが、涙ながらに本音をぶちまけたのは初めてのことだ。リタイア後のトークも、これまでは“ネタ”や“夢物語”として視聴者は受け止めることもできたが……。
「今回の号泣で、いかにマツコの闇が深いのか、視聴者もわかってしまった。つまり、マツコの苦悩が、すべて非常にシビアな現実問題だと明らかになったため、今後はもはや笑って見過ごすことができなくなったのです。この『マツコ会議』の3日後に出演していた『5時に夢中!』は、心なしか覇気がないように見えました」(業界関係者)
それでも、テレビ業界はマツコを手放さないという。
「レギュラー7本。そのうち冠番組は5本。そのどれもがマツコの代わりはいない番組ばかりです。もし『辞めたい』と言っても、スタッフはおろか上層部が引き留めにかかるでしょうし、マツコが降板する時は番組が終了するときでもありますから、いずれにしても局への損失と打撃は計り知れません。そうした事情もマツコは十分理解していますから、これからもメンタルは削られるばかりでは」(同)
卓越した観察眼と深い洞察力、他を圧倒する才気あふれるトーク……。マイノリティの中から図らずも“メジャー”に躍り出てしまったマツコ。
今回の『マツコ会議』で自身のことについて、「テレビ向きではない人間なので、テレビの人たちがテレビに合うようにしてくれてるから売れたと思っている」などと話していた。お茶の間が、テレビの生んだ“怪物”を見られるのはいつまでだろうか。
(村上春虎)