• Wed. Dec 1st, 2021

夫がママ友と浮気! 3人の子どもたちは義母の家に行って以来、4年も会えていないまま

 『子どもを連れて、逃げました。』(晶文社)で、子どもを連れて夫と別れたシングルマザーの声を集めた西牟田靖が、子どもと会えなくなってしまった母親の声を聞くシリーズ「わが子から引き離された母たち」。おなかを痛めて産んだわが子と生き別れになる――という目に遭った女性たちがいる。離婚後、親権を得る女性が9割となった現代においてもだ。離婚件数が多くなり、むしろ増えているのかもしれない。わずかな再会のとき、母親たちは何を思うのか? そもそもなぜ別れたのか? わが子と再会できているのか? 何を望みにして生きているのか?

第6回 山川ひかるさん(38歳・仮名)の話(後編)

「4年前の春、夫やその家族に子どもたち3人を連れ去られました。今ではまったく会うことすらできません。夫はマイホームに別の女性とその連れ子と住んでいて、養育を放棄しています。子どもたちは、夫の母の家で暮らしているんです」

 そう話すのは、山川ひかるさん。

「彼の素性がわかっていたら、結婚なんかしませんでした」

 肩を落とすひかるさん。夫はどうやってここまで彼女を追い込んだのか? 浮気をやめない夫に対し、行動を起こしたところ……。

前編はこちら

夫がママ友と浮気!

――浮気現場を突き止め、駐車しているワンボックスの車内から、「ラブホテルにいるようだけど?」と言ってLINEをしたと。その後は?

 夫は「後輩に車を貸したんだよ」と、そのときもまた、口から出まかせの嘘ではぐらかされました。

 ラブホに休憩で入っているはずだと予想して、出てきそうな時間よりも少し前から、ラブホの入り口で待機しました。すると、夫がひとりで出てきましたが、車には戻らず、ホテルの敷地外に出ていきました。その後、デリヘル業者の送迎ではない、普通のタクシーが入り口外で待機しにきたんです。

 「このタクシー、もしかして、山川という男が呼んだんですか?」と聞いたら、運転手さん、ちょっと慌てた表情を浮かべた後で、「プライバシーがあるから」と言って遮ったんです。

――それは、ほぼクロですね。

 そのうち女性がやってきて、そのタクシーに乗ろうとしたんです。顔も見ず、その女性に駆け寄って「あなた、私の主人と浮気していたでしょう」と迫りました。

 そして、駐車場のワンボックスまで連れていって、鍵を開けて乗せ、私が彼女の家まで送りました。私は浮気相手の住所を把握していたので、何の疑いも持たず、その住所へと車を走らせたんです。

 すると彼女は、「この家じゃない」って言うんですよ。「えっ」と思って顔を見ると、小学校のママ友だったんです!

――え、ということは、夫はママ友まで毒牙に! でも、一体どうやって?

 子どものお迎えの際に連絡先を交換したらしく、夫が彼女に「相談に乗ってほしい」といって車に乗せて、そのままラブホまで連れてきたそうなんです。それで彼女、「怖くなって、もう、言われるがままだった。言うことを聞くしかなかった」って言うじゃないですか。彼女は夫に食われてしまったんです。

 それからさらに10日ぐらいして、また、ラブホテルに夫の車がまっている形跡がありました。恐らく別の相手だと思いました。

――そうしてコツコツと証拠を集めていった後、どういう手段に出たのですか?

 約1年、調査した後の2016年10月、離婚調停を申し立てました。調停には、双方の話をまとめる調停委員という人たちがいるんですが、そのひとりにこんなことを言われました。

「同居しながら離婚調停に臨んでいますけど、本当に離婚する気あるんですか?」

 そして翌17年1月末、離婚調停が不調に終わりました。もしかすると、「同居しながら」という一点が一番の要因だったのかもしれません。

――せっかくラブホまで行って証拠を押さえたのに。それよりは、調停委員の印象が決め手になるんですね。で、不調に終わった後は?

 夫は「離婚したくない」と言った調停の10日後には、ラブホテルに行っていました。離婚調停での発言「女性との関係は切る」「良い夫になる」は噓だったんです。裁判所で言った言葉も嘘なのかと、絶望しました。

 そんな状況に私、耐えられなくなって、行動を起こすことにしました。夫に告げずに子どもたちを連れて引っ越そうと。いわゆる連れ去りをしてしまおうって思ったんです。17年3月のことです。逃げ込む先として、マイホームから車で5分ほどの距離にある2DKのアパートを用意していました。たまたまですけど、私の実家からは徒歩1分の距離でした。

子どもたちの連れ去りに失敗

――連れ去りは成功したんですか?

 しませんでした。というのも、荷造りしているときに夫が帰ってきてしまったんです。

 当日、子どもたちは学校と保育園に行っていたので、急いで次女を保育園に迎えに行ったんですが、夫が追いかけてきたので、怖くて110番しました。警察官が来てくれたものの、「殴られてないのに、なんで警察呼んだの?」と高齢の警察官に怒られてしまい……。その後、夫が呼んだ義母が現れ、警察官に「おばあちゃんが迎えに来てくれたんだから、次女を渡せばいい」と言うのです。私の意思は無視され、次女は義祖母に引き渡された後、私だけ警察官に事情聴取を受けました。

 その間に、義母は次女を、自宅へ連れて帰ったんです。長女と長男はまだ学校にいましたが、夫も義母も長女と長男は迎えに行かなかったんです。その後、2人は無事に帰宅しました。長女は父の住んでいる私の実家で待ちましたが、長男は、「私と次女を迎えに行く」と言ったので連れて行きました。

――結局、次女はどうなったんですか?

 長男を連れて夫の実家へ向かいました。私は義母にお願いして、次女を返してもらうつもりだったんですが、逆にネチネチと説教されてしまったんです。

「あんたが駄目だから、こんなことになった。なのに子どもを連れて勝手に引っ越そうなんて。なんだ、あんた! 子どもたちはここに泊まらせるから。長男も置いて行きなさい。2人ともここに泊まらせるから」

 義母に強く威圧されて、私はそれに従ってしまいました。

――それから会えなくなったんですか?

 それがたまたま、翌日病院(耳鼻科)の予約を取っていたんです。次女の分を。なので翌日、次女だけ返してもらうことができました。

 義母には、次女を夫の実家に戻すよう言われていたんですが、そのときは次女自身が強く拒みました。「パパのところに行くのは嫌だ」と言っていました。それに対して夫は、そう言われたことがショックで、電話口で泣きだしてしまいました。「もういいよ」と。

――それで次女の件は一件落着?

 いいえ。通わせていた保育園から、夫が次女を勝手に義実家に連れて帰って、保育園に行かせないようにしたんです。少なくとも3カ月以上。そして、しまいには転園させられました。

――ひ、ひどい!

 私は夫に言いました。「生後4カ月のときからずっと一緒のお友達もいて、なじんでるの。急に通えなくなるのはかわいそう。だから引き続き通わせてあげてよ」って。でも、話は聞き入れてもらえず、義実家のそばの保育園に転園させられました。

子どもたち3人と、4年近く会っていない

――一緒に住んでいた長女は、その後どうなったんですか?

 17年7月、夏休みに入った初日、私が学童保育へ長女を送っていった後、事件は起こりました。

 学童の入り口まで送り届けて私が立ち去った後、長女は学童の中に入らず、家族で住んでいた一軒家に、私に内緒で行ってしまったんです。大好きな下のきょうだい2人に会いに。長男と次女はこのころ、義実家に住んでいたのですが、長女はもしかして2人に会えるかもと思ったんですね。しかし家には夫しかいませんでした。そして夫はそのまま長女を義実家まで連れて行ってしまったんです。

 その年の12月までは、義母が車で送って元の学校に通っていました。学校の先生が自分の味方をしないのが気に入らなかったのでしょう。先生にも転校のことを伝えず、義実家近くの学校に転校させられました。それ以降、子どもたち3人と4年近く会っていません。そして今では、私とは会いたがらなくなってしまいました。

――ひかるさんのことが大好きだった子どもたちなのに、なぜ?

 子どもからすると、パパに捨てられてママにも捨てられて、しかも義母に、私の悪口をいろいろ吹き込まれるわけです。頼るのが義母しかいませんから、私のことを愛してたとしても、それを口に出して義母には言えない。もし、義母にすら捨てられれば、もう生きていけないじゃないですか。

――ちょっと待ってください。「パパに捨てられた」ってどういうことですか?

 夫は私たち一家が住んでいた、元のマイホーム(一軒家)で保育士とダブル不倫をしているんですよ。子どもたちを預けていた保育園の保育士です。子どもたち3人の養育はせずに義母のところに預けっぱなしで、女性と住んでいて。そのうち、その女性が、自分の産んだ連れ子を一緒に住まわせ始めました。

――絶句します。義母は子どもたちを会わせてくれないんですか? 

 絶対会わせようとしません。

――失礼ですけど、それは義母がひかるさんを憎んでいるからですか? もしくは孫がかわいいから独占したい、手放したくないとか?

 孫がかわいいというよりは、「育てている自分がすごい」という自己顕示欲だけです。いわば孫を自分の所有物として思っているわけです。

――義母自身、1人暮らしだったんですか?

 違います。義母は夫が生まれてすぐ離婚した後、実家に出戻り、夫が小学生の時に再婚しました。再婚後も旦那さんとは同居せず、義妹と義母の実家に住んでいます。

 義母の両親はまだ存命で、義祖母、つまり義母の母親ですけど、彼女だけが、「ひかるさんに子どもを会わせないでかわいそう」「子どもたち3人に会いにおいで」と言ってくれたりもしてました。

――義祖母の手引きで子どもに会いに行ったりしたんですか?

 コロナがはやり出していた頃、会いに行きました。そんな時期だったので、マスクをたくさん用意して。ところが、子どもたちはいなかったんです。というのも、義祖母は娘、つまり義母に私が来るということを伝えていて、義母が私に会わせないよう、子どもを連れて出ていったんですよ。

――正直さがアダになったんですね。

 私と子どもを会わせようとしたーーということで、義祖母は、それ以後、ほかの家族全員から、いじめられているそうです。

――思い込みと偏見と身内かわいさ。どうしようもないですね。子どもの幸せを考えている気がしません。司法に頼るしかないんじゃないですか?

 実際に、子の引き渡しや保全・監護者指定といった「3点セット」を申し立てました。しかし、これに関しても数カ月後、却下され、監護者は夫に指定されました。一方で夫は子どもに対して、「お母さんに相談したらだめだと裁判で決まっている」と吹き込んでいるようです。

――ご自身のお父さんに相談するのは最終手段とおっしゃってましたけど、その最終手段は使われたんですか?

 離婚しようと思って、浮気の証拠を集め始めた2016年に相談しました。そのとき父は「これからどうするんだ?」と夫に言ってくれたんですが、連絡を絶たれたそうです。

――お父さんもお孫さんに会えず、寂しいでしょうね。

 そうでもないようです。私の兄夫婦と子どもたちと同居しているので。そんな父からは最近、「まだ若いんだから、また新しく家庭を作ったらどうか?」と言われるようになりました。

――おつらいですね。

 こうなったら、夫が子どもたちと生活をしていないという生活実態の証拠を集めて監護者変更を申し立てる――ぐらいしか考えられません。まだ離婚はしてませんが。

――いい解決法があればいいのですけど、思いつかず、心苦しいです。

 「せめて週に2日でも預けてくれたら、喜んで預かります」と義母に言いたいです。働きながら365日ずっと、子どもたちの面倒を見てくれていることには、感謝しているんです。

(西牟田靖)