今や日常生活において、かかせないツールとなっているコミュニケーションアプリ「LINE」。かつては子どもの送迎時に、ママたちが立ち話をしているような光景が見かけられたが、時間に追われ忙しく過ごす共働き世帯が増えた今、ママたちのコミュニケーションの場は、LINEのグループチャットになっているという。そんな、ママたちの「グループチャット」から浮き彫りになった、彼女たちの悩みや、苦悩、気になる話題を覗いてみる。
ママ友付き合いの中では、ちょっとした“手土産”や“差し入れ”を贈り合う機会があるだろう。「ママ友 手土産」というワードでネット検索すると、“お薦めの手土産”を紹介する記事が多数表示され、さまざまな情報を得られる。しかし、何気ない手土産がきっかけで周囲から反感を買うケースもあるようだ。今回は、日常生活の中で起こった手土産をめぐるママ友とのエピソードを紹介する。
「うちはそういうの、食べさせない」健康志向なママ友に困惑
智美さん(仮名・36歳)は、関東近県にあるベッドタウンで来年8歳になる男児を育児中だ。息子の小学校入学を機に新たな街に引っ越し、ママ友が増えたという。
「息子は今年の春から、自宅から徒歩10分ほどの場所にある小学校に入学しました。同じマンションの子どもたちと一緒に“班登校”をして通っています。地域ごとに“生活委員会”というものもあり、保護者は子どもの登校の見守りや点呼、挨拶の声かけなどを行っているんですが、会員名簿があるため、みんな顔見知りになりました」
「引っ越したばかりで周りに知り合いもおらず、不安だった」という智美さんだが、同じマンションに住むママが声をかけてくれたそうだ。
「Sさん(仮名・38歳)は、息子と同級生の男の子のママで、入学前の保護者向け説明会で知り合い、すぐにLINEを交換したんです。彼女には5年生の娘もいたので、小学校行事や役員活動について詳しく、メッセージでやりとりしながら、小学校生活でわからないことを教えてもらいました」
毎朝、ゴミ捨てなどでも顔を合わす機会が多く、すっかりSさんと親しくなったそうだが、彼女には子育てにある“こだわり”があったという。
「甘味料がたくさん使われているようなジュースやお菓子を禁止していたんです。Sさんの部屋に遊びに行った時に、ジュースとデパ地下で買ったお菓子を手土産として持って行ったところ、『うちはそういうの、食べさせないんだ』って言われてしまって……。それ以来、差し入れ選びには気を使っているのですが、Sさんの子どもがうちに遊びに来ると、ジュースを飲みたがったり、お菓子を食べたがったりして困るんです」
智美さんいわく、健康志向なSさんは、家で食べるおやつはほぼ手作りをしているようで、「うちにも分けてくれるんです」と困惑した表情で語った。
また、Sさんは地域の生活委員を2回経験していることもあり、ママ友が多いんだとか。
「息子が小学校に入学してからすぐに、地域のママたちのグループチャットにも招待されました。Sさんだけではなく、これからは近所の人とも付き合っていかなければならないので、私はあまり交友関係を広げたくないんですが、せっかく誘ってもらったし、仕方なくグループに参加することにしたんです」
Sさんの善意を無下にできない様子の智美さん。ママ友トラブルの中でも、「手作りのお菓子やアクセサリーなどをもらって困った」という話はよく聞くが、「相手は良かれと思って行っているため、断りづらい」というのが、受け取り手の本音だろう。
「Sさんの家庭で、市販のお菓子を食べないようにしていること自体はいいと思うのですが、お家に遊びに行くと、『息子と一緒に作ったのよ』と手作りのお菓子を出されるので食べないわけにはいかず、それが苦痛で付き合いを避けたいと感じることもあります。市販のプリンやゼリーの容器を再利用して作っていたり、何かの余り紙でケーキの型も作っているので、なんとなく衛生的にも気持ち悪いんですよね……」
このように、お互いの価値観の違いがトラブルに発展する大きな原因だろう。
「とはいえもらってばかりでは悪いので、手土産は持参しています。手作りのお菓子に、きちんとした店のお菓子や紅茶をお返しとして渡すのは、なんだかモヤモヤしますね。去年の冬にママ友で集まった際、Sさんが『みんなにクリスマスプレゼント』と言って、カルディの紙袋を取り出したのですが、中身はまさかの手作りのシュシュ。彼女は、ショッパーや余り布をとっておく性格らしく、『可愛いのができたでしょ』と自慢げでした。これには、Sさんと親しいAさんからも『ちょっとついていけないよね……』というLINEが来て、そう感じたのは自分だけではなかったんだと、ホッとしました。内心はみんな、もう差し入れやプレゼントを贈り合うのはやめたいと思ってるんじゃないでしょうか」
ママ友から聞いた解決策は……
Sさんの言動に悩んでいた智美さんは、同じマンションに住むママ友・Bさんに、LINEで相談したそうだ。
「BさんもSさんから手作りお菓子をもらって困ったことがあるようで、子どもたちを家ではなく公園で遊ばせたらどうかとアドバイスをくれました。また、『夫が甘いものが好きではない』と言えば角が立ちにくいとも言っていて、参考になりました。一人でふさぎこまずに相談してよかったです」
子どもたちが同じ学校に通っている場合、ママ同士も長い付き合いになるため、できればトラブルは避けたいところだろう。手土産やお礼の品は、相手の負担にならないよう、特に好き嫌いが分かれる手作りの品は、なるべく避けたほうがいいかもしれない。