「冷えは万病のもと」とはよくいわれますが、体の冷えを放っておくと、実際にさまざまな悪影響をもたらします。冷えを軽視せず、自分自身で管理ができれば、体の不調も予防できるのです。そこで今回は、冷え対策として「体を芯から温める方法」について薬剤師が解説します。
1.冷えがもたらす体への影響とは?
冷えは、女性に多くみられる悩み。健康面だけでなく、美容面にもトラブルをもたらすことがあるので、冷えた体をそのままにしておいても、いいことは何もありません。まずは、冷えを放っておくと体にどのような影響があるのか、具体的に見ていきましょう。
<健康面の影響>
・腰痛や頭痛、関節痛、神経痛
・肩こり
・下痢、便秘
・膀胱炎 など
<美容面の影響>
・肌荒れ
・肌のくすみ
・痩せにくくなる など
このような不調につなげないためにも、正しい対策をしていくことが大切なのです。
2.食事や生活習慣を見直して、冷えから体を守る3つの方法
まずは、「食事」「入浴」「睡眠」といった日々の生活にスポットを当て、日常生活に取り入れやすい冷え対策をご紹介します。
2-1.食事は温かいものではなく「体を温めるもの」を摂る
私たちが毎日摂っている食事には「体を温めるもの」と「体を冷やすもの」があることをご存じでしょうか? 食事の際は、単純に温度が高いものではなく、「体を温めるもの」を選ぶことが大切です。冷えでお悩みの方は、「体を温めるもの」を積極的に食事に取り入れ、上手に冷え対策をしましょう。それぞれ、代表例をご紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。
<体を温めるもの>
にんじん、かぼちゃ、たまねぎ、じゃがいも 、玄米、鮭、納豆、紅茶、ショウガ湯 など
<体を冷やすもの>
キュウリ、キャベツ、レタス、ナス、ほうれん草、タケノコ、梨、スイカ、パイナップル、アサリ、緑茶、コーヒー など
2-2.入浴は「全身浴」にする
入浴で体を温めるには、40℃のお湯に10〜15分程度浸かるのが最適とされています。さらに、半身浴よりも全身浴がおすすめ。肩までしっかりとお湯に浸かることで、全身の毛細血管が広がります。加えて、体全体に水圧がかかることで、末端部の手足にたまった血液やリンパを押し戻す効果もあるのです。全身浴は血流をよくするので、半身浴よりも効率的に体が温まりますよ。
2-3.就寝中の足の冷えは「レッグウォーマー」で対策
寝るときに足が冷えてしまう場合は、靴下よりもレッグウォーマーを履くのがおすすめ。睡眠中の体は、手足から熱を逃がして体温調節を行っていますが、ぴったりと密着した靴下を履いていると体に熱がこもり、必要以上に汗をかくことがあるからです。余分な汗が足の体温を外に逃がそうとするため、かえって足を冷やしてしまいます。その点、レッグウォーマーであれば足先からうまく放熱でき、足の冷え対策に効果的なのです。
ここまで、生活のなかで取り入れられる冷え対策をご紹介してきました。しかし、徹底的に対策しても、「冷えやすい体質」の方は効果を感じにくい場合も……。そこで、根本から冷えを対策したいなら、漢方薬もおすすめです。
自分で冷えやすい体質を改善する場合、運動をしたり、規則正しい生活を送ったりする必要がありますが、実際には「忙しくて難しい」「継続できない」という方も多いはず。漢方薬であれば、毎日飲むだけなので無理せず続けられるでしょう。
3-1.そもそも漢方とは?
漢方医学は自然治癒力を高めることで、体の内側からバランスを整え、健康を目指すための学問。漢方薬は医薬品として医師の治療でも使われていますが、自然の素材が体にやさしく働くため、一般的に副作用が少ないといわれています。今起こっている不調を抑えるだけでなく、根本的な原因、体質の改善を目指せる漢方薬。そのため、特に便秘や疲れ、冷えなどの慢性的な症状や、太りやすい体質に悩む方にも最適です。
3-2.冷え対策におすすめの漢方薬3選
・当帰四逆加呉茱萸生姜湯(とうきしぎゃくかごしゅゆしょうきょうとう):手足が冷える方に
血流を促して手足などの末梢を温める漢方薬。特に、痛みを伴うほどの冷えに使われます。
・当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん):足腰が冷え、むくみがある方に
血行をよくし、また水分代謝を整えることで余分な水分を体から取り除きます。
・五積散(ごしゃくさん):冷え体質で胃腸の弱い方に
冷えのほかに、腰痛や関節痛、胃腸症状、婦人科疾患にも使われる漢方薬です。
漢方薬は体の状態や体質にうまく合っていないと、効果を感じられないだけでなく、場合によっては副作用が生じることもありますが、たくさんの種類から自分に合った漢方薬を見つけるのは大変ですよね。そんなときは「あんしん漢方」などのオンライン漢方サービスに、一度相談してみるのもいいでしょう。
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4.体の芯からポカポカに! 寒い冬を快適に過ごそう
冷えは体に悪影響を及ぼしますが、言い換えれば、体を温めることは健康にも美容にもいいことずくめ。日々の生活に冷え対策を取り入れるだけでなく、根本から冷えにくい体質を目指すなら、漢方薬の服用もおすすめです。ぜひ専門家の選ぶ漢方薬を生活にプラスして、寒い冬でもポカポカで快適に過ごしましょう!
薬剤師・篠原明宏
薬剤師。東京薬科大学卒業。大学院にて子宮内膜症の研究に携わり修士課程を取得。その後、中国の上海中医薬大学に留学し本場の中医学を肌で学ぶ。帰国後は保険調剤薬局にて管理職、役員を経験。最新医療の知識と伝統的な東洋医学の多方面から患者様の現状にあった健康サポート提案を得意とする。