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中学受験ママを悩ませる「3学期は欠席させる?」問題、コロナ禍で変化?

“親子の受験”といわれる中学受験。思春期に差し掛かった子どもと親が二人三脚で挑む受験は、さまざまなすったもんだもあり、一筋縄ではいかないらしい。中学受験から見えてくる親子関係を、『偏差値30からの中学受験シリーズ』(学研)などの著書で知られ、長年中学受験を取材し続けてきた鳥居りんこ氏がつづる。

 首都圏の中学受験は1月前半から始まって2月の第1週まで続いていく。人によっては、この約1カ月は“受験本番”の連続になる。ここで「1月は小学校に通わせるか否か問題」の論争が繰り広げられるのが、この時期の風物詩でもあったのだが、近頃はご存知のとおりのコロナ禍。迷わず、学校を休ませて、受験本番に備えるというご家庭も多くなっている。

 2021年2月に、受験を経験した真理さん(仮名)も「1月は欠席させる」を選んだひとりだ。真理さんの娘である紗菜ちゃん(仮名)は学校が大好き。よって、真理さんも「受験直前まで学校に行かせる」派だったという。

「コロナ前までは、塾からも『受験直前は学校がストレス発散の役割をすることもあるので、通常どおりの生活を』とアナウンスされていました。私も『なるほど、そのとおりだ』と思っていたんです。ところが、6年生になった途端、世の中は一変してしまい、やはり受験前に考えを改めました」

 紗菜ちゃんの小学校では3学期の始業式の後に「百人一首大会」が開催されるのが恒例。表彰式付きという6年生にとっては“一大イベント”でもあるらしい。

 コロナ禍なので、その時点では行事をやるかどうかも未確定ではあったらしいが、それでも、大会に向けて12月あたりから、各クラスで練習はしていたという。そんなクリスマス前の時期のことだった。真理さんはPTA役員の用事を済ませたついでに、紗菜ちゃんのクラスを覗いてみたのだそうだ。

「ちょうど、百人一首大会の練習時間だったのですが、それが、もう感染対策なんてないに等しくて……。紗菜の隣には、咳をしている子もいるんですよ。なんでも、その子は皆勤賞がかかっているとかで、よほどじゃない限りは休ませないって方針のご家庭のお子さんでした。その姿を目の当たりにして、もう、こんなところには怖くて、行かせられない! って震え上がりました」

 一般的に高校受験や大学受験はクラス全員が受験していくので、感染症予防対策にも全員が緊張感を持って取り組める環境が整いやすいものであるが、中学受験はあくまで「任意」。首都圏でも受験しない子のほうがむしろ大半である。ましてや小学生の集団だ。受験をやらない子に受験生への配慮を求めるほうが難しいだろう。

「そのうち、『学校関係者の中にコロナ陽性者が出たらしい』ってうわさを聞いてしまい、1月は学校に行かせない決断をしました。もはや、誰が感染してもおかしくない状況ならば、最大限の自衛策を取るべきだと思ったんです。ここまで長い時間をかけて受験生活を頑張ってきたんですから、『かかりました→受けられませんでした』という結果だけは避けたかったんです」と真理さん。

 自治体によるが、紗菜ちゃんの小学校は入試当日は“公休”扱いだったので、2月日程での受験だとしても、1月中の欠席カウントは2週間ほどになる。1年のうちの2週間程度の話と割り切るご家庭があっても不思議ではない。

「紗菜は学校と友だちが大好きということで、休むことを嫌がっていたのですが、最終的には納得していましたね。やはり、受験組の子が休んで勉強しているのを想像すると、心穏やかにいられる自信がなかったみたいです。結果論ですが、うちにとっては大正解でした」

 真理さんも紗菜ちゃんの援護射撃をするべく、パートタイムで従事している勤め先に1カ月間のお休みをもらったそうだ。

「この3年、親子で分刻みのスケジュールに追い立てられていたんですが、この直前期は塾もオンラインにしてもらったので、自宅で苦手分野を中心にゆったり過ごすことができて、親子のいい時間になったと思います。一番、ありがたかったのは過去問に取り組む時間が取れたことですね。やはり、遅れがちでしたので、心配だったのですが、受験直前に本番どおりの時間割りでやれて、合格最低点をクリアできたのは自信になったと思います」

 1月受験の埼玉入試を皮切りに、本命校の2月入試も合格を勝ち取った紗菜ちゃんの受験は、こうして2月1日をもって終了した。

 コロナのために延期になった「百人一首大会」は結局、3月の卒業式前に実施され、紗菜ちゃんは上位入賞者になったそうだ。

 紗菜ちゃんは卒業式の日に手紙を書いて、真理さんに渡してくれたという。

「大好きなパパとママへ。ずっと近くで紗菜のことを応援してくれて、ありがとう! パパとママと一緒に頑張った受験は楽しかったです。中学も楽しみです。これからもずっとずっとヨロシクね! 紗菜」

 真理さんは「この手紙も、紗菜と一緒に頑張った日々も宝物です」と教えてくれた。

「受験直前、学校を休ませるか否か問題」に正解はない。子どもの気持ちも汲みながら、各ご家庭でくだした判断が一番正しいと思う。ここまできたならば、外野の意見に左右されないことがもっとも大切。それぞれの判断に自信を持ってほしいと思っている。

 すべての中学受験生が、ベストな状況で受験にチャレンジできますように。