2021年、日本の男性アイドル市場では「オーディション番組」が大きな話題を集めた。1月には、韓国で社会現象を巻き起こしたオーディション番組『PRODUCE 101』シリーズの日本版『PRODUCE 101 JAPAN』シーズン2(GYAO!、TBS系)が放送に。続いて4月には、AAA・日高光啓が「SKY-HI」名義で行ったボーイズグループ発掘オーディション『THE FIRST』が日本テレビ系の情報番組『スッキリ』で放送され、幅広い世代から注目を集めた。
まさに“オーディションブーム”となった1年だが、その先駆けは、『PRODUCE 101 JAPAN』シーズン1だろう。
そこから誕生した11人組ボーイズグループ・JO1は、20年3月4日にシングル「PROTOSTAR」でデビューを果たし、これまで発売したシングル5作すべてでオリコン第1位を獲得。コロナ禍で活動が制限される中、21年11月にはデビュー後初の有観客ライブ『2021 JO1 LIVE "OPEN THE DOOR"』が行われ、3日間全5公演で4万5000人を動員した。
ますます勢いに乗るJO1だが、彼らが巻き起こしたブームに乗って新しいボーイズグループが誕生し、同時に“ライバル”も増えた。そんな1年を、JO1のファンこと「JAM」はどのように見たのだろうか。そこで今回は、アラサー世代のJAM3人に集まってもらい、座談会を開催。前編では、21年最初に発売されたシングル「CHALLENGER」から、12月発売のシングル「WANDERING」までの活動を振り返ってもらった。
<座談会参加者>
Aさん:アイドルにどっぷりハマったのはJO1が初めて。『PRODUCE 101 JAPAN』(以下、『日プ』)シーズン1からの白岩瑠姫推し。
Bさん:ジャニーズ、K-POPも同時に推している。JO1デビュー後からの鶴房汐恩推し。
Cさん:元ジャニオタ。JO1結成時からの與那城奨推し。
JO1、シングル発売直前に緊急事態宣言! ファンは大慌て
――まずは今年1年の活動を、リリース順に振り返っていきましょう。21年一発目のシングルは「CHALLENGER」(4月28日発売)、続いて「STRANGER」(8月18日)が発売されました。
A 2月に韓国の音楽番組『M COUNTDOWN』出演、3月にオンライン開催されたコンサート『KCON:TACT 3』からの流れで、韓国人気が高いとされる河野純喜を「CHALLENGER」のセンターにしたのは「マジでよくやった!」と思った。ここで一気に海外ファンをつかんだ気がする。
C どこまで狙ってるのかわからないけど、確かにいい流れだったね。「CHALLENGER」リリースの時って確か、新型コロナウイルス感染拡大防止の影響で、発売日の直前に緊急事態宣言が出たんじゃなかったっけ? 都内のCDショップが臨時休業になっちゃって、みんな大慌てだった記憶がある。
B あ〜、その時か! CDに付属するシリアルナンバーを入れなきゃ抽選特典に応募できないから、なんとしてでも受け取らないといけなかったんだよね。急きょ応募期間が伸びたり、バタバタしてたなあ。あと、「CHALLENGER」は収録曲が全部いいよね。曲調も違ったから、いろんなJO1が楽しめた。
A 「STRANGER」は夏に発売されたけど、表題曲が夏っぽくなくて「え?」って感じだった(笑)。「REAL」が表題曲だったけど、衣装も全然夏らしくなかったし、そこに文句言ってるファンもいたよね。
B YouTubeの企画でメンバーがサマーキャンプに行ってたけど、これでようやく夏を感じたわ(笑)。でも、「STAY」のミュージックビデオはよかったよね。メンバーのセルフプロデュースを初めて見たし、素の彼らが見れたような気がしてうれしかった。
C あと、「STRANGER」には「Dreaming Night」も入ってたね。JO1がここまでJ-POPっぽい曲やったのって、バラードを除けばこれが初めてかな? なかなか新鮮だったし、一般ウケもかなりよかった印象がある。なんか、「意外とこういう曲のほうがウケるじゃん」っていうのが証明された感じだよね、よくも悪くも。今までK-POPっぽい曲が多かったから。
B まだ方向性を探っている感じはあるかな。ドラマ『ラブファントム』(TBS系)の主題歌にもなってたけど、深夜ドラマだから、単純にこういう曲が好かれたんだろうね。
A あとは、“かわいい”に全振りしてる感じもよかった。K-POPっぽい曲だとスタイリッシュな印象というか、似たような曲調になりがちだから飽きちゃうじゃん? ちょうど4枚目のシングルでこれが来たのも、絶妙なタイミングだったなあ。バラエティ番組で活躍するメンバーもよく見るようになって、この辺りから新規がグッと増えたイメージある。
C 表題曲の「REAL」がフジテレビ系の恒例夏イベント『THE ODAIBA 2021 バーチャル冒険アイランド』のテーマソングになったから、『めざましテレビ』(フジテレビ系)にもよく出てたよね。朝の番組に出ると、一気に名前が知れ渡る感じするよ。去年の11月に豆原一成が番組のエンタメプレゼンターになってから、JO1と聞いて「豆ちゃんなら知ってる」って人が増えたもん。
B わかる、職場でJO1のこと好きって言うと「あ〜、豆ちゃんね!」ってなる(笑)。ことあるごとにJO1を取り上げてくれる『めざましテレビ』には、頭上がらないよね。これからもよろしくお願いします!
――そして、12月15日には最新シングル「WANDERING」がリリースされました。
A 「WANDERING」は、初日の売り上げからデビューシングル「PROTOSTAR」を超えたんだよね。初週売り上げも「Billboard JAPAN」の集計だと51.6万枚と、ハーフミリオンを達成して過去最高!
C 50万枚以上売れたのもすごいけど、デビューシングルの売り上げを超えるって、ほかのグループを見てもなかなかない快挙だと思う。だから、この結果にはめちゃくちゃ驚いたよ。「これがまさに“売れてる”ってことだ!」って、テンション上がったな〜。そうそう、表題曲の「僕らの季節」は瑠姫がセンターだったね。
B 「PROTOSTAR」の時は、『日プ』で1位だった豆ちゃんがセンターだろうってわかってたけど、ちょっと前まで「どこまで順位に沿っていくんだろう?」っていう疑問はあった。瑠姫は冬の曲にピッタリだから、センターになってよかったよね。「新規増える」って思ったもん(笑)。
A 去年ぐらいまでは、リリースのたびに「なんで○○がセンターなの?」みたいな空気感がファンの間に若干あったけど、今は楽曲に合う人がやってくれればいいかなあって、だんだんファンも理解してきた感じがする。
B 順位順じゃなくなったからこそ、自分の推しはどんな曲で、いつセンターになるんだろうってワクワクしてる部分もある。楽しみはあとにとっておこう、的な。
C 『日プ』中は自分の推しだけに投票してたから、ファンは「1人を応援する」っていう色が濃かったけど、1年、2年とグループで活動してきて、メンバーみんなのことを好きになったっていうのも大きいと思う。それぞれのキャラクターもわかってきたから、「この子にはこの曲が合う」って思えるし、より納得感が出てくるというか。
B 確かにそうだよね。今のセンターは順番よりも「楽曲との相性」が重要になってきた。それでいうと、『日プ』の課題曲「Happy Merry Christmas」でセンターだった瑠姫が「僕らの季節」のセンターなのは、納得しかない。
A 本当のことを言うと、瑠姫のセンターをずっと待ってたよ。センターにいなくても“実質センター”っていう気持ちで頑張ってると思ってたから、いざ今回センターになって、すごくうれしかった。表情もめっちゃいいし、ダンスもうまくなってて、瑠姫自身も勝負を仕掛けてきたのがわかる。本気度を感じたから、瑠姫JAMはハーフミリオンという結果にも大喜びだよ!
C じゃあむしろ、「REAL」とかでセンターになるより、今まで待っててよかったって感じ?
A そうだね〜。やっぱり冬には思い入れがあるし。今までとっておいてくれた、大事にしてくれた感じもうれしいな。「Happy Merry Christmas」の流れもあるし、冬にもってきたのは正解だよね。
C 日本国内で売れようと思ったら、“ジャニーズ顔”な瑠姫がセンターになるのが一番手っ取り早いと思うんだよね。でも、それをやらずにこのタイミングでセンターにしたっていうのは、あえて温存してたんだろうなあ。次は誰がセンターになるんだろう? もう決まってそうだよね、楽しみだな!
――7月には「PROCESS JO1」という新企画が始動しました。JO1の“過程”をYouTubeで毎週公開するものですが、これはいかがですか?
A 正直、私は見たくなかったですね……。彼らが苦悩してる姿をわざわざ見なくてもいいかな、って感じ。プロになるまでの『日プ』は面白かったけど、“プロがどうやって高みを目指すか”っていう過程には、そこまで興味が湧かない。もちろん、見せてくれるのはうれしいけど、こういう裏側を見せたくないメンバーもいそうなんだよね。
B それこそ、瑠姫は見せたくなさそうじゃない?
A そうそう、そんな感じする。なんというか、JO1自身もスタッフも、「どうなりたいのか」とか「自分たちの強み」をわかってないままスタートしちゃった感じがある。もうちょっと練ったあとで見たかったかも。
C ぶっちゃけた話、視聴回数がどんどん落ちてるんだよね。みんなすでに興味を失ってるんだろうなっていうのは、露骨にわかる。それと、個人的に一番気になってたのは「終わりが見えないこと」だったんだけど、つい先日、最終回の告知があって……漫画でいう“打ち切り”状態じゃん!? って、ビックリしたよ(笑)。
A 最初から誰もわかってなかったんじゃない、着地が(笑)。
B この前は「お助け企画」の募集があって、本格的に何がやりたいのかわからなくなってたもんね。運営側は『学校へ行こう!』(TBS系)をやりたいのかな?
C それならそれでいいのよ。でも「PROCESS」でやることじゃなくない? っていう。とりあえず「PROCESS」は一旦終わって、来年から『学校へ行こう!』的な何かをやるのかな……。どちらにしても、フワフワしたまま終わったって印象だね。
――明るい話題だと、9月に韓国文化のフェス『KCON World Premiere: The Triangle』、11月に単独公演『2021 JO1 LIVE "OPEN THE DOOR"』と、デビュー以来初めての有観客コンサートが開催されました。
A 私とCさんは両方行ったんですけど、9月の『KCON』に比べて、11月の『OPEN THE DOOR』はメンバーがすごく成長してたよね。特にMCがうまくなってたと思う。『KCON』は、正直“身内トーク”な感じでお客さんは置いてきぼりだったし、緊張が伝わってきた。現場経験が圧倒的に少なかったから、仕方ないなとは思うけど。
C 確かに、メンバーみんなどうしたらいいかわからない感じだった(笑)。コロナ禍だからお客さんも声が出せないし、お互いオドオドしてたかも。まあ、客席とコミュニケーションが取れないうえに、JO1の単独コンサートじゃないから、やりづらさは理解できるよ。
B 私は『OPEN THE DOOR』で初めてJO1の現場に行ったけど、とにかくめっちゃよかった! 「実在してるんだ!」って確認できたし(笑)。今までJO1のオンラインコンサートはいろいろ見てきたんだけど、正直、コンサートっぽくなかったじゃん? 途中にゲームコーナーがあったり、ファンミーティングっぽかったから、コンサート当日までどっちに転ぶんだろうって不安があったんだよね。だけど、ちゃんとコンサートとして見られる演目だったから、本当によかった。
A 「Born To Be Wild」が1曲目だったけど、純喜の第一声で感動して泣いちゃったよ(笑)。セットリストもよくて、「いい曲いっぱいあるじゃん!」って思ったなあ。生で聞くとこんなに印象変わるんだって驚き。「Speed of Light」がこんなに刺さると思わなかったし、「Prologue」もめちゃくちゃ感動した。あとは、さっきも言ったけどMCがよかった。いつも奨くんがMC的な立ち位置でメンバーに話を降ったりするけど、今回はみんなが自分からしゃべってて、均等感があったというか。
C それわかる。みんながしゃべるようになったのもあるけど、奨くんがメンバーに任せてた感じもした。今まで「トークを回すぞ!」っていう頑張りを感じてたんだけど、『OPEN THE DOOR』のMC中、ほかのメンバーがしゃべってる横で、ゴクゴク水飲んでる……みたいなシーンがあって、すごくホッとしたんだよね。それでもちゃんと場が回るっていうのは、JO1の成長の一つだと思う。
A 私、初日のメンバー挨拶で泣いちゃった奨くんを現場で見てたから、今の話聞いて、本当にいろいろ重圧感じてたんだろうなって思ったわ。目の前にファンがいて、隣には頼れる仲間がいてっていうので、感極まったのかもなあ。
B ファンも「JO1は実在するのだろうか?」って思ってたけど、JO1も「ファンは実在するのだろうか?」って、お互いコンサートやるまでわかんなかったんだもんね。デビュー以降、生身の姿を見たことなかったわけだから。コンサート中、メンバーはずっと「ペンライトがきれい」って言ってたけど、見せてあげられてよかったよ。
C あと、ありがたい話でいうと、生配信が3公演もあったことね。このご時世だからっていうのもあるだろうけど、初めての有観客ライブを、いろんな事情で現場に来られない人ともリアルタイムに共有できたこと、そういう配慮があったってことが、とてもうれしかった。それに、ずっとオンラインコンサートをやってたから、配信のノウハウみたいのがしっかり構築されたのもわかって、この2年間、ムダなことは何もなかったんだなって実感したね。
B オンラインもいけるし、オフラインも選べるっていう今の状況は最強だよ。私、コロナ禍の前は「子どもができたらコンサートはDVDが売られるまで見られない」と思ってたけど、今はそういう時代じゃなくなったね。
A ちょうど妊娠してる友だちがいるけど、体調悪くて今回のコンサートに行けなくなって、チケット取ってたんだけどリセールしたんだ。でも、オンライン配信があったから無事に見られて、「めちゃめちゃ泣いた」って言ってたよ。海外のファンもなかなか日本に来られない中で、配信は本当にありがたかったと思う。
C コンサート全体の感想を言うなら、「JO1は単純に場数が少ないだけで、やればどんどんうまくなる」だと思う。3日間5公演の中でも、パフォーマンスやMCがどんどん成長してて、約2年間ステージに立てなかった時間を一気に埋めたなと驚いたね。
B 来年以降、コロナの状況がどうなるかわからないけど、たくさんステージに立ってほしい。これからどんどん成長していくのが楽しみだなあ。
――一方で悲しい話題としては、10月に金城碧海が適応障害との診断を受け、治療に専念するため活動休止を発表しました。現在も、復帰の目処は立っていないようです。
C これに関しては、ファンとしてはただただつらいし寂しい。だけど、デビュー2年目の大事な時でも、ちゃんとお休みさせてくれるんだっていう安心も同時に感じたな。
A 無理して働かなくていい環境っていうのは、ちゃんとアーティストを大事にしてる感じがあるね。それに、無理して表に出てきてもいい作品は作れないだろうし、碧海推しも「無理して頑張ってる」と思うと、何見てもつらいだろうから……。
B ここ最近、JO1に限らず芸能人がちゃんと休めるようになってるのは感じる。メンバーみんな多忙だろうけど、何か不調があった時に休める環境は今後も維持してほしいな。あとは何よりも、今まで見せてきたメンバーの姿が一生懸命だったからね。
C そうだね〜。「休みます」って言った時に、「あんだけ頑張ったもんね」っていう納得感があるから、素直に「ゆっくり休んでね」と思えた。「いやいや、おまえ何してた?」とはならないもん、11人全員。
A それに、お休みの理由を明記するのも大事だと思った。最初に碧海が「体調不良」で休んでた時、正直いろんな臆測が飛んでたけど、その後、公式に「適応障害」って診断の結果を発表したから、変に詮索するような声はなくなったよね。
B メンバーのプライバシー問題もあるから、なんでもかんでもハッキリ言えとは思わないけど、公式からちゃんと発表があると、ファンとしては安心できる。
C 活動休止できる環境なのはホッとするんだけど、一方で、どうやって戻るかが実は一番の課題だと思う。ちょっとずつ仕事復帰するのか、完治を待ってから戻ってくるのか……。
A それは本人の気持ちや体調次第になっちゃうから、なんとも言えないけど……。確かに、戻り方が一番の“山”かもしれない。休める環境ではあるけど、戻れる環境なのかっていうのは気になるなあ。
B とはいえ、この問題に関しては、碧海の気持ちを最優先してほしいと思う。私たちは見守るしかないね。
――今年の活動で、「これはよかった!」と喜んだ仕事はなんですか?
C 音楽番組だと、『FNS歌謡祭』(フジテレビ系)のコラボはいい仕事だった。夏は郷ひろみ、冬は和田アキ子と一緒に歌ってたけど、お互いWin-Winな企画でいいな〜と思って。誰でも知ってる曲を大御所と一緒にやる新人グループみたいなポジション、意外とおいしいんだと気づいたね。
A しかもバックダンサーじゃなくて、JO1をちゃんとアーティストとして扱ってくれたのもうれしかったし、ありがたいよね。コラボになると、特に川西拓実の魅力がすごかった。大御所相手にしてもノリノリでパフォーマンスしてる感じ、新しい一面が知れてよかったなあ。
B JO1の楽曲を披露するのは、オタク的にはうれしいけど、彼らを知らない人にはなかなか見てもらえない。そうなってくると、コラボをたくさんやって、いろんな人に興味を持ってもらう作戦はいいかもね。それに何より、ちゃんといいパフォーマンスをして、結果残してるJO1がすごいよ。
A 『あざとくて何が悪いの?』(5月1日出演、テレビ朝日系)に出たのもよかったな〜。川尻蓮、拓実、豆ちゃんが演技に挑戦してたけど、来年はどんどんドラマにも出てほしいなと思う。結構、本人たちもやりたがってるしね。グループだけじゃなく、個人活動も今後楽しみだなあ。
B 私も演技の仕事はうれしかった。最初はK-POPっぽい路線でいくと思ってたから、「ドラマ出るのはどうなんだろう?」って疑問だったけど、やっぱりバラエティやドラマから興味を持ってくれる人が多いんだなと感じて、今はどんどん出てほしい。
C 来年3月には、Amazonプライムでメンバー全員主演のドラマ『ショート・プログラム』の配信が始まるから、私はそれがすごく楽しみ。これをきっかけに、3年目は誰かしらが俳優として注目されるんじゃないかと期待してる!
(後編は1月1日公開予定)