ちょっとぉ〜、スポーツ各紙の皆様方〜!「有村昆が23歳の頃の写真をインスタグラムにアップした」なんていう、セーターの袖口についた毛玉ぐらいしょーもないニュース、取り上げる必要あります? そういうのは10年前から、ここ「さざ波ニュース」の専売特許なんですからね! 困るんすわ!
……なんてね。スポーツ紙さんのほうも近年、ネタがないんですよね。わかりますよ。もうこうなったら、媒体の壁を超えて、セーターの袖口についた毛玉をシェアしていきましょうよ。ということで、今年もやります、さざ波アワード!
まずは月間MVPの発表からどうぞ。
1月 松居一代が風呂上がりに上半身裸で両腕を広げた「さあいらっしゃい!」ポーズのバックショットをブログで公開。さらに足の指の開き具合、足首の曲がり具合の画像も加え、誰得3種盛り画像を披露した
2月 山田まりやが過去の恋愛遍歴を自ら暴露し、自身のYouTubeチャンネル内で最高再生回数を記録
3月 有村昆が23歳時のイタい写真をインスタグラムで公開し、コメント欄の「藤原竜也に似てる」という「イジり」を真に受けてハシャぐ
4月 何をやってもうまくいかないいしだ壱成が現代霊氣法やパワーストーン販売のために「霊気マスター」の資格を取得
5月 藤井風が音楽を担当、気鋭のクリエイター、イケてる芸能人が大集結したホンダVEZELのCMになぜか布川敏和が紛れ込む
6月 林家三平、「笑いが無草地帯」のTikTokを開設
7月 哀川翔が手越祐也にカブトムシをあげる
8月 林家ペーが数十年前に海老名香葉子からもらい、ボロボロになって持ち手をガムテで補強していたピンクのボストンバッグを修理に出す
9月 大鶴義丹が楽屋弁当を4つ食べたことをブログで報告
10月 うつみ宮土理がインスタグラムで「宝塚メイク」と称して横浜メリーさんみたいなメイクを披露。コメント欄で「えっ、そのもみあげは違うかと」とツッコまれる
11月 華原朋美が玉ねぎを鬼量のバターでギトギトに炒めた“気まぐれ料理”を夫に食べさせる
12月 村上ショージがYouTubeで自身の出囃子「証城寺の狸囃子」をアカペラで歌うが、歌詞を思い出せない
どうです? 本物の「しょーもなニュース」ってのはねえ、こういうラインナップを言うんですよ! え? そんなことより、そろそろ年越し蕎麦を仕込まなきゃいけない時間だって? ぜひそちらを優先しつらぁさいよ、ええ。それでは年間ベスト3を発表!
山田まりやが自身のYouTubeチャンネルの「バレンタイン企画」として誰得……あ、いや、ニッチなファンに向けて大サービス。過去の“恋バナ”を披露した。“プロデューサー”から水を向けられ、初めは「え〜どうしよう〜」「まじで〜」「斬り込むねえ〜」などとためらっていた山田だったが、「素人の女の子がスタッフの口車に乗せられて知らず知らずのうちに脱いじゃうAV」を彷彿とさせる「お約束演出」の中、結局ノリノリで語り出した。
「みんな聞きたいと思うんですよ」「これ多分、回転数上がるんで」という“プロデューサー”による盛大なお囃子が鳴り響き、山田はかつて写真週刊誌で報道された元ジャニーズJr.の秋山純と思われる人物のほかにもう1人、当時ジャニーズタレントだった男性(現在は芸能界を引退)と交際していた話、別れた理由などを赤裸々に語った。
サービスの甲斐あって(?)この動画は同チャンネル内での最高再生回数を記録……といっても4,000回台で、芸能人のYouTubeチャンネルの再生回数としてはかなり“控えめ”。素人が「昨日見た夢」をダラダラしゃべる動画の再生回数を下回るといった有様だ。
ちなみに今年4月から同チャンネルのタイトルを「美活のすすめ」と改めてリニューアルし、山田が圧の強い化粧品販売員のような口調で“意識高く”美容情報をまくしたてる動画をアップしているが、どれも再生回数は2,000前後といったところだ。
ダイエット・タイアップ企画の導入で、「チャリンチャリ〜ン(“お金”のハンドサイン)が絡んでいるということで、いつもよりより一層気合を入れて」と正直に言っちゃったり、戦後から営業している月島の老舗もんじゃ焼き屋の女将ばりの貫禄で、もんじゃ焼きを作る動画など、自身のYouTubeチャンネルにて魅力的なコンテンツを発信し続ける華原朋美。
11月10日に投稿されたこの動画は「Tomo's キッチン 玉ねぎ2個でどこまで美味いものが作れるのか!」と題し、気まぐれアドリブ料理を披露した。冷蔵庫の余り物の玉ねぎ2個の粗みじん切り、すさまじい量のバター(2段階投入)、チューブにんにく、水に溶かさないカレールー、水に溶かさないコンソメキューブ丸ごとをぶち込んで炒めたそれは、朋ちゃんいわく「なんちゃってキーマカレー」だそうだ。
あまりの“男の料理”っぷりと、カメラに映り込む腕の重厚感に、「あれ? これ亀田史郎チャンネルだったっけ?」と錯覚をおこすほどだ。「でっきあっがり〜」コールとともに仕上がったその“料理”にこちらから別名を提案させていただくとしたら、「油の海に浸かったみじんぎり玉ねぎ 〜コンソメのダマとともに〜」といったところだろうか。
これを白ごはんにかけたものを、動画を撮影する所属事務所社長兼マネージャーの夫にふるまうと、「うめえ! 超うめえ!」とご満悦。愛だね。また、これより以前の8月にアップされた別の動画では、肉入りタイプのキーマカレーを作ったが、夫に食べさせたところ翌日蕁麻疹が出たとのことで、今回の“肉なし油浸かり玉ねぎキーマ”を食した後の夫の体調はどうだったのか、気になるところだ。
3位の記事にちなんで動画再生回数にも触れておくと、華原朋美の動画は11月の「油浸かり玉ねぎ」の回が77万弱、8月の「肉入りキーマ」の回が121万超である。
今年末で『笑点』(日本テレビ系)をクビ……あ、いや、卒業した林家三平。そもそも5年前の大喜利メンバー入りからして母・海老名香葉子によるゴリ押し説が報じられたり、飛ばし記事が御家芸であるはずのスポーツ紙に「視聴者から『つまらない』との厳しい声が多数寄せられていた」と本当のことを書かれてしまったり、ライザップで18.6キロの減量に成功するも、たいして話題にならず、「そもそもどんな体型だったか記憶にない」と言われてしまったりと、彼にとっては大変な1年だったことだろう。
そんな三平が今年6月、満を辞して公式TikTokを開設。クオリティの低いダンスや変顔を披露する動画を頻繁にアップしている。もとよりSNSはインスタグラム(2016年1月〜)も、Twitter(2019年11月〜)もやっていた三平だったが、どちらもあまり話題にならず、公式マークももらえず、「ダイエット大成功」への反応と一緒で「あ、やってたんだ」というのが大方の認識ではなかろうか。
そんな彼が若年層ユーザーの多いTikTokに藁にもすがる思いで飛びつく心理は理解できなくもない。センスある「映え」が求められるインスタグラムや、小洒落たウィットや面白話が求められるTwitterと異なり、ただ音楽に合わせて適当に踊ったり変顔をしておけばなんとかなるTikTokは、まさに三平向けSNSと言えるのではないだろうか。
ちなみに「いいね」の数は、三平単体の投稿で200を超えることは珍しく、ほかの芸人や落語家とのツーショットになると跳ね上がり、最も「いいね」が多かったのは林家木久扇とのツーショットダンス(8千超えいいね)であった。どこまでいっても自力ではブレークできない、バズれない、落語会随一の「Mr.小物」。来年はいいことあるといいですね。
ということでね、2022年はスポーツ各紙さんがこんな泡沫連載と競合するようなことがないぐらい、happyなビッグニュースで世の中があふれていますように。良いお年を!
(※本文中の動画再生回数、「いいね」の数はいずれも本稿執筆時のものです)
佃野デボラ(つくだの・でぼら)
ライター。くだらないこと、バカバカしい事象とがっぷり四つに組み、掘り下げ、雑誌やWebに執筆。生涯帰宅部。