2021年もさまざまな邦画が公開され、3月公開の『シン・エヴァンゲリオン劇場版』や4月公開の『名探偵コナン 緋色の弾丸』、7月公開の『竜とそばかすの姫』などアニメ映画が大ヒット。実写映画も、『東京リベンジャーズ』(7月公開)、『るろうに剣心 最終章 The Final / The Beginning』(4月/6月公開)といった漫画原作モノが健闘した。
一方、話題性はあったにもかかわらず“大コケ”してしまった映画も。
「まず、1月8日に公開された『おとなの事情 スマホをのぞいたら』は、東山紀之が10年ぶりに映画主演を務めるということで、注目度の高い作品でした。イタリア映画『おとなの事情』(日本では17年に公開)を日本版にリメークし、主人公・小山三平(東山)が、六甲隆(益岡徹)&絵里(鈴木保奈美)、園山零士(田口浩正)&薫(常盤貴子)、向井幸治(淵上泰史)&杏(木南晴夏)という3組の夫婦と集まった際、あるゲームから修羅場になる……といった内容で、全国319スクリーンの大規模公開で封切られています」(芸能ライター)
しかし、国内映画ランキング(興行通信社調べ、以下同)で、『おとなの事情 スマホをのぞいたら』は初登場8位という、まさかの低空発進を記録。当時、ランキング上位にはアニメ映画『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』(2位)や、キングコング・西野亮廣が原作・脚本・製作総指揮を務めた『映画 えんとつ町のプペル』(4位)など、20年中に公開された話題作が年をまたいで混戦を極めていたが、1位は『おとなの事情 スマホをのぞいたら』と同日に公開したアニメ映画『銀魂 THE FINAL』だった。
「『銀魂』は197スクリーンと中規模公開だった中での快挙を果たしましたが、『おとなの事情 スマホをのぞいたら』は東山が珍しく気合を入れてテレビで宣伝活動を行っていたのに結果が伴わず、翌週にはトップ10圏外に。一応、ネット上の口コミでは『面白かった』『リメークとして成り立っていた』という声もありましたが、『出演者の中で東山だけ演技がヘタだった』『東山主演じゃなければ良かったかもしれない』などと酷評されていました」(同)
2月5日に全国285スクリーンで公開された『哀愁しんでれら』も、出だしからつまずいた。
「同映画は、幸せを追い求める真面目な主人公・福浦小春(土屋太鳳)が、優しくて裕福な開業医・泉澤大悟(田中圭)のプロポーズを受けて結婚した後、社会を震撼させる凶悪事件を起こしてしまう……というサスペンス。土屋と田中は、11年放送のNHK連続テレビ小説『おひさま』や15年公開の『図書館戦争 THE LAST MISSION』など共演作が多く、そんな2人が『哀愁しんでれら』で夫婦役を演じるとあって注目を集めていたはずでした」(スポーツ紙記者)
しかし、映画ランキング初登場10位とギリギリの位置に滑り込むも、やはり翌週には圏外に転落。ネット上には「“鬱展開”で見ていてつらい」「人にオススメしづらい」といった書き込みが寄せられていただけに、評判を聞いて「見に行こう」と思う者が少なかったとみられる。
「また、山崎賢人の主演作『夏への扉 キミのいる未来へ』(6月25日公開)は、初週のトップ10入りすら逃しました。ストーリーは、アメリカ人SF作家のロバート・A・ハインライン氏の代表作『夏への扉』(ハヤカワ文庫SF)を原作とし、1995年の東京でロボットを開発していた科学者・高倉宗一郎(山崎)が“裏切り”に遭って人体を冷凍保存する装置に入れられ、2025年に目を覚ます……といった内容。新型コロナウイルス感染拡大の影響で、当初の予定より4カ月延期して公開に至りました」(同)
同映画には山崎のほか、眞島秀和や清原果耶ら人気の役者が出演し、また『鬼滅の刃』のテーマ曲が大ヒットしたLiSAの楽曲「サプライズ」を主題歌に起用するなど、注目ポイントも多かった。
「ただ、ネット上にはそもそも『山崎賢人の主演作に飽きた』というコメントが続出。確かに山崎は、14年公開の『L・DK』や16年公開の『四月は君の嘘』といった恋愛映画から、漫画実写化アクション系の『ジョジョの奇妙な冒険 ダイヤモンドは砕けない 第一章』(17年)や『キングダム』(19年)など、これまでにも幾多の作品で主演を務めています。『夏への扉 キミのいる未来へ』の内容についての口コミ自体はポジティブなものも散見されただけに、やはり『山崎主演作はもうおなかいっぱい』という意識が先行して客足が遠のいてしまったのかもしれません」(同)
一方、アニメ映画では、『シン・エヴァ』や『コナン』などがヒットした中で、やはり“大爆死”した作品もある。
「6月11日公開の『漁港の肉子ちゃん』は初登場7位にランクインした後、翌週も10位で踏ん張りましたが、3週目は圏外に。直木賞作家・西加奈子の同名作品を明石家さんまプロデュースでアニメ化したもので、声優にはさんまの元妻・大竹しのぶや、木村拓哉と工藤静香夫妻の長女・Cocomi、人気声優の花江夏樹や下野紘などを起用。公開前はやたら宣伝されていた印象ながら、公開後はほとんど話題に上りませんでした。原作小説は累計発行部数35万部超えのベストセラーなのですが、それよりも“さんまの映画”というイメージが強かったのが敗因かもしれません」(前出・ライター)
また、7月9日公開の『100日間生きたワニ』も、神木隆之介や中村倫也、新木優子、山田裕貴といった豪華俳優陣に、話題の声優・木村昴など人気どころを集めていたが、初週から映画ランキング入りを逃した。
「原作は、ネット上で反響を呼んだイラストレーター・きくちゆうき氏の4コマ漫画『100日後に死ぬワニ』ですが、この4コマを好んでいたファンの間では、映画化が発表された当初から『なんか興ざめ』『ワニくんのことを思うと、映画の話は受け入れがたい』といった声が出ていました。さらに、4コマ版がはやった時期からだいぶたって映画が公開されたこと、“63分”という短い上演時間ながら通常料金だったこともあって、わざわざ見に行く人が少なかったとみられます」(同)
22年も1月からさまざまな映画が公開されるが、どのような作品がスタートダッシュを決められるだろうか。