今は亡き某指定組織の三次団体幹部の妻だった、待田芳子姐さんが語る極妻の暮らし、ヤクザの実態――。
山口組再統合のXデーは?
読者の皆様、あけましておめでとうございます。今年もどうぞよろしくお願い申し上げます。いつもお読みいただき、改めて御礼申し上げます。
昨秋は、山口組の統合への王手ともいえる「五代目山健組」の六代目山口組への復帰が話題になりましたが、それ以降は思ったほど進みませんでしたね。
わかりにくくてアレなんですけど、山健組は、山口組の二次団体(いわゆる「直参」)としては最大の人数を誇っていました。初代山健組は、三代目山口組時代にヤマケンこと山本健一親分が1961年に設立しています。
この山口組傘下の名門組織である山健組は、2015年の山口組分裂で中心的な役割を果たしていました。同じ山口組でありながら司六代目の出身母体である弘道会とは対立していたんですね。
ところが、いったん出て行った山健組が、昨秋、六代目山口組に「復帰」しました。神戸山口組を出たわけです。神戸山口組の中核だった山健組が出たことで、神戸山口組の存続は、かなり微妙になってきました。
とはいえ神戸山口組トップである井上邦雄組長が「最後の一人になっても闘う」と言っているそうで、まだしばらくは「二つの山口組」状態は続くかもしれません。
まあ今までだって、別に山口組関係者全員が「超仲よし」だったわけではないのですが、シノギ(資金獲得活動)が回っていた頃は、同じ金看板の下で、そこそこイケていたんですよね。過剰な暴力団排除によってシノギが細ったことで、しなくてもいいケンカも増えている気がします。
山口組統合とともに注目されているのは、五代目工藤會の2トップの裁判の行方ですね。控訴審の日程はまだわからないようですが、検察庁・警察庁としてはサクサク進めて確定させたいところでしょう。
以前も書かせていただいたように、求刑通りトップの野村悟総裁に死刑、ナンバー2の田上文雄会長(稼業名)に無期懲役の判決が言い渡されました。工藤會関係者にはお気の毒ですが、これは「国策」ですから控訴審も厳しいと思います。2015年の段階で警察庁長官が「工藤會のトップは死刑と無期懲役」とのたまっていますからね。
でも、前回ご紹介した福岡県警の元マル暴氏の『福岡県警工藤會対策課〜現場指揮官が語る工藤會との死闘』(彩図社)には、元マル暴氏までが「死刑ではなく無期か懲役30年と考えていた」と書かれていて、これには驚きましたね。だって警察庁長官が「死刑」と言ってるのに、県警の刑事さんがそう思ってなかったというのは謎すぎますよ。
でも、逆に言うと、まだ「望み」はあるのかも? 工藤會弁護団の先生方は大変だと思いますが、控訴審ではやはり世論をもう少し盛り上げたいところですね。そして、これからも「暴力団」の重罰化はさらに厳しくなるでしょうから、やめる人はさらに増えると思います。
でも、やめたところで、生活できる人はどれだけいるんですかね? 生活できなければ、半グレなど「ヤクザ以外の悪い人」と一緒になって悪いことをするのは当たり前です。
更生支援団体なども人数や資金的にも限界はありますから、フォローも簡単ではないです。数字だけ見て「今年も『暴力団員』がこんなに減った」と喜んだところで、社会はいい方向へ行きますかね?
たとえば最近は、コロナで生活が困窮した人を狙った新手のヤミ金や詐欺事件も増えているようですが、こういう犯罪集団に「元・暴力団員」もどんどん参入するでしょうから、さらに被害は増えると思います。
一般の市民の方にとっては、抗争の巻き添えよりも、こうした詐欺の被害に遭う確率のほうがよっぽど高いですから、より深刻な問題となりそうです。
全然お正月らしくないお話で恐縮ですが、いろいろウォッチしていきたいと思いますので、今年もよろしくお願い申し上げます。