覚醒剤の使用や密売などで逮捕起訴され、通算12年を塀の中で過ごした後、その経験を基にさまざまな活動を続ける中野瑠美さんが、女子刑務所の実態を語る「知られざる女子刑務所ライフ」シリーズ。
刑務所でも感染拡大
コロナ感染、広まってますね。やっと普通に戻れるかと思ったのに……。「まん防」でどこまで防げるか謎ですが、ホンマ早く収まってほしいですね。
ムショもぼちぼち感染が広まっているようです。大分刑務所のクラスター化や佐賀少年刑務所などはニュースになっていますが、ほかにもあるかもしれません。
ムショは「密」を絵に描いたような場所ですから、一人でも感染したらアウトです。これからも増えますよ。影響を受けてない業種はないと思いますが、瑠美も含めて飲食店は大打撃です。皆様もご自愛くださいね。
「わりとわかりやすいところ」に隠しがち?
「瑠美さん、缶コーヒーに覚醒剤を隠したことあります?」
またまた編集者さんからむちゃ振りされました。缶コーヒーに覚醒剤を隠していたちゅう事件があったんですね。ニュースによると、「フタは未開封だが底が開くよう細工された缶コーヒー」に「筒状のプラスチック製ボトルを仕込み、中に覚醒剤を隠して周りを石こうで固定していた」そうです。なんか工作が好きな人なんですかね。普通はこんな手の込んだことはしなくて、わりと見つかりやすいところに隠しがちです。
「自分が使う用」は少量やからわりと簡単で、ボールペンの芯を抜いて軸に仕込むとかもやってましたが、身の回りにないとすぐ使えなくて意味ないので、お菓子の缶とかに入れてましたね。この「缶コーヒー」はいくつも作ってたんでしょうか。
問題は、バイ(密売)用ですね。100グラム単位とか大量で、懲役も長くなりますから、みんな必死です。前にも書きましたが、瑠美は車体の下につけられる強力マグネット付きのケースを愛用していました。
ムショで聞いた話では、小分けにしてカーペットの裏に貼るとか、警察にバレバレなことをやってる人も結構いてました。大きな怪獣の貯金箱に入れていた人は、「刑事さんが貯金箱を振ったらめっちゃ重くて、小銭の音がして、気づかれなくて助かった」そうです。小銭の下には100グラム以上入ってたそうで、もし見つかってたら、刑期めっちゃ延びますからね。よかったです。よくないか(笑)。
似た感じでは、「米びつの底」ですね。掘っても掘ってもお米やけど、実はその下には……ちゅうことです。意外にバレないそうです。お風呂の天井裏もありがちなんですが、湿気が心配ですね。
あとはおむつに仕込む手もありますが、友達は「生理用品を解体された」そうです。男は、おむつは見たなくて、生理用品は見たいんですね。ちょっとキモくないですか?
ちなみに当時の交際相手と一緒のところにガサ入れ(家宅捜索)された時は、めっちゃ使用してたので焦りましたが、令状の都合でカレだけが連れていかれました。刑事さんたちは、瑠美に「ホンマはオマエもパクったらな(逮捕しなくては)アカンけどな」と捨て台詞を残して帰っていきました。今となっては懐かしい思い出ですが、今なら捜査が昔より厳しいから一緒にパクられてたかも?
変わったところでは、お仏壇とかお墓もありました。お仏壇はともかく、お墓は和尚さんとかに怒られそうですが、昔は結構聞きましたよ。今はアカンかもしれませんね。
そんなしんどい思いまでして隠さないで、クスリ(違法薬物)とはさっさと縁を切りましょう。瑠美もやめられてホンマよかったと思っています。