圧倒的な歌唱力で世界中にファンを持つ歌姫アデル。彼女が1月20日、開幕まであと24時間に迫ったラスベガス定期公演『Weekends with Adele』の延期を、SNSで涙ながらに発表。遠路はるばる来てくれたファンのことも承知していると深く謝罪したが、交通費や滞在費に大枚をはたいて現地入りしていたファンからは「ドタキャン以外の選択もあったのではないか」と憤りの声が上がっている。
21年11月下旬に4thアルバム『30』を発売した直後、ラスベガスのシーザーズ・パレスホテルでの定期公演を発表したアデル。5年ぶりとなる彼女の生パフォーマンスだけにチケットの争奪戦は必至。24公演約10万枚のチケットで5,000万ドル(約57億円)以上の売り上げが見込まれていた。
しかし、アデルは20日にインスタグラムに動画を投稿し、「本当にごめんなさい。準備が整ってないの」と悲痛な面持ちで公演の延期を発表。「機材の配送が遅れ、スタッフの半数がコロナに感染している」状態で、「30時間以上寝ずになんとかしようとしたのだけど、時間切れになってしまった」と疲労困憊した表情を浮かべた。そして、「ラスベガスまで来てくれたファンに本当に申し訳なくて。ごめんなさい」と涙をぬぐった。
この投稿のコメント欄には、「OK!」「自分を責めないで!」「いつも正直でいるあなたが大好き!」と理解を示すファンが多く見られたが、Twitterには、ラスベガス入りしたファンの「もうホテルなんだけど……ドタキャンするしかなかったの?」「スケジュールを変更されても、また交通費と滞在費を支払えなそう」「シドニーから来たのに……プロ意識に欠けてる」といった戸惑いの声が次々と投稿された。
21日、アデルはラスベガスまで来ていたファンにTwitterなどでDMを送り、シーザーズ・パレスのポップアップショップに集まるように誘導。そこにテレビ電話をかけ、ファンに直接謝罪した。アデルはグッズのプレゼントや、仕切り直しの公演時のミート&グリートを約束。感激したファンはテレビ電話の動画をSNSに投稿、アデルはファンをきちんとフォローしていると好感度が上がった。
しかし、新型コロナウイルスのオミクロン株感染者は昨年末から急増しており、グラミー賞やアカデミー賞授賞式などのアワードが早々に延期発表していたため、ファンが現地入りする前に公演日を変更できなかったのかとの批判も。一部のファンからは、「(アデルがお詫びの品として申し出た)しょぼいTシャツをもらうためにベガスまで来たんじゃない!」と怒りの声も出ている。
英大衆紙「ザ・サン」は、アデルがドタキャンを発表する直前に、定期公演の舞台デザイナーを務めるエスメラルダ・デヴリンと激しく口論していたという関係者の話を紹介。エスメラルダとは2016年のツアーでも一緒に仕事をしているが、アデルはエスメラルダが今回の公演用に仕上げた舞台セットに不満で、面と向かって「これじゃムリよ!」と言い放ち、激しい口論に発展。「ただでさえ緊張で気持ちが張り詰めていたのに、彼女と言い争ったことでアデルはパニックに陥ってしまった。(この定期公演は)なにもかも完璧じゃないといけないと、アデルは必死になっている」と報じた。
ほかの関係者も、アデルが今回の定期公演の舞台に関する変更指示を「きりがないほど出す」ため、「みんなアデルが一体どのようなショーにしたいのか、よくわからない状態になっている」と証言。もともとアデルは生パフォーマンスに過剰な不安を抱きやすいうえ、「とても豪華なショーにしなければというプレッシャー」を感じており、それがドタキャンにつながったのかもしれないと示唆した。
アデルは離婚をきっかけに不安障害を発症。メンタルを安定させるために始めたトレーニングで45kg減量したと告白している。今回、ショーを成功させようとストレスフルな状態が続いた挙げ句、公演をドタキャンしたため、ネット上では多くのファンがアデルの精神的ダメージや体重減少を心配している。