下世話、醜聞、スキャンダル――。長く女性の“欲望”に応えてきた女性週刊誌を、伝説のスキャンダル雑誌「噂の真相」の元デスク神林広恵が、ぶった斬る!
ジャーナリストの伊藤詩織さんが元TBS記者・山口敬之氏から性暴力を受けたとして民事訴訟を起こしていた件で、東京高裁が伊藤さんの訴えを認め、山口氏に332万円の支払いを命じた。
当然の判決に安堵したが、しかし山口氏が安倍晋三元首相と昵懇であり、そして逮捕直前にそれが取り消され嫌疑不十分で不起訴になるなど、政権に絡む疑惑は残されたままだ。そもそも就職の相談に来た若者と関係を持つなどということが合意の有無など関係なく“ありえない”ことなのだが、山口氏はそんなこともわかっていないらしい。アベちゃんのお友だちだからな〜。
第587回(1/27〜2/1発売号より)
1位「氷川きよし 『性を超える肉体改造』不退転の活動休止」(「女性セブン」2月10日号)
2位「南果歩 『息子と元夫と後妻の子と』20年目の“家族”の変異」(「女性セブン」2月10日号)
3位「旧宮家イケメン兄弟が愛子さまの婿候補に急浮上 雅子さま困惑!『せめて結婚は愛子の意思に任せたい…』」(「女性自身」2月15日号)
素敵な決意だと思う。氷川きよしが今年いっぱいで歌手活動を休止することを発表した。氷川は「なりたい自分になることが自分の人生。ますます自分らしく、自分に素直に」と公言してきたが、それを具体的に実現するのだろう。
そんな氷川の“なりたい自分”と“活動休止”の理由について「女性セブン」が報じている。いろんなキーワードを散らばせつつ。
「もっと自分らしくなるために、容姿だけでなく、どんどん変えていきたいんです」
「男とか女とかにとらわれない自分らしさに磨きをかけたい」
「性別をも超えて自分らしく変わるために必要な決断」
「映画(『ボヘミアン・ラブソディ』)を見て主人公の苦悩や孤独に涙した」
ジェンダーを超越し、多様性を自ら体現し、そして美を追求する氷川。これまで“男らしさ”を求められてきたであろう演歌界からの決意。すごいと思う。実際に、その容姿だけ見ても誰の目からもその変化は明らかだ。美しい。断然応援したい。そして、これからも進化し、肉体改造をするための歌手活動休止。お金もいっぱいあるだろうから、やれ! やれ! フレー! フレー! だ。
復帰したときの美しさを今から期待したいほど。
しかし世間はそうはいかないらしい。「セブン」記事には氷川のそんな変貌を手放しで喜ばない人々の声も紹介されるのだ。
たとえば、ある先輩から「親からもらった体を大事にした方がいい」と言われたことや、身近な人から「変化はほどほどにしてほしい」と苦言を呈されたこともあるという。そしてSNSでのアンチ発言も。“演歌界の貴公子”と言われた氷川だけに、そのギャップに悩み、大変だったのだろうと思う。とはいえ、記事では性の多様性が重要だと、こう警鐘を鳴らす。
「『男らしさ』『女らしさ』を、本人の気持ちをないがしろにして求めることは、人権を守る上で、厳に慎むべきであるのは現代社会の当然のルールだ」
『セブン』にしては良いことを言う(笑)。氷川の“進化”でジェンダーについて多様な意見が出て、そして議論も起こる。これも素敵で重要なことだ。やはり有名人、芸能人の動向はプライベートなことでも世間に大きく訴えかけ、影響力も発揮される。昨今、芸能ゴシップ記事、特にプライバシー関連には批判や否定的な声も多いが、しかし影響力の大きい芸能人のプライバシーを含むさまざまな動向、情報を知ることは、社会にとっても有意義なもので大事なことだ。そんなことを再認識させられた「セブン」の氷川記事だった。
(追記 そしてジェンダーは関係なく、当然芸能マスコミ的には外せない、そして人々が知りたいのが、芸能人の恋人、パートナーの存在だ。氷川はかつて俳優の松村雄基との熱愛を報道されたことがあったが、「セブン」には氷川と親交の深い音楽評論家の湯川れい子氏による「いまは恋人の影もないです」とのコメントがサラリと記されていた。さすが、です)
そして2位も芸能人とプライバシーについて考えさせられる記事だ。南果歩。そう、かつて作家でミュージシャンの辻仁成と結婚し離婚、その後、渡辺謙と結婚し離婚したという華やかな経歴を持つ女優だ。そんな南が、元夫の辻と20年ぶりに再会したのだという。おーーーっ! すごく興味を惹かれるお話ではないか! しかも再会の理由も、これまたすっごく興味深い。南と辻の間には一人息子がいるが、その息子の“ハーフブラザーに会いたい”という一言がきっかけで、南と辻の再会につながったというのだから。
ご存じの通り、南の息子の“ハーフブラザー”とは、辻が再婚した中山美穂との間にもうけた息子のこと。ひゃー、華やかだ。そして南の息子の願い通り、17年にまず息子と“弟”そして辻の3人が対面を果たし、そして20年には南も含めて再会となったという。
記事には南自身のコメントとして離婚後も辻の実母との交流があることや、南が患った乳がんのこと、そして息子の結婚についても語られている。
ね、プライバシー、プライベートのことは興味深いでしょ。それでもって、なぜ南がこんなことを明かしたかというと、本の宣伝です。「セブン」発行の小学館から『乙女おばさん』という自伝エッセイが2月4日に発売されるという南。そこに書かれたものの一部抜粋が今回のプライバシー記事ということだ。
プライバシーを公表する(売る)のも芸能人のお仕事。そして芸能マスコミとは持ちつ持たれつ。プライバシーを暴くな! という情報番組の芸能人コメンテーター(MCも)は、無知なのか、はたまた御都合主義なのか。芸能マスコミの存在意義について考えさせられた「セブン」の2特集だった。
そして3位の「女性自身」は皇室のプライバシー報道だ。20歳になった愛子さまだが、結婚相手の候補として旧宮家の男系男子の兄弟が浮上しているというもの。秋篠宮家の眞子さんの例を引くまでもなく、こちらも世間さまの大きな関心事。今後もさらなる報道合戦が繰り広げられると思う。