今や日常生活において、かかせないツールとなっているコミュニケーションアプリ「LINE」。かつては子どもの送迎時に、ママたちが立ち話をしているような光景が見かけられたが、時間に追われ忙しく過ごす共働き世帯が増えた今、ママたちのコミュニケーションの場は、LINEのグループチャットになっているという。そんな、ママたちの「グループチャット」から浮き彫りになった、彼女たちの悩みや、苦悩、気になる話題を覗いてみる。
昨年、香川県で子どもがゲームやスマホを使う時間を制限する「香川県ネット・ゲーム依存症対策条例」という全国初の条例が施行された。同条例は18歳未満を対象とし、ゲームの利用時間を1日60分、休日は90分までと定め、基本的には家庭内でのルールの徹底を想定している。しかし、ゲーム時間を管理するのは容易なことではない。小さな子どもを持つママたちにとっては、大きな悩みの種になっているようだ。
今回は、ゲームとの付き合い方をめぐり、夫と意見が相違してしまったという女性のエピソードを紹介する。
ステイホームがきっかけで、子どもがゲームに熱中
首都圏に住む由香さん(仮名・37歳)は、コールセンターでパートとして働きながら、8歳の息子を育てている。年明け以降、全国各地で感染者数が増加傾向にある中、ママ友とのLINEでは子どものゲームに関する話題が増えたという。
「冬休み中は一時的に感染者が減っていたので、『地元に帰省した』という話もよく聞きましたが、今は感染対策で週末も自宅で過ごす家庭が増えたように感じます。ママ友とのLINEのグループチャットで『子どもたちを公園で遊ばせる?』と誘い合っても、『今、子どもはゲームに夢中なんだよね』と断ることがお互いに多くなりました」
由香さんいわく、「特に寒い日なんかだと、子ども『外で遊ぶよりもゲームするほうがいい』って言われる」そうで、冬休み中よりも、ゲーム時間が増えたとか。
「周囲では、ステイホーム期間をきっかけに、子どもにNintendo Switch(以下、Switch)を購入したママも多かった。私はまだゲームで遊ばせるのは早いと思っていたのですが、息子が『友達との会話に入っていけなくなる』というので、周りの友達から少し遅れてしまいましたが、去年のクリスマスに私の親からSwitchをプレゼントしてもらいました。今では、学校から帰ってくると、真っ先にゲームの電源を入れて遊び始めます」
「子どもにゲーム機やソフトを与えて安心していいた」という由香さんだが、ゲーム内で“課金システム”があることに驚いたとか。
「男女関係なく、子どもたちに人気があるのが『あつまれ どうぶつの森』(以下、『あつ森』)という、自分の島を飾ったり、ほかの住民と交流をしながら無人島での暮らしを楽しむソフト。息子がゲームの中で『学校やカフェを作りたい』と言い始めたのですが、どうやらそんな機能はなくて、慌ててママ友にLINEで聞いたら、『ハッピーホームパラダイス』という有料の追加コンテンツをダウンロードしなければならないことがわかりました。ソフトを買ったら終わりではなく、さまざまな機能を使って遊ぶためには、アイテムに課金しなければならないのは、よくできた仕組みだと思いましたね……」
由香さんによると、今の子どもたちに人気のゲームは独創性が高く、じっくり時間をかけて遊べるものが主流だそうだ。
「『あつ森』のほかにも、さまざまな種類ブロックを組み合わせて武器や建物を作って冒険する『Minecraft(マインクラフト)』(以下、『マイクラ』)というソフトも人気ですね。ストーリーがあったり、レベルやステージなど明確なゴールがないため、いつまでもやり続けることができてしまうんです。息子に『もうゲームはおしまい』と注意しても、なかなか言うことを聞いてくれないので困っています」
実業家・ひろゆきは子どもにゲームを勧めている!?
また、由香さんは、子どものゲーム事情について、ある人の発言が気になったとか。
「実業家のひろゆきさんがYouTube動画などで子どもに『マイクラ』をプレイさせることを勧めていたんです。ひろゆきさんが言うように、ゲームがきっかけでプログラミングができるようになったり、ほかのことにも興味が持てるようになるといいのですが、今のところ息子はただひたすら遊び続けているだけ。1日何時間まで遊ばせていいのかなど、悩んでしまいます」
そんな由香さんは、学校から帰宅後、宿題に手を付けずにゲームに熱中している息子について、夫に相談した。
「夫は、『そんなものを買い与えたからだ』の一点張りで、ろくに向き合おうとしてくれませんでした。でも、この間、息子が家に宿題を忘れて学校に行ったため、とうとう夫が怒ったんです。夫は短気な性格なので、息子からSwitchを取り上げて、“捨てるぞ”とキツく叱りました。すると息子が泣き出してしまって、今度は私と夫がケンカになったんです」
ちなみに、文部科学省が昨年8月に発表した「全国学力・学習状況調査」の生活様式部分の結果によると、小学生の75.9%は平日にテレビゲーム(パソコンや据置・携帯ゲーム機、従来型携帯電話、スマートフォンによるもの)で1時間以上遊んでいるという。それだけに、由香さんと同じく子どもの“ゲーム依存”に悩みを抱えている保護者は多いのではないだろうか。
「夫のようにゲーム自体を取り上げてしまうのはちょっと極端な気もしたので、仲が良いママ友にLINEで『子どもがゲームをやめられない』と相談をしたんです。すると、ママ友の家では“宿題を済ませたらゲームをしてもいい”というルールを設けているとアドバイスしてくれて、とても参考になりました」
ほかにも、ママ友とのLINEで得た情報があるという。
「Switchには“みまもり設定”があると教えてもらいました。どうやら、遊んだゲームソフトや時間を確認できるほか、1日にプレイできる時間を設定したり、使用できる機能を制限することができるそうなんですが、購入時にユーザー設定を誤ってしまったため、サービスを利用できないことが発覚。なので、“ゲームは宿題を済ませてから”1日1時間“とルールを設定して、自分の部屋ではなく、私の目の届くリビングでプレイさせるようにしています」
子どもが自分でゲームの利用時間をコントロールできない低学年の間は、親が目を光らせながら管理をしてあげることが必要だろう。由香さんのように工夫を凝らして、子どもの“ゲーム依存”を防いでいきたいものだ。