シンガーソングライターのビリー・アイリッシュが、公演中に具合が悪くなった観客のためにパフォーマンスを中断した動画がSNSで拡散された。それを見たラッパー/音楽プロデューサーのカニエ・ウエスト(yeに改名)が理不尽な言いがかりをつけ、困惑するビリーに同情が集まっている。
昨年7月発売のアルバムを引っ提げた世界ツアー「Happier Than Ever, The World Tour」を、2月3日にスタートさせたビリー。2020年のツアーは新型コロナウイルス・パンデミックの影響でキャンセルとなったため、生のビリーに飢えていたファンは予定通りツアーが始まったことに大喜び。SNSには観客たちが撮影した公演動画がたくさん投稿され、大盛り上がりしている。
そんなビリーが、5日のアトランタ公演でパフォーマンス中、呼吸困難に陥った観客をいち早く発見。ステージの上から「酸素吸入器が必要なのは誰?」「泣かなくて大丈夫だから」と気遣い、ほかの観客には「介抱しているから、ちょっと待ってね。みんなが無事だと確認してから(公演を)再開するから」と説明している動画がTwitterやインスタグラムに投稿され、「観客の安全第一のビリーは素晴らしい!」と拡散された。
複数のメディアは、21年11月にトラヴィス・スコット主催の野外フェスで観客がステージに殺到し、10人の死亡者と多数の負傷者が出た大事故と比較し、ビリーの対応は素晴らしいと絶賛。「照明のせいでまぶしかったから、観客席はよく見えなかった」「観客やスタッフからの『ストップ!』 という声も聞こえなかった」などと弁解してばかりのトラヴィスを批判した。
再びバッシングを浴びたトラヴィスだが、6日にパートナーのカイリー・ジェンナーが2人にとっての第2子を出産したことを発表。こちらはおめでたいニュースとして大々的に報じられたことから、トラヴィス叩きは急速に収まっていった。
そんなタイミングで、キム・カーダシアンとの離婚騒動で精神的に不安定になっているカニエが、ビリーに「トラヴィスに謝れ!」とかみついたのだ。
カニエは10日、インスタグラムに、「なぁ、ビリー。おれたちはおまえのことを愛してるんだぜ。お願いだから、トラヴィスや、あの事故で亡くなった人々の遺族に謝罪してくれ」「あんな事故、誰も望んだわけじゃない。ステージの上にいたトラヴィスは、何が起きたのかまったく知らなかったんだ。事故については本当に心を痛めている」と謝罪を求めた。
そして、「そうだ、トラヴィスはオレと一緒にコーチェラでパフォーマンスをする」という仰天情報を投下。「でも今はビリーに謝ってほしい。コーチェラでパフォーマンスする前に、謝罪のほうが先だ」と締めくくった。
カニエは、4月に開催される米最大野外フェス「コーチェラ・フェスティバル」のヘッドライナーを務める予定。ビリーもカニエとは別の日にヘッドライナーを務めることになっている。トラヴィスは昨年の段階で、コーチェラへの出演が決まっていたが、事故後に出演アーティストから外されており、ファンが「せめてカニエの客演として出てほしい」「ステージにカムバックしてほしい」と署名運動を繰り広げている最中。カニエの発言が事実なら、トラヴィスのファンにとっては朗報となる。
一方、言いがかりともいえる因縁を吹っ掛けられたビリーは、カニエの投稿にすぐさま反応。コメント欄に、「トラヴィスのトの字も言ってないんだけど……わたしはファンを助けただけ」と書き込み、困惑しつつも“謝罪をするようなことはしていない”と、毅然とした対応を取った。
その後、カニエはビリーを敵と見なしたようで、その後も彼女をディスる投稿をしており(現在、一連の投稿は削除済み)、ネット上では「テイラー・スウィフトと同様、カニエに理不尽にロックオンされてしまった」と気の毒がる声が上がっている。
ビリーを敵認定してしまったカニエが、今後、彼女にどのような攻撃をするのか……。過去にメンタルヘルスの問題を抱えていたビリーだけに、精神的に追い詰められてしまうのではないかとファンは心配している。