2月16日に『ニッポン視察団!禁断ランキング!外国人が選ぶ「ニッポンの飲食チェーン店」ベスト30』(テレビ朝日系)が放送となる。
日本の飲食チェーン店について、外国人にアンケート調査した結果の上位30位を大発表するという。アンケートに挙がった店名は、実に500以上で、ガスト、コメダ珈琲、大戸屋、吉野家、スシロー、牛角、サイゼリヤ、丸亀製麺などなど誰もが知っている有名店が続々紹介するようだ。
一方、酒飲みにとって最も有名なチェーン店といえば、モンテローザの展開する酒場だろう。白木屋、魚民、笑笑などの居酒屋を全国展開する株式会社モンテーローザだが、なぜだか酒飲みに嘲笑されがちだ。しかし、モンテローザにももちろん素敵な店もある。
チェーン居酒屋に詳しいライター・松子氏が選んだ、モンテローザの優良店ベスト3をあらためて掲載したい。
※料金などは2021年3月時点の情報です
*********
酒飲みになにかと嘲笑されているモンテローザの素敵なところを、勝手に探求していく当連載。これまで、12店舗のモンテローザ系列の酒場で泥酔してきました。基本、味やコスパ面でがっかりの連続でしたが、「モンテローザにしては意外とよかった店」もありました。
そこで今回は、あらためてモンテローザの優良店3店舗を紹介したいと思います。
モンテローザ優良店:しゃぶしゃぶ食べ放題「しゃぶ食べ」
「しゃぶ食べ」は、すかいらーくグループの超人気チェーン店「しゃぶ葉」をパクった、しゃぶしゃぶ食べ放題。このお店、都内でまだ4店舗ほどしか展開していないのですが、モンテローザとは思えないサービスの良さなのです。まあ、パクリ元のしゃぶ葉の優良サービスをそのまま模倣しているのだけなのですが……。
素晴らしいのは、アルコールの飲み放題。1,200円で100分間、生ビール、黒生ビール、酎ハイ、ウイスキー類、焼酎、日本酒、ワイン、果実酒、カクテルなどがドリンクバースタイルで全て飲み放題なのです。(ただし、店舗によって金額、内容が異なるようです)
居酒屋の飲み放題コースは店員さんがなかなか酒を運んできてくれない、アルコールが異常に薄い……など、不満が噴出することもしばしば。しゃぶ食べのドリンクバースタイルなら、焼酎やハイボールは自分で濃く作ることが可能、カクテルのアレンジも自由自在。お代わりが面倒なら2〜3杯作ってテーブルに運んでおくも良し、と何でもあり。
生ビールは自動サーバーなので手間いらずで、もはや酒のテーマパークと化しているのです。
肝心のしゃぶしゃぶは、肉の質はしゃぶ葉より劣りますが、スープとタレの味が絡まればさほど気になりません。肉以外にも生野菜、鍋に入れる野菜、ポテトサラダやえだまめなどのおつまみ、カレー、肉丼、スイーツなどが食べ放題。
会計は、最安値の三元豚コース(100分1,690円)に、アルコール飲み放題をつけて合計2,890円(+税)と、その辺の居酒屋で飲み食いするよりもお得感があります。店内はファミレスのような雰囲気なので、1人鍋でも全く恥ずかしくありませんよ。
「鳥貴族」のパクリ店、「豊後高田どり酒場」。メニューのラインナップから均一価格設定、黄色地に赤い文字というロゴまで徹底的に模倣しています。
人気店をパクるのはモンテローザの常套手段ですが、豊後高田どり酒場がすごいところは、パクっているくせに本家を超えてしまったところなのです。
豊後高田どり酒場は、酒、料理すべて(バカ盛りなどの例外あり)280円という価格設定。この時点で、298円均一の鳥貴族よりも安く、さらに、高田どりの方が鳥貴族より酒のグラスが大きいのです。
また、1人から利用できる2時間1,000円(280円のお通しが付く)の飲み放題サービスも実施しています。鳥貴族にも、4人から利用できる“食べ飲み放題”2,980円のサービスがありますが、4人揃わないと利用できず、事前予約制でややハードルが高い。高田どりの飲み放題制度の方が俄然使い勝手が良いのです。
つまみは、鳥貴族の定番人気メニューである貴族焼、よだれどり、山芋の鉄板焼き、キャベツ盛(おかわり無料)などをパクっていますが、それだけでは終わらない。なんと高田どりにはトリキにはないとりわさや、タタキなどの“肉刺し”があるのです。
ほかにも、焼鳥屋の定番メニューでありながらなぜかトリキにはない親子丼、さらには、カレーライス、ピザ、キムチチャーハン、トルティーヤチップス、しめ鯖、煮込み、ハムカツ、赤ウインナー、とろろ蕎麦……まで。もはや鶏肉は関係ないカオスなラインナップで、全てトリキより安い280円均一。ちなみにモンテローザ系列の「鶏のジョージ」も高田どりと同じメニューです。
鳥貴族といえば座り心地最悪の直角で固い木の椅子でおなじみですが、高田どりの椅子にはクッションがあるのも心憎いです。とはいえ、味は圧倒的に鳥貴族の方が美味いのですが、ジャンクなつまみで安く酔いたければ、高田どり、アリだと思います。
「すしざんまい」のパクリ店、「すしざむらい」。歌舞伎町などに出店しており、すしざんまい同様、価格はやや高め。しかし、これまで魚民や目利きの銀次などモンテローザが手掛ける海鮮系居酒屋の鮮度や味、コスパの悪さに絶望してきた経験から言うと、すしざむらいはモンテローザ系列であることを忘れるくらい、きちんとした居酒屋だと思います。
寿司は、単品1貫から注文でき、卵焼き、たこ98円、いわし、生サーモン128円、ほたて、甘海老、マグロ赤身198円、いくら258円、生うに、ぼたんえび、大トロ398円(すべて1貫)……と、すしざんまいと似たような価格帯。味も、この値段なら大きな不満はありません。
つまみも、めひかりの唐揚(380円)やホタテ稚貝の酒蒸し(580円)といった、通好みの品がしっかり用意されていて、気が利いています。アルコール類がすしざんまいより全体的に安いのもありがたく、すしざんまいは生ビール600円ですが、すしざむらいでは490円。日本酒・白鶴も120円ほど安いです。
激安酒場のような価格帯ではないので、とにかく安く飲みたいときには向いていませんが、モンテローザ系列の中ではずば抜けておいしいと感じました(あくまでモンテローザ系列比較です)。
酒飲みになにかと嘲笑されているモンテローザですが、あえて訪れたいお店もある……。どれも人気店のパクリですが、コロナ禍で飲食店経営が厳しい今こそ、持ち前の厚かましさで生き延びてほしいです!
※2021年3月19日初出の内容を再編集しています