前回から月刊化した「婦人公論」(中央公論新社)の3月号が発売になりました。特集は「ひとり老後、楽しく自由に最後まで」。久本雅美、水前寺清子、芳村真理、かたせ梨乃など、おひとり様界のスターが明るい老後生活を語っています。
芳村の「この年齢になって人のことで頭を悩ませるのはバカバカしいわよ」、かたせの「自分の時間をすべて自由に使える」など、心強い言葉の多い今号。さっそく中身を見ていきましょう。
<トピックス>
◎「60代以上おひとり様」のリアルお財布事情
◎池田きぬ「97歳の現役看護師、まだまだ皆さんの役に立ちたい」
◎読者体験記 独居のヒソカな愉しみ
リアルで怖い高齢者のお財布事情
最初に見ていくのは、特集「ひとり老後、楽しく自由に最後まで」の中の、読者アンケート「『60代以上おひとり様』のリアルお財布事情」です。60代、70代、80代以上と年代別に行ったアンケートで月収、1カ月の生活費、貯蓄額などの平均値が公開されていますが、この結果が怖い。
60代では仕事をしている人が68%、平均貯蓄額は2158万円。80代以上になると仕事をしている人が0%になり、平均貯蓄額は652万円までダウンしていました。高齢になるとそれまでどおり仕事ができなくなるのは当たり前。しかし働けなくなったからといって生活費が安くなるわけでもない。つまり、貯蓄がどんどん減っていく……というリアルを数字で見せつけられます。
80代以上の方々の収入は主に年金で、平均は月17万1,071円とのこと。1カ月の平均生活費は16万4,285円で、余裕があるとは言えなさそうです。
今月号に登場し、明るい一人老後をインタビューで語るおひとり様界のスターたちは、みなさん一世を風靡した方々。彼女たちの平均貯蓄額、月収、生活費も教えてほしい……と感じました。それが読者アンケートと近い結果なのであれば、明るい老後に希望が持てます。ひとりの老後が楽しいのはお金の心配がない人だけなのか!? という疑いはなかなか晴れません。
“働く高齢者シリーズ”に97歳の看護師
読者アンケートでは80代以上で働いている人は0でしたが、インタビューには97歳で現役看護師として働く池田きぬさん(三重県津市)が登場。
昨年、エッセイ『死ぬまで、働く』(すばる舎)を上梓した池田さんは、太平洋戦争さなかの19歳のとき海軍施設で看護の仕事をスタート。現在はサービス付き高齢者向け住宅で週1~2回、半日勤務をしているそう。年上の入居者は3人だけ、あとは全員年下とのことで、老老介護を超えています。
97歳で元気かつ自分でお金を稼げるとは超人的。笑顔でインタビューに応じたり、働いたりしている池田さんの姿は魅力的です。池田さんのような超人に憧れる人が増えれば、やがて人類は90代まで働くことを目標とし始めるのでは……、そうしたら年金受給年齢もさらに上がるのでは……、働くのが好きじゃない人はツライな……など、ぐうたらな身としては考えさせられます。
ともあれ、「婦人公論」は元気に働く高齢者が大好き。昨年も90歳の絵本作家、90歳のフィットネスインストラクター、104歳の理容師など(いずれも年齢は当時)が登場していました。久本雅美が若者に見えるほど、登場する人の高齢化がどんどん進んでいますが、これからも新キャラ発掘は続くのでしょうか。
74歳ラッパーが示す、ラップと高齢者の親和性
最後に見ていくのは、読者体験手記のコーナー。今月号のテーマは「独居のヒソカな愉しみ」で、採用されているのは2通。中でも、最近ラップにハマったという74歳のおひとりさま女性の手記がエキサイティングです。
コロナでひきこもりがちだったこの女性は昨年8月、20代ラッパーと出会います。長年、短歌をたしなんでいたこともあり、ラップのリリックを書いてみたいという新たな夢を持ち、そのラッパーからレッスンを受けることにしたそう。
ラッパーには「MC名」が付きますが、女性は「コールレイ」と自ら命名。その由来は「高齢」で、まもなく「凍る霊」になるから……とのこと。その尖ったセンスを生かし、どんどん上達していくコールレイ。20代ラッパーから「ラッパーとして見込みあり」とお墨付きを得たそう。「コールレイのお葬式でラップを捧げる」と約束を交わすほど、師弟愛を築いているコールレイ&20代ラッパー。
楽しそうですね。言われてみればラップはお金もかからず、頭の体操、ストレス発散にもなる。高齢者におすすめの趣味と言えるかもしれません。