寒い日に「頭痛」が起こることはありませんか? 天気や気温の変化を受けて、頭痛などの体調不良を起こす人は少なくないとか。寒さで血流が悪くなることや、逆に気温が上がって血流が良くなりすぎることで、頭痛が起こることも。
このように、頭痛にもさまざまなタイプがあるので、正しい対策や対処法を知ることが大事。そこで今回は、頭痛に悩まされない快適ライフを送るための方法を、薬剤師が解説します。
1.その頭痛は「寒さ」が原因かも?
意外な頭痛の原因として、「寒さ」があります。体が冷えると、なぜ頭痛が起こるのでしょうか? 以下に、寒さ由来の頭痛の症状や原因をまとめました。
1‐1.寒さからくる頭痛は2種類ある
寒さからくる頭痛には、血流が悪くなることで肩こりが起こり、さらに、脳や首の神経が緊張するために生じる「緊張性頭痛」があります。これは、寒さによって生じる血管の収縮が血行不良につながり、首や頭の筋肉が緊張して発生する頭痛。ひどくなると、吐き気も感じることもあります。
また、寒さによって「片頭痛」が起こる場合も。ズキズキとした痛みが片側、もしくは両側に起こり、数分間から数時間続くもので、光や音に敏感になるのも片頭痛の特徴です。
1‐2.なぜ、寒いと頭痛が起こるの?
寒くなると、体の血流が悪くなるため、もともと冷え性の人や体を動かす習慣のない人は、頭痛が起こりやすくなります。また、寒さによるストレスや疲労などで頭痛が起こることもあるのです。
それ以外にも、寒い外から急に暖房の効いた暖かい部屋に移る際に、血管が拡張しすぎてしまい、神経を刺激して片頭痛が起こる場合もあります。
2‐1.適度に体を動かす
デスクワークやパソコン作業など、同じ姿勢で長時間過ごしていると、肩こりが起こります。これを防ぐために、長時間同じ姿勢で過ごすことは避けて、数十分に一度は立ち上がるなど、体を適度に動かしましょう。
特に肩や肩甲骨、首を回すように動かしたり、ストレッチや屈伸をしたりするのもおすすめです。
2‐2.体をしっかり温める
首元や肩などは特に冷やさないよう心がけ、マフラーやストールなどを使って温めましょう。また、ゆっくりと入浴する時間を設けて、全身をしっかり温め、血行を良くすることも大切です。
食事でも、ショウガや根菜類など、体を温める食材をとるようにしてみましょう。
3.寒さ由来の頭痛への対処法
前述のように、頭痛にはさまざまなタイプがあります。自分がどのタイプの頭痛なのか見極めて、正しい対処法を知りましょう。
3-1.血管の収縮で起こる頭痛は、首まわりや肩などを温める
寒さにより、血管が収縮して起こる頭痛の場合は、首まわりや肩などの筋肉が緊張している状態。このようなときには、蒸しタオルなどで首や肩をゆっくり温めると、緊張がほぐれて痛みが改善しやすくなります。寒さで頭痛が起こっているときには、急激な温度変化はかえって逆効果になるため、「ゆっくり」温めることがポイントです。
また、足元が冷えることも良くありません。冷えると体の血行が悪くなり、体内の水分循環が悪くなります。水分の巡りが悪くなると、水分が体に溜まり、頭痛の原因となることも。おしゃれを楽しむ際にも、足元は冷やさないように気をつけましょう。
3-2.片頭痛のズキズキした痛みは、頭を冷やす
片頭痛の原因は不明なことも多いのですが、寒い場所から急に暖房の効いた暖かい場所へ移動することで血管が一気に広がり、血流が良くなりすぎることでも起こります。この場合は、少し涼しい場所に移動し、安静にして痛む場所を冷やしましょう。
3-3.繰り返す頭痛には、漢方もおすすめ
頭痛に悩んでいるなら、日頃から規則正しい生活をして、バランスの良い食事をとり、お風呂でゆっくりと全身を温めるなどの対策が大切。しかし、それでも頭痛を繰り返す場合は、漢方薬という選択肢もあります。
漢方医学では、ストレスなどで気の巡りが悪くなったり、血管が収縮して血(けつ)の巡りが悪くなったり、さらに水分代謝が悪いことで不要物が排出されなかったりすることなどが、頭痛の原因と考えられています。漢方薬は、そのようなさまざまな原因にアプローチすることで、根本からの改善を目指します。
・五苓散(ごれいさん)
乱れた水分のバランスを整える働きがあり、体の中に溜まっている余分な水分を排泄したり、停滞している水分の偏りを改善してくれます。
代謝がうまくいかず、体のあちこちに水分が滞ったり、偏っていたりする状態を取り除くことで、頭の血管のむくみにも働きかけるため、「水(すい)」がうまく体を巡るようになり、症状の緩和が期待できるのです。
・桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)
血流の滞りを改善する働きがあり、肩こりや頭痛などの血の滞りで起こる症状を軽減する効果が期待できます。
桂枝茯苓丸に含まれる芍薬には痛みをとる作用、牡丹皮(ぼたんぴ)や桃仁(とうにん)には血液の循環を良くする作用があります。また、茯苓は気分を落ち着ける作用や余分な水分を取り除く働きもあり、これらが一緒に作用することで、血行の障害による痛みなどの症状を和らげるのです。
・呉茱萸湯(ごしゅゆとう)
生姜や人参といった体を温める生薬が含まれています。また、呉茱萸と大棗(たいそう)は鎮痛作用を有し、これらを含む呉茱萸湯には保温・鎮痛作用があるため、片頭痛などの頭痛に働きかけるのです。ただし、呉茱萸には子宮収縮作用があるため、妊娠している方には使用できません。
漢方薬は、いくつもの生薬が組み合わされて作られているため、ご自分の状態や体質にうまく合っていないと、効果を感じられないだけでなく、場合によっては重大な副作用が生じることも。とはいえ、たくさんの漢方薬から、ご自分に合った漢方薬を見つけるのはとても大変ですよね。
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4.頭痛の原因を知り、快適な日々を送ろう!
寒さによる頭痛には、血流が悪くなり起こる緊張性頭痛や、疲労やストレスによって起こる片頭痛があります。しかし、頭痛の原因はさまざま。いつもと違う頭痛や、激しい痛みやしびれ、嘔吐などの症状がある場合は、すぐに医療機関を受診しましょう。
冬は、寒さで血管が収縮するなどの身体的な影響だけでなく、寒さや日照時間の少なさなどの要因がストレスになってしまうこともあります。日頃から、十分な睡眠と適度な運動、バランスのとれた食生活などを心がけ、快適な日々を送りましょう。
薬剤師・相田 彩
薬剤師。昭和薬科大学薬学科卒業。総合リハビリテーション病院、精神科専門病院、調剤薬局に勤務するなかで、漢方薬が使用される症例の多さと、体質や症状に適した漢方を使用することの重要性を実感する。漢方薬の力をより多くの方に広めるために、漢方のプロがAIを活用して自分に適した漢方薬を選び、お手頃価格で自宅に郵送してくれる「あんしん漢方」で情報発信をしている。