2年前に英王室を離脱し、妻が生まれ育ったアメリカに移住したヘンリー王子が、昨年4月に99歳で逝去したフィリップ殿下の1周忌追悼式を欠席と代理人を通して発表。
自分と家族に対する英国警察の警備が許可されない限りは帰国しないという強い意思表示であり、これはエリザベス女王に対して「ひ孫に会えなくてもいいのか」という脅しだと批判する声が上がっている。
王子は今年1月、自分と家族のイギリス滞在時に警察の警護はつけないと決定した英政府を不服とし、司法審査を求める訴えを起こした。
きっかけは昨年7月にダイアナ妃銅像除幕式に出席するため帰国した際、パパラッチに追われたことだとされており、王子の弁護人は、「アメリカで雇っている民間のセキュリティでは国外だと規制があり、安全が保障されない」「だから警察の警護が必要」だと主張。
「費用は自分で払う」と申し出ているものの、世間からは「警察を金で買うなんてとんでもない!」「王室を離脱したのに特権が欲しいとだだをこねている」と大ひんしゅくを買っている。
この司法審査の決着がついていないため、王子は3月29日に執り行われるフィリップ殿下の追悼式に妻子をアメリカに残して単身で出席するとみられていたが、現地時間11日に代理人を通して「欠席する」と発表。「3月末の帰国はないが、できるだけ早く祖母に会いに行きたいと願っている」との声明を出した。
英大手タブロイド紙「ザ・サン」は、王子がエリザベス女王にこの決断を伝えたのは、世間に公表するわずか15分前だったと報道。
王子の伝記も執筆している王室に詳しい伝記作家アンジェラ・レヴィンの、「殿下だけでなく女王へのこの上なく無礼な行為」「プラチナ・ジュビリー(6月2〜5日に開催される、女王の即位70周年記念式典)も、同じ言い訳をして欠席するだろう」という辛辣なコメントを紹介した。そして、「95歳のエリザベス女王が、昨年アメリカで生まれたひ孫リリベットと対面することは生涯ないだろう」と冷ややかに伝えた。
新型コロナウイルス感染症のパンデミックが宣言された2020年3月に、自由とプライバシーを求めて英王室を離脱。ロシア人の実業家から1470万ドル(約17億円)で購入したカリフォルニア州の大豪邸で、妻のメーガン夫人、長男アーチー、昨年誕生した長女リリベットと暮らしているヘンリー王子。
「経済的に自立することを目指す」と表明していたが、チャールズ皇太子から離脱後数カ月にわたり合計450万ポンド(約6億9,000万円)を送金してもらっていたことが明らかになったり、動画ストリーミングサービスのNetflixや音楽ストリーミングサービスのSpotifyと多額のギャラでコンテンツ制作の契約を結ぶなど、サセックス公爵殿下/サセックス公爵夫人として“王室ブランド”を利用して金もうけをしていると、強い批判を受けている。
英警察の警備を求める司法審査に関しても、「王室ファミリーとして特権を取り戻したいに違いない」「今後もいろいろと要求するだろう」と反発する声が多い。
ちなみにメーガン夫人はフィリップ殿下の葬儀には、妊娠中であること、またコロナ禍を理由に欠席。王室離脱後、一度もイギリスには戻っていない。長男アーチーもまだ一度も帰国しておらず、女王のプライベートな愛称リリベットにちなんで命名された生後9カ月の長女も国外に出ていない。
新型コロナウイルスに感染しても軽い公務を続けるなど王室と英国に尽くし、国民から根強い支持を得ているエリザベス女王。昨年の秋頃から体調を崩しがちで、一回り小さくなってしまった女王に、自分の愛称で呼ばれるひ孫を会わせてあげてほしいという願う声も多いが、ヘンリー王子とメーガン夫人のわがままを絶対に受けて入れてはならないと反発する声も一段と高まっており、王子に対する風当たりはますます強くなっている。