2021年春、我が子が小学校に入学! と同時に、うわさでいろいろ見聞きしていた「PTA」が現実のものに。さらに子どもの学校は「PTA加入率100%」!? PTAの謎ルールに直面した母がつづる「PTAには入りません、って言えない!?」。
▼前回まで▼
来年度のPTA委員募集のアンケート用紙が配布された。「子ども1人につき委員を1回」と定められたルールは、まるで“子育て罰”のようだ。
新1年生の個人情報の扱われ方に驚き
来年度の新入生(現・年長児)の保護者を対象とした入学説明会は、2月上旬、平日の午前中に、小学校の体育館で決行された。1月から新型コロナウイルスのオミクロン株が猛威を振るい、小学校では教職員や児童に陽性者が出て学級閉鎖になることもあったし、近隣の保育園でも休園が相次いでいた。
そのため、入学説明を「動画」や「書類を渡すだけ」で済ませた学校もあったと聞くが、我が子が通う小学校は「対面」での説明会にこだわったようだ。
入学説明会では、新1年生の保護者に下校コースごとで色分けしたリボンを渡す。私が受け持つPTA校外委員の下校指導係は、リボン渡しの「手伝い」として、説明会開始の約1時間前に体育館に集合することに。
すでに到着して準備を始めているPTA本部役員の指示を受けて、保護者に渡す入学関連書類のセッティングなどを行った。
驚いたのが新1年生の個人情報の扱い方だ。すでに受付テーブルには、町名ごとに新1年生の氏名・住所・下校コースを記載した名簿が設置されているのだが、その場にはPTA役員と委員(=保護者)しかおらず、学校職員の姿はない。
校内に悪人がいないこと前提? いくらなんでも扱いが雑すぎないか? 学校側は、新1年生の個人情報をPTAに渡してしまっているのだろうか……という懸念も頭をよぎる。
受付時間になると、教員が新1年生の保護者の検温および受付を担当。下校指導係メンバーは、必要な色のリボンを教員に渡したり、受付テーブルの書類が少なくなったら補充したりと、まさに「お手伝い」だ。書類の不足、リボンの色が違う、などのうっかりミスの防止くらいには役立ったかもしれない。
保護者の受付が一段落し、下校指導係はそろそろ解散だろうか……と思いつつ、特に指示がないので、しばらく入学説明会をウォッチすることに。校長の挨拶が終わると、PTA会長によるPTA活動についての説明が始まった。
新1年生の保護者たちの前に登壇した現PTA会長は、開口一番に「まず申し上げておきたいのは、PTA(加入)は強制されるものではないということです」とキッパリ。が、「本当にありがたいことに、〇〇小では、100%加入されています」と続けたので、ガックリせざるを得なかった。そもそも入学時に加入の意思確認を取っていないのに、「加入率100%」と言われても……。
PTA会長は、近年は共働き家庭が多くなっていることに触れ、その上で、「来年度、ここにいる皆さん(=新1年生の保護者)がPTA活動のために有給を取る必要はないですよ」と断言。
あの、えっと、今私はまさに有給を取ってこの場所に立っているのですが?
そしてPTA会長は、「皆さんにお願いしたいことは、『月300円の会費』『お子さん1人につき委員1回』」だと説明。そして、「PTAについて書かれたネットニュースは見ないでください。学校によってPTAは全然違いますから」とも…… 。
ちなみに、新1年生の保護者が「来年度、PTA活動のために有給を取る必要がない」のは、来年度のPTA委員は、在校児童(現1〜5年生)の保護者から決めてしまうからだ。その点についてはPTA会長も、「1年生の時にやりたいと思っていた方には申し訳ないのですが」と断っていた。
PTA会長の話が終了すると、程なくして下校指導係は解散。拘束時間は、1時間半弱といったところだ。
奇しくも2年続けてPTA会長の説明を聞くことになったわけだが、PTAは「あくまでも任意」「強制されるものではない」との前提は提示されるが、「その先」については触れられることがない。
PTA委員の時間的・経済的・心的負担がどのくらいになるのか、「PTAには入りません」と非加入を選んだらどうなるか、子どもの在学中はいつでも加入・退会できるのか、などの説明がないのは残念だ。