なんとなく近寄りがたいイメージのある“日雇労働”。その実態と人間模様を紹介する柿ノ種まきこさんの連載マンガ「アラサー独身女、今日も日雇いで生きてます」が、200話で終了を迎えることになりました。
最終話まで残り4話を数えるなか、柿ノ種さんに初回からこれまでの連載を振り返ってもらいました。数多くの愛すべきキャラクターが登場してきた作品ですが、作者・柿ノ種さんが特にお気に入りの人物や、お気に入りのエピソードとは……? この機会に、まとめ読みもおすすめです。
――今までに描いた連載の中で、 印象的なキャラクターはありますか?
柿ノ種まきこさん(以下、柿の種) 印象に残っているのは「派遣会社の最強社員 面杉(おもすぎ)さん」です。日雇い現場の紹介・現場とのやりとり・給与の支払い業務などさまざまな業務をこなしてくれている派遣会社の社員さん。
中でもこの面杉さんは、いつでも全力対応で声も動作も大きく、会うたびに圧倒されていました。真面目だけどどこか抜けている愛されキャラという感じです。作業後にお給料を受け取りに行くと「おぉ疲れ様デェスッ!!」と 大きな声で言ってもらえて、さらに疲れる(笑)感じもあります。
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日雇いは、この派遣会社さんが仕事のパートナーといっても過言ではなく、いいコミュニケーションをとることで気持ちよく働くことができると私は思っています。ちょっと苦手だなぁと思ってしまうキャラ強めな社員さんとのやりとりは、漫画のネタにしちゃおう……と密かに思って日々過ごしてい ます。
――日雇いバイト仲間は一期一会かと思いますが、また会いたい、 一緒に仕事してみたい相手はいますか?
柿ノ種 また会いたい方は「ベテラン日雇いおばさん 樽山(たるやま)さん」です。年齢不詳のツインテールで、とにかく日雇い作業に精通している方でした。一時、毎日のように現場で顔を合わせていました。現場によって違う作業内容になるのですが 、どの作業もすごい早さでこなしていて「さすがベテランだなぁ」 と感心しました。
仕事ができるだけでなく人情が厚く、漫画のネタにもしましたが、私が気分が悪くなった時に樽山さんがテキパキと助けを呼んだり「無理しないで!」 と声をかけてくれたりしました。
荒みがちな日雇いの現場でも、こういうハートフルな方もいるんだな、とうれしくなった記憶があります。顔を合わせると世間話の弾丸トークが始まり、ちょっと困ってしまうこともあるけれど、やっぱり憎めない愛すべきおばさんキャラです。最近は日雇い現場で遭遇することもないのですが、ふとした時に「 また一緒に働きたいなー」と恋しくなってしまう存在です。
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――今までの連載で、お気に入りの回を教えてください。
柿ノ種 連載もおかげさまで200話も続けることができ、たくさんの話を 描かせていただいたので選ぶのが本当に難しいのですが、中でもお気に入りの回は、 125、126話『圧巻……! 作業着すら着こなす麗し美女の正体とは!?~前編/後編~』です 。
ある日、日雇いに美人がやってきて、その立ち振る舞いに私をはじ め周りの老人たちまでクギ付けになり、 なぜか活力まで与えられた……というお話です。
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日雇いはメンバーが入れ替わり立ち替わりするので、ある日「いったいどういう理由で日雇いに?」と聞きたくなるような人も来ます。とんでもない高学歴な人とか、とんでもない美人とか……。そういっ た出会いも日雇いの醍醐味なので、それが伝わる回だったかなと思 っています。
――お年寄り、大学生、 外国人と多様な仕事仲間と接してきたと思いますが、会話内容もリアルです。どうやって会話を記憶してましたか?
柿ノ種 日雇い現場で働いている方は、国籍も年齢も結構幅広いのでいろいろな方と接することができます。私自身も働いてみて気付いたのですが、基本的に毎回メンバーも変わるし、日雇い現場は本当に出会いの宝庫だなと思います。
出会いが多いということは、いい方に出会うこともあればその逆もやっぱりあるわけで……働く中でモヤモヤすることもよくありました 。私の場合、そういうモヤモヤを吐き出すために、漫画を描く前から一言日記みたいなものを手帳に書いていました。
漫画を描くようになってからは、ネタとして今日こんな人いたな……と少しでも気になった出来事があったら書き留めておくように。毎日変わっていく日雇いの日々の中で、その時その時のやりとりを記憶しておくのは難しいですが、私の場合は漫画のおかげで日雇いの何気ない一コマを記録しておくことができていました。いろいろな方とのやりとりを漫画で振り返ると、嫌なこともあったはずなのに、なぜかほっこりした気持ちになります。
――福袋、クリスマスケーキ、化粧品や食べ物などの作業現場を見たことで、よくも悪くも印象が変わったものはありますか?
柿ノ種 どの現場でも大量生産を目にすると、圧倒されてしまうことはありますね。でも私の場合、それによって製品にネガティブな印象を持つことはあまりないです。逆にケーキの日雇いなどでは大量のケーキを見続けることによって 「絶対帰りにケーキ買って帰ろ!」と思うタイプです。
印象が変わったという話とはちょっと違うかもしれませんが、自分が日雇いで働いていると、普段の買い物などで今手にしている製品はいくつもの人の手によって生産されここまで運ばれてきたんだなと、感慨深く感じることがあります。
――最後になりましたが、今後の作品の予定などを教えてください。
柿ノ種 サイゾーさんでの日雇い漫画は終了となりますが、コンビニなどのプチプラスイーツを紹介する連載「日雇いまきこのプチプラスイー ツ記(ufu.)」や4月から始まる予定の日常漫画の連載など、今後も漫画は描き続けて参りますので、ぜひインスタグラムやツイッター をフォローしていただけるとうれしいです。
長らくご愛読ありがとうございました!
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