• 日. 12月 22nd, 2024

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明日あなたが被害にあうかもしれない

園子温、木下ほうか、榊英雄……性加害者への告発が次の告発を呼ぶ“勇気の連鎖”

下世話、醜聞、スキャンダル――。長く女性の“欲望”に応えてきた女性週刊誌を、伝説のスキャンダル雑誌「噂の真相」の元デスク神林広恵が、ぶった斬る!

 日本映画・ドラマ界の#MeToo運動が続行中だ。榊英雄監督の妻でシンガー・ソングライターの和が公式サイトに離婚向けて協議中との文書を発表したことが話題になっている。「私も被害者」なのだと。そんな中、今週も「週刊女性」が、やってくれた!

第597回(4/7〜4/12発売号より)
1位「木下ほうか “強姦”で刑事告訴されていた!」(「週刊女性」4月26日号)
2位「園子温 覚悟の『性暴力告白』に対して“法的措置”で威嚇 被害者女性が憤怒『また傷つけられた』」(「週刊女性」4月26日号)
3位「性加害監督 榊英雄 うどん片手に涙の謝罪」(「週刊女身」4月26日号)

 先週、映画監督・園子温による性暴力をスクープした「週刊女性」だが、今週も性加害、性暴力に関する記事を連発して掲載している。まずは木下ほうかの重大なる“余罪”の告発だ。木下といえば性加害告発の発端となった榊英雄の“朋友”であり、同じく「週刊文春」(文藝春秋)で性強要の“常習”が報じられ、事務所から契約解除、芸能活動の無期限休止となった俳優だ。

 そんな木下から“無理やり犯された”女性が「週女」に勇気ある告発をしている。しかも、その女性・Sさんの告発は、性加害やその被害を訴えることがいかに困難かなど、性加害に関してさまざまな問題を提起するものでもあった。

 記事によれば7年前、当時芸能活動をしていた20代だったSさんは、木下とある作品で共演。その後、芸能活動についての相談をするため木下と食事をしたが、稽古場と称する古いアパートに連れ込まれてレイプされたという。その証言は詳細なものだが、注目すべきは木下がお酒に“何か“を入れたのではないかとの疑惑が存在することだ。

「木下は購入したお酒を取り出すと、キッチンで私に背を向ける形で見えないようにコップに注いで……。時間がかかっていて不思議に思いました。そもそも私が買ったカクテルはボトルから直接飲めるので……」

 Sさんはその直後、体に異変をきたし、泣き叫んで抵抗したが、木下に犯されてしまったという。Sさんの告発は、木下がいかに自分の立場を利用し、女性を陵辱したか、その卑劣ぶりが浮かび上がってくるものだ。

 だが、これまでのケースとSさんが違っていたことがあった。それはSさんが木下の謝罪と慰謝料を要求し、そして強姦罪で刑事告訴を行ったことだ。

 レイプされた女性が警察に相談したり刑事告訴したりするのは、まだまだハードルが高い。そこで思い出したくない被害の詳細を聞かれ、さらに裁判になれば長い時間もかかり、また同様に被害の詳細を証言しなくてはならないなどの理由からだ。

 周囲にバレることを恐れるケースもあるだろう。それでもSさんは弁護士相談して告訴状を警察に提出しようとした。しかし、ここでも大きな壁が立ちはだかったという。

「“身体に傷がない”“犯行現場の正確な情報がない”といった理由から、証拠不十分で告訴状は受理されず、捜査してもらうことすら叶いませんでした」

 自分の立場を利用して被害者を欺く、そして薬物疑惑、刑事告訴の困難さ(男性社会の警察)など、被害者が直面する問題は非情なものばかりだということが、Sさんの告発から浮かび上がってくる。

 さらにSさんは、自身に起こったことを7年の年月を経て語ったことについても、こう話している。

「今回の報道で同じ被害にあった方々の勇気ある告白を目にして、私も真実を明かすことにしました」
「当時と違うのは、この事実を記事として掲載できること。泣き寝入りの日々だったので……」

 先週も記したが、勇気ある告発が、次の告発を呼ぶ。性暴力にあった人々が泣き寝入りせず勇気をもって次々と声をあげる。勇気の連鎖であり、マスコミもそれを大きく取り上げる。Sさんの言葉、そして告発はそれを証明している。

 そして2位も「週刊女性」。先週スクープした園子温の性加害に関して続報を掲載している。先週、「週女」では、園子温に実際に性被害にあったとされる女優3人がその詳細を赤裸々に証言したが、それに対する園の対応に告発者の女優が憤っているという。

 当然だろう。園は告発記事を受けて文書を発表したが、そこには被害者たちへの謝罪がないばかりか、法的措置を示唆する文言まであったのだから。

 しかし、告発者たちの怒りは園に対してだけではなかった。それが先週の告発に登場した俳優の存在だ。この俳優、園の被害にあった元女優を飲み会に誘い、さらに園の部屋に連れて行き、しばらくするとなぜか姿を消した。つまり園と“グル”だったのだ。

 先週は匿名扱いだったこの俳優だが、「週女」記事を受けて自らYouTubeで動画を配信した。よって今週は実名、坂口拓だ。しかし、この男もやはりおかしかった。「週女」の直撃に、こんなことを言っているのだから。

「自分の中では正義を通して生きてきたので、本当にこういう感じになったことに驚いています」

 あきれるしかないが、「週女」には坂口への告発も相次いでいるというから、今後、どんな展開になるのか、勇気の連鎖が起こるのか、注目したい。

 3位も「週刊女性」。今回の告発ラッシュの発端・榊英雄についてなのだが、ある意味面白いというか、ちょっとすごい記事なのだ。なにがすごいって記事に登場する“榊の住むマンションの住人たち”が、だ。

 榊の住むマンションに取材に向かった「週女」。そこで何人かの住人が取材に応じて、榊との関係や、そのエピソードを語っているのだが、その最中、マンションの外に出てきたのが榊本人。すると住人の一人が榊に声をかけたという。

「ちょうど記者さんがいるし、被害者に謝罪を伝えるいいチャンスだよ」

 こんなこと言える住人、すごい! だが、これに答えず子どもを迎えに行ってしまった榊。そして「警察、呼びますよ!」と記者に言い放つ。それを見て住人がさらに語ったこととは――。

「彼が被害者に対して、謝罪する最後のチャンスだと思ったのに……。あれでは、いつまでたっても本人の口から謝罪なんてありませんよ。(中略)榊さんは人権って言うけれど、被害者の人権はどうなるの? 警察に通報したいのは被害者の女性たちなのでは?」

 何者だ、この住人! 素人とは思えない!

(追記 この住人、ほかにも榊に関するいろんな話を語っているのだが、興味深いものばかり。ぜひ記事を読んでみてね)

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